『青い体験』『続・青い体験』などで当時の青少年の心をときめかせた伝説の美人女優ラウラ・アントネッリが『青い体験』以前に出演し、その美しい肢体を惜しげもなく披露したのが、この『毛皮のヴィーナス』だ。
この映画の原作は、あのマゾッホ。マゾヒズムという被虐性格の語源になった、いわばSMの始祖ともいうべき存在。その映画化も原作にあるサディズム、マゾヒズム、レスビアン、強姦といったシーンが次から次へと登場する。ラウラ演じるモデル・ワンダはそうした行為に最初は抵抗するものの、徐々にその快楽に身を委ねていく、という物語。ただしこの映画が製作された(厳密には西ドイツとの合作だが)イタリアの国民性か、作品中じめじめした雰囲気はほとんど見られず、のどかな田園風景の中、たとえそれが変態行為と言われようが、産まれたままの姿で愛の交歓を楽しむ男女の姿が陽気な音楽に乗ってつづられる、明るいSM映画。(斉藤守彦氏)
マゾヒズム”の語源にもなった作家・マゾッホのショッキングな官能作を完全映像化。ホテルで仕事をしている主人公の作家は、隣の部屋にやってきたモデルのワンダを強引に誘い関係を持つようになる。やがて作家は性的に虐げられることに快感を覚え…。
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