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◆namelessさんからのご投稿
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 地  獄
春の穏やかな日差しの中、本田和彦は上機嫌でスポーツカーを運転していた。彼は有名私立大学の4年生で、既に卒論を提出して後は卒業を待つばかりだった。同級生の中には未だに就職が決まらず暗い顔をしている者もいたが、父親が大会社のオーナー社長で、その会社に最初から幹部候補生として入社が決まっている和彦には無縁の悩みである。
 彼は彫りの深いハンサムな顔に笑みを浮かべ、ハンドルを切りながら今までつき合ってきた女性達を思い浮かべた。和彦の家は裕福であり、本人は背の高いスマートなハンサムの有名大学生、その上中学から空手を習っており、大学ではボクシング部で汗を流して腕っ節も強い。これだけの条件が揃っていれば、女性達が放っておく筈が無かった。
 彼は言い寄って来る女性達を次から次にものにしては捨て、常に新しい女性を相手にしていた。捨てられた女性の中には恨み言を言って、しつこくつきまとったりする者もいたが、和彦は自分から女性を口説いたのではなく、女性から金をせびり取る等の喰い物にした訳でもないので、つきまとった女性の方が周囲からストーカー呼ばわりされ、非難されて諦めるのがパターンであった。
 和彦の顔は、この世で手に入らないものは無いという自信に満ち溢れていた。カーラジオが音楽を流すのを止め、堅苦しい時事問題を語り始めたので、彼は番組を変えようと手を伸ばし、前方から一瞬目を逸らせた。気がつくと、目の前は赤信号の交差点だった。
(しまった!)
 和彦は慌てて急ブレーキを掛けたが間に合わず、スポーツカーは交差点に進入し、横から大型ダンプが突っ込んで来た。大音響と体がバラバラに引き裂かれる様な凄まじい衝撃を受け、彼は意識を失った。
 
 
 気がついた時、和彦は全裸で暗闇の中に横たわっていた。彼は上半身を起こし、頭を振って周囲を見回したが、真っ暗で何も見えなかった。
(ここはどこだ?俺はなぜ、裸なんだ?)
 不意に前方から、ぼんやりとした光に包まれた人影が二つ近づいて来た。和彦は目を見開き、驚愕した。近づいて来たのは、身長2mはあろうかという、子供の頃絵本で見た鬼そのものだったのだ。2匹の鬼は和彦の両脇を抱え、引っ立てた。
「あ、あんた達は一体…ここはどこだ、俺をどこに連れて行くんだ!?」
 パニックに陥り、足をばたつかせて喚く和彦に、一匹の鬼がギロリと睨んで説明した。
「うるさい坊やだな、静かにしろ!ここは地獄だよ。お前さんは死んで、今から閻魔大王の捌きを受けるんだ」
 鬼に説明され、和彦の体から力が抜けた。
(そうか…あの事故で、俺は死んでしまったのか…)
 鬼達は周囲が岩だらけで、業火が燃えさかる中、和彦を閻魔大王の前に正座させた。記録帳の様な物に目を通していた閻魔大王にジロリと睨まれた彼は、体に震えが来て縮み上がった。
「お主が本田和彦だな。22歳、有名大学の4年生で…相当女を泣かせてきた様だが、女を傷つけた罪は軽くないぞ」
「ちょ、ちょっと待って下さい。それは女のほうから誘って来て、僕はその相手をしただけです。女に暴力を振るったり、レイプしたり、金を取り上げたりなんかは、一切してないですよ!」
 閻魔大王は、些か渋い顔をした。
「まあ、お主の言う事に嘘は無い。お主に言い寄った女達も、お主の家の財産に関心が無かった訳でもないし、捨てた捨てられたというのは男女の間では当然の事でもある…」
 言い分が認められた和彦は、安堵のため息を漏らした。しかし、閻魔大王は、
「だが、お主が女心をもてあそんで傷つけたのは事実だ。女側の落ち度も考慮して、地獄で一年の懲役に処す。一年経ったら輪廻転生の輪に乗せ、新しい世界に生まれ変わらせてやろう。女心を傷つけたお主の処遇は、女鬼に任せるものとする」
と判決を下し、大声で女鬼を呼んだ。
 二匹の女鬼が、直ぐにやって来た。二匹とも身長は165cm位のグラマーなナイスバディで、虎の毛皮を胸と腰に巻いているだけの扇情的な姿だった。二匹ともかなりの美人で、頭に二本の短い角が生えており、一匹は肌の色が赤く、もう一匹は肌が青かった。和彦は、昔大人気だったアニメのキャラクターを連想した。
 女赤鬼が和彦に命令を下した。
「ぼやぼやしてないで、私達と一緒に来るんだよ!」
 和彦が立ち上がると、女鬼達に挟まれるようにして引き立てられた。背後から、他の鬼達の声が聞こえた。
「よりによって、あの二人か…可哀想になあ」
「地獄以上の地獄を見るぜ…」
 最初は美形の女鬼が自分に付いてラッキーと内心喜んだ和彦だったが、背中にぞくりと悪寒が走った。
 女鬼達は、平らな場所に和彦を連れて来た。女赤鬼が和彦の股間を指差して笑った。
「散々女を泣かせたものにしては、随分縮こまっているわね」
 全裸の和彦は恥ずかしさで顔が赤くなり、両手で股間のものを隠した。その途端、女青鬼が目から火花が散る程の強烈な往復ビンタを、和彦に喰らわせた。
「ひいいっ」
 彼は思わず情けない悲鳴を上げ、両手で頬を押さえた。
「地獄の亡者の分際で、勝手に動くんじゃないよ!お前は私達の許しが無ければ、指一本動かしてもお仕置きを受ける事になるのさ!」
「……」
 鬼とはいえ、女に顔を叩かれた屈辱に、和彦の顔は真っ赤になり、唇をわなわなと振るわせた。女赤鬼はからかうように彼の顔を覗き込み、嘲った。
「ふふん、口惜しがっているみたいね。亡者のくせに生意気だけど、新入りだから仕方ないか…いいわ、私と素手の勝負をしましょう。万一お前が勝ったら、直ぐに輪廻転生させてもらえるよう、閻魔大王様にとりなして上げるわよ。かかってらっしゃい!」
 彼女は和彦と間合いを取り、挑発するように手でおいでおいでをした。腹を立てた和彦は
「女を殴るのは性に合わないが、仕方ない。いくぞ!」
と言って、ボクシング部仕込みのジャブ・ストレート・フック・アッパーと、かなりの速さでコンビネーションを繰り出した。
 しかし女赤鬼は薄笑いを浮かべたまま、和彦のパンチを全て紙一重でよけて彼の顎に鋭い一撃を与えた。
「ぐあっ」
 和彦は短い呻き声を上げると脳震盪を起こして、その場に崩れ落ちた。
「お前の動きなんて、なめくじより遅く見えるわよ。大体亡者が鬼に勝てるとでも思っていたの?本当に馬鹿ねえ」
 女赤鬼に朝笑われ、和彦はふらつきながらも憤怒と気力で立ち上がった。今度は女青鬼が、彼の前に立った。
「ちょっと、自分だけ楽しまないで、私にも遊ばせてよ…ほら、ぼんやりしてないで、掛かってきなさい!」
 女青鬼は人差し指をくいっくいっと自分の方に曲げ、和彦を挑発した。
「畜生ーっ」
 半ば自暴自棄となった和彦は、実践空手仕込みのローキックを女青鬼の足に喰らわせ、顔面に正拳を叩き込もうとした。
「ぎゃあっ」
 しかし悲鳴を上げて、地面に転がってのた打ち回ったのは和彦の方であった。彼は蹴った足の向う脛を両手で押さえて、もがき苦しんだ。まるで銅像を蹴ったみたいだった。
 女青鬼の体が、瞬時に鋼鉄の様に硬くなったのだ。体を柔らかく戻した女青鬼は、地面で横になって苦しむ和彦の顔面を踏みにじり、嘲った。
「どうだい?私達が女と思って舐めていたみたいだけど、これで亡者は鬼には敵わないと身に沁みて分かったでしょう」
 和彦は痛みと、あまりの口惜しさに涙を流しながらも、許しを請うた。
「…はい、分かりました…身に沁みて分かりました…もう、許して下さい」
 しかし、女鬼達に容赦は無かった。女青鬼が片手で和彦の首を掴むと、凄い力で吊り上げた。
「今更殊勝な態度を取っても、遅いんだよ!」
 女赤鬼が、吊り上げられた彼の前に立った。
「地獄での亡者の立場を、体に教えてやるわ!」
 女赤鬼は吊り上げられた和彦の体に、力強い突き蹴りを叩き込んだ。
「ぐおっ!ぐげぇ!」
 肋骨を折られた彼は、くぐもった悲鳴を上げた。女青鬼は、吊り上げた和彦を思い切り地面に叩き付けた。
「うげぇ!」
 折れた肋骨が肺に刺さり、和彦の口から血が噴き出た。女青鬼は倒れた和彦に跨ると腕を取り、指を一本ずつ折り始めた。
「ぎゃあっ、止め、止めて…」
 和彦はあまりの激痛に血を吐きながら哀願したが、女青鬼は楽しそうに指を折っていく。彼女が和彦から離れると、とても立ち上がれない彼は四つん這いになり、這って少しでも女鬼達から遠ざかろうとした。女赤鬼は和彦に近づくと、怒鳴りつけた。
「どこへ行くんだい!私達のお許しが無ければ、指一本動かしてもお仕置きだと、さっき言ったばかりでしょう。もう忘れたのかい、この低脳!」
 女赤鬼は四つん這いになっている和彦の首を、思いっ切り蹴った。
「げぼっ!」
首の骨をへし折られた彼は、短い呻き声を出して絶命した。
 
 
「いつまで寝てるのよ!早く起きなさい!」
 女青鬼に頭を蹴られて叱られた和彦は、ぼうっとした頭を振りながら上半身を起こした。
(…えっ、どういう事だ?俺は女鬼達に殺された筈だが)
「ぼやぼやしてないで、さっさとお立ち!」
「は、はい、ただいま…」
 女赤鬼に背中を蹴られて怒鳴られた全裸の和彦は、慌てて立ち上がった。その時に自分の怪我や骨折が全て治っているのに気がつき、呆然とした。女青鬼は彼を叱りつけた。
「何をぼんやり不思議そうにしてるんだい!言いたい事があるなら、言ってご覧よ!」
「あ、あの、僕は死んだ筈では…それに大怪我もしていて…」
 和彦がおずおずと尋ねると、女鬼達はどっと笑った。
「本当に馬鹿だね、お前は!ここは地獄だよ。お前はもう死んでいるのよ。一度死んだら、それ以上死ぬ訳が無いでしょう」
「地獄では大怪我しても、死んだと思っても、直ぐに元通りになるのよ。死んで楽になれると思ったら、大間違いさ。だから、地獄なのよ」
 女鬼達の説明を受けて愕然とした和彦だったが、直ぐ全身に鳥肌が立った。彼女達の言うとおりだと、死んで苦痛から逃れる事すら出来ず、延々と苦しまなければならない…
 青い顔をしている和彦を真ん中にして、女鬼達は間合いを取った。不意に女鬼達の手に鞭が出現し、彼は目を丸くした。
「お前は、まだ娑婆っ気が取れてないようだね。お前の身分を体に教えてやるわよ!」
 一本鞭が唸りを上げて和彦の体にからみつき、体を切り裂かれる様な激痛に彼は絶叫を上げた。
「ぎえぇーっ、助けて、止めてくれ」
 和彦の哀願も虚しく、女鬼達の鞭は嵐のように彼の体に降り注ぎ、まるで生きながら体を切り刻まれるようであった。
「ひいっ、ひえっ、もう許して…」
 両手で頭を抱え、うずくまってしまった和彦は、泣きながら許しを請うた。無駄と分かった許しを請うたのだが、急に鞭の嵐が止んだ。女赤鬼が近づき、震えてうずくまっている和彦の頭を蹴って声を掛けた。
「どうだい?これで自分の立場が、少しは分かったかい?」
 和彦は苦痛と屈辱で体を震わせながらも、何とか答えを返した。
「…は、はい、分かりました」
 女青鬼も近づき、嘲笑って和彦に言った。
「ふん、男のくせにちょっと鞭で撫でられた位で、怯えてぶるぶる震えるなんて情けないわね…お前みたいな意気地なしに名前は必要ないわ。お前のことは男奴隷と呼ぶから、私達は女御主人様と呼びなさい。分かった!」
「…はい、分かりました…女御主人様」
 鬼とはいえ、自分を鞭打って苦しめた女を“女御主人様”と呼ばされる屈辱に、和彦は目頭が熱くなった。
「それじゃ、少し遊びましょう。男奴隷、早くお立ち!」
「は、はい…」
 女赤鬼の命令に、和彦は慌てて立とうとしたが、鞭の赤い筋を体中に刻み込まれた体は引きつってうまく動かず、ぎくしゃくしながら何とか立ち上がった。女赤鬼は彼の頬に目が眩む程の力強い往復ビンタを張った。
「ひいぃっ」
「早くお立ちと言ったのに、のろのろ立つなんてどういうつもりよ!私を舐めてるの!」
 女赤鬼は、頬を両手で押さえた和彦を叱りつけ、彼は半ば泣き声で返事をした。
「は、はい…すみません…」
 すると女赤鬼は、更に強烈なビンタを張った。
「ひいっ」
「何よ、その言葉使いは!“すみません”じゃなくて、“申し訳ございません、女御主人様”でしょう!」
「も、申し訳ございません、女御主人様…」
 和彦は頬を赤く腫らし、涙声で必死に返事をした。彼の様子を嘲笑いながら見ていた女青鬼が声を掛けた。
「まあ、最初だから、これ位で勘弁して上げるわ。男奴隷、今から“鬼ごっこ”をするわよ。少し時間を上げるから、逃げられるだけ逃げなさい。私達に追いつかれたら、鞭をもらう事になるわよ。さあ、お逃げ!」
 女青鬼はスタートの合図のように、空中で鞭を大きく鳴らした。その音を聞いた和彦は、慌てて女鬼達に背を向けて走り出した。
「ふん、股に醜い物をぶらぶらさせながら走るなんて、本当に見苦しいわね」
「追いついたら鞭で思いっきり叩いて、ちぎり取ってやりましょうよ」
 後ろから女鬼達の声が聞こえ、和彦は屈辱と羞恥心で目から涙をこぼした。岩場を走ったので裸足がたちまち傷つき、血が滲んだ。足が痛くてたまらなかったが、鞭の恐怖が和彦を走らせた。
 いい加減走ったところで、和彦は大きな岩陰にしゃがみ込み、息を切らせながら周囲を窺った。すると、いつの間に追いついたのか、背後から女赤鬼の声が響いた。
「男奴隷、何を休んでいるのよ!」
 和彦が驚いて振り向いた瞬間、鞭が風を切って飛んできた。
「うぎゃあーっ」
 真っ赤に焼けた鉄棒を押し付けられた様な激痛に、和彦を絶叫を上げて体を硬直させた。女赤鬼は嘲る口調で言った。
「ほらほら、早く逃げないと、また鞭をもらう事になるわよ!」
 「ひいっ、ひいいっ」
 和彦は情けない悲鳴を上げながら、鞭の激痛で硬直した体を無理に動かして、慌てて逃げ出した。足の痛みも忘れ、心臓が口から飛び出す位に走り、ぜえぜえ喘ぎながら別の岩陰に身を潜めた。しかし、その途端、背中を思いっ切り鞭打たれた。
「ぎえぇーっ」
 背中を焼けた刃物で切り裂かれる様な痛みに、和彦は悲鳴を上げて悶え苦しんだ。彼の背後から女青鬼の嘲り声が聞こえた。
「男奴隷、かくれんぼじゃなくて、鬼ごっこをしてるのよ。隠れて休んでは駄目でしょう。早く逃げなさい。それとも、まだ鞭が欲しい?」
「ひいいっ」
 和彦は悲鳴を漏らしながら、逃げ始めた。だが、息を切らせて岩陰に潜む度に、いつの間にか背後に現れた女鬼達に鞭打たれ、延々と走り続けさせられた。さすがに、どこまで走って逃げても、女鬼達は自由気ままに移動出来ることに気づいたが、鞭打たれないためには走り続けるしかなかった。
 気がつくと、最初の平らな場所に戻っていた。限界を越えて走らされた和彦は、四つん這いになってゲホゲホ咳き込んだ。もう鞭で打たれても、動けそうになかった。咳き込み喘いでいる彼に、女鬼達が近づいた。
「うふふ、ちょっと鬼ごっこした位で、随分苦しそうね」
「地獄で亡者が鬼から逃げ切れると、本気で思ってたの?本当に愚かな男奴隷だよ」
 和彦は女鬼達に、いいように嬲られた口惜しさで胸が張り裂けそうだった。女赤鬼が四つん這いで喘いでいる彼の顔に、足を突き出した。
「鬼ごっこしたから、足が汚れたわ。お前の口できれいにおし!」
 和彦は怒りと口惜しさで目が眩んだが、何とか感情を抑えて身震いしながら女赤鬼の足先に口をつけた。その途端、彼の背中に鞭が唸りを上げて振り下ろされた。
「うぎゃあぁっ」
 背中を切り裂かれた様な激痛に、和彦は絶叫を上げて地面に横たわった。女青鬼が苦しむ彼の顔面を踏みにじり、叱りつけた。
「女御主人様が下等な男奴隷に足を舐めさせて上げようというのに、お礼の一つも言えないのかい!まだ、鞭が足りないようだね!」
「ひっ、ひいっ、お許しを、鞭だけはお許し下さい…足を舐めさせてもらい、ありがとうございます…」
 和彦は慌てて礼を言ったが、更に鞭が力強く振り下ろされた。
「ぎゃああぁっ」
「何だい、その言葉使いは!低脳の男奴隷は、本当に口の利き方を知らないんだね。御礼を言うんだったら、“下賎な男奴隷に女御主人様の高貴な御足に口をつけさせて頂き、光栄至極に存じます”でしょう。最低これ位は言うものよ!」
 和彦は女青鬼の叱責を受け、屈辱に涙しながらも、途切れ途切れに礼を述べた。
「お…女御主人様の…高貴な御足に…口を…つけさせて頂き…光栄…至極に存知ます…」
女赤鬼は、ふふんと鼻で笑い、足先で和彦の顔をつついた。
「馬鹿な男奴隷には口の利き方から教えないといけないのね。手間が掛かるわ。もういいから、さっさと足をきれいにおし!足の汚れを丁寧に舐め取るんだよ」
 和彦はあまりの屈辱に身震いしながらも、女赤鬼の足に顔を近づけ、足先に舌を這わせた。じゃりじゃりとした土埃と共に、汗と脂のむっとする臭気が口中に充満し、口惜しさと情けなさに涙で視界がぼやけた。しかし鞭が恐ろしく、彼はひたすら女赤鬼の汚れた足先を舐め続けた。
「娑婆では女性を好き勝手に取り替えていたお前が、今は女の汚れた足を犬みたいにペロペロ舐めているんだよ。男奴隷、気分はどうだい?お前が今まで付き合った女性達に、この姿を見せて上げたいわ」
 女赤鬼の蔑みが和彦の心を深く傷つけ、目から涙が溢れて彼女の足の甲にこぼれた。その途端、女赤鬼に顔面をひどく蹴られ、和彦は悲鳴を漏らして地面に転がった。
「ひいっ」
「下等な男奴隷の汚らしい涙で、私の足を汚すんじゃないわよ!足の掃除も満足に出来ない役立たず奴隷なんか要らないわ。処分してやる!
 女鬼達の手にしていた鞭が急に太い鎖に変わり、和彦は目を丸くした。どうやら地獄では、鬼の思念一つで何でも自由に出来るようだ。
 女鬼達は凄い力で太い鎖を和彦の体に叩き付けた。
「ぐわぁっ」
 鎖を避けようとブロックした腕を折られ、和彦は悶絶した。女鬼達は情け容赦無く鎖を振るい、和彦の体中の肉は裂け、骨が折れた。
「も、もう…止め…止めて…」
 和彦は悲鳴を上げる余力も無く、つぶやくような声で哀願したが、女青鬼は、
「何言ってるの?よく聞こえないわよ。言いたい事があるなら、はっきりとお言い!」
と怒鳴り、彼の股間に鎖を振り下ろし、睾丸を直撃した。
「ぐおぇっ」
 睾丸が破裂した和彦は目の前が真っ白になり、ショック死した。
 
 
「寝てないで、早く起きなさいよ!」
 女赤鬼に頭を蹴られ、和彦は目を覚ました。ぼんやりとした視界で女鬼達を見た彼は、慌てて身を起こして立ち上がった。身体は前と同じく、傷一つ無い健康体に戻っていた。
「低能な男奴隷でも、いい加減私達の恐ろしさが分かったんじゃない?」
 女青鬼の嘲りに和彦は怒る余裕も無く、彼女の足元に土下座し、震えながら懇願した。
「は、はい、身に染みて分かりました。もう、逆らったりしません。何でも言う事を聞きます。ですから、痛い目に遭わせないで下さい。お願いします…」
 和彦は恥も外聞も無く、女鬼達に慈悲を請うた。あれだけ死ぬ程の、いや酷い殺され方は、もうされたくなかった。それから逃れられるのなら、どんな屈辱的な事でも耐えられそうだった。
 女青鬼は、ひれ伏した和彦の頭を踏みにじりながら、嘲笑った。
「ふんっ、随分素直になったじゃないの。口の利き方は、まだまだだけどね…まあ、いいわ。私達を楽しませてくれたら、嬲り殺すのを先に延ばして上げる」
 女青鬼は彼の頭から足を外すと、腰に巻いていた虎の毛皮を取り払い、仁王立ちになった。
「男奴隷、顔をお上げ!」
 上半身を起こした和彦の顔の前に、女青鬼の陰部があった。かなりの剛毛で、離れていても饐えたような強い臭いが鼻についた。
「お前の上の口で、私の下の口を喜ばせてごらん。もし、私が満足しなかったら…舌に焼きごてを当てた後で、ちぎり取るわよ!」
「は、はい」
 和彦は恐怖に震えながら、女青鬼の陰唇に口をつけた。途端に魚が腐ったような、もの凄い臭気が口と鼻に充満して吐きそうになったが、必死に耐えて舌を動かした。舌を動かす度に強烈な臭いが口中と鼻孔に広がり、あまりの情けなさに目の奥が熱くなった。
 しかし、和彦は女青鬼に奉仕する事に集中し、舌を動かし続け、クリトリスを唇で挟んで軽く吸い、舌先でつついた。舌も唇も最大限に活用し、女青鬼に満足してもらうように努めた。
「うふっ、うんっ…なかなか上手じゃないの…ああっ…」
 女青鬼は両手で和彦の頭を掴み、自分の陰部に彼の顔を強く押し付けて腰をくねらせた。傍で見ていた女赤鬼は、和彦に蔑んだ口調で声を掛けた。
「さすがは、女たらしだっただけはあるわね。お前、娑婆でも女のあそこを、そんなにしつこくペロペロ舐めてたの?ひょっとして、前世はバター犬だったんじゃない?最低ねっ!」
 女赤鬼の蔑みが和彦の心を深く抉り、目頭が熱くなった。しかし、彼は舌を焼かれてちぎり取られる恐怖に、舌と唇を動かし続けた。
 舌が疲れて、痺れと痛みを感じ始めた頃、女青鬼は背をのけ反らせ、ようやく絶頂に達した。彼女は両手で和彦の頭を引き寄せ、彼の顔面を自分の陰部に押し付けたまま動かなかった。和彦は女青鬼の分泌液で顔中をべとべとにして、舌を休ませた。
 しばらくして女青鬼は和彦の顔を引き離し、彼の顔を覗き込んだ。
「わあっ、汚い!顔中べとべとね。お前はそんなに女のあそこを舐めたかったの?いやらしい男奴隷だわ」
 女青鬼は自分で命じておきながら和彦に酷い事を言い、彼の顔を屈辱に歪ませた。顔中についている分泌液のきつい臭いが、彼の屈辱感を倍増させた。
「ちょっと、私にも楽しませてよ」
 傍で見ていた女赤鬼が女青鬼に声をかけ、彼女も腰に巻いている虎の毛皮を外し、和彦の前で仁王立ちになった。
「男奴隷、私に丁寧に奉仕して、喜ばせるのよ」
 女赤鬼は両手で和彦の髪を掴み、彼の顔面を自分の陰部に引き寄せた。
「うぷっ」
 女青鬼に勝るとも劣らない、饐えたような強烈な臭いに和彦は思わずむせたが、手を抜いた時の拷問が恐ろしく、疲れ果てた舌を気力で動かした。女赤鬼の陰部を舐める度に、臭い分泌液が溢れ出し、和彦の舌と鼻が麻痺する程の臭気が彼の精神をズタズタにした。いっその事、死んでしまいたいと思ったが、地獄では死んでも直ぐに元通りになるので、死を選ぶ事すら出来ない。和彦は出来るだけ無心になるよう心掛け、ひたすら女赤鬼の陰部を舐め続けた。
 彼の舌が腫れ、付け根に耐え難い痛みが生じた頃、ようやく女赤鬼が絶頂に達した。彼女は和彦の顔面を自分の陰部に押し当てたまま、しばらく余韻を楽しんだ。
 女赤鬼は和彦の顔面を引き離すと、邪悪な笑みを浮かべた。
「男奴隷、私達を喜ばせてくれたご褒美に、お前を可愛がって上げるわ」
 女赤鬼のクリトリスが、急に肥大し始めた。見る間に大きく膨らみ、怒張した大きなペニスの様になり、和彦を驚愕させた。
「驚いてないで、とっととおしゃぶり!」
 女赤鬼は硬く勃起したペニスの様なクリトリスを、和彦の口に突っ込んだ。喉まで届き、「おえっ」と吐きそうになる。女赤鬼は腰を前後に揺らして、酷い命令を下した。
「舌と唇を使って、念入りにしゃぶるんだよ。お前も男だから、どうやってフェラチオすれば感じるかは分かるでしょう。言っとくけど、歯を立てたりしたら、一本ずつやっとこで引き抜いてやるからね!」
 和彦は泣きそうになりながらも、女赤鬼の肥大したクリトリスを、歯が当たらないように注意してしゃぶり始めた。いい加減しゃぶり疲れた頃、女赤鬼は和彦の顔を引き離し、彼を蹴り倒した。
「いつまでもおしゃぶりしてないで、後ろ向きに四つん這いになって、お尻をお上げ!」
 和彦は今から自分がどんな目に遭わされるか予測がついたが、逆らえる筈も無く、よろよろと四つん這いになって、尻を上げた。
「上の口を可愛がって上げたから、次は下の口を可愛がって上げるわよ」
 女赤鬼はしゃがむと、和彦の尻たぶを両手で広げ、彼の肛門にペニスの様になったクリトリスの先端を当てがった。
「ひぃっ」
 それが力強く、じわりと挿入されようとしたので、和彦は短い悲鳴を漏らし、本能的に肛門をきゅっとしぼめた。女赤鬼は彼の睾丸に手を伸ばし、じわじわと握り締めた。
「ぐわあぁっ」
 強い痛みが下腹に広がり、和彦は呻き声を漏らして苦しんだ。
「男奴隷、私に逆らうつもりかい。力をお抜き!力を抜かなかったら、睾丸を握り潰してやるわよ!」
 女赤鬼の叱責と睾丸を握り潰される恐怖で、和彦は冷や汗をかきながら肛門の力を緩めた。そして、硬く勃起したペニスの様なクリトリスが、ゆっくりと和彦の肛門に挿入され、彼に喘ぎ声を出させた。
「ああっ…」
「うふふ、お前はお尻を犯されて感じているんだね。オカマを掘られて喜ぶなんて、娑婆ではホモだったんでしょう。女だけじゃなく、男ともやってたのね」
 女赤鬼の侮蔑が和彦の胸を抉った。彼は喘ぎながらも、必死に抗弁した。
「あうっ、そんな…違います…ぼ、僕は…ホモじゃない…」
 女赤鬼は和彦の股間のものをまさぐり、嘲笑った。
「ふんっ、嘘つくんじゃないよ!それなら、何でお前のこれは硬くなっているの。男のくせにお尻を犯されて興奮するなんて最低だね、この変態!」
「ああっ…」
 女赤鬼に硬くなった股間のものを掴まれ、和彦は自分が勃起している事に初めて気がついた。おそらく、前立腺を刺激されたために勃起してしまったのだろうが、女赤鬼に変態呼ばわりされても言い訳出来なくなり、彼の心はズタズタに引き裂かれた。
 そして女青鬼が和彦の前に来て、しゃがんだ。いつの間にか彼女のクリトリスも怒張したペニスの様に肥大していた。女青鬼は和彦の顎を掴み、ペニスみたいなクリトリスを咥えさせた。
「わたしのこれも、しゃぶるんだよ!」
 女青鬼は硬くなったペニスの様なクリトリスを、強引に突っ込んだ。
「うふふ、娑婆じゃ散々女を犯したり、自分のものをしゃぶらせたりしたんだろうけど、男の自分が女から犯されたり、しゃぶらされたりする気分はどうだい?これで少しは女の気持が分かったでしょう」
 女青鬼は和彦を蔑むと、腰を前後に振り始めた。彼の肛門を犯している女赤鬼は、腰の動きを速めながら、硬くなってしまった彼の股間のものを激しくしごいた。
「うぐうぅーっ」
 肥大したクリトリスを咥えさせられているため、くぐもった悲鳴を上げた和彦は絶頂に達し、多量の白濁液を放出した。女鬼達は彼の体から肥大したクリトリスを引き抜き、立ち上がった。クリトリスは見る間に萎んで小さくなり、濃い繁みの中へ元通りに納まった。
 精を放出した和彦は、背骨を抜き取られた様な虚脱感に襲われ、その場にうつ伏して荒い息をした。
(鬼とはいえ、女に犯されて、いってしまうなんて…)
 彼の精神は屈辱と自己嫌悪でズタズタに引き裂かれ、崩壊寸前だった。なぜ発狂出来ないのかと自分を呪い、うつ伏したまますすり泣いた。
 しかし、和彦を悲しみに浸らせ休ませてやる程、女鬼達は優しくなかった。女赤鬼が彼の頭を蹴り、叱り飛ばした。
「男奴隷、何を泣いているのよ!気持よかったんでしょう。感じて射精までしたくせに、この変態!ぼやぼやしてないで、さっさと四つん這いにおなり!」
 女赤鬼の罵声が酷く和彦を傷つけたが、彼女の命令に逆らえる筈も無く、よろよろと四つん這いになった。
 女青鬼が指をパチンと鳴らすと、和彦の口に手綱付きの口枷が、彼の背中に鞍が出現した。
「むぐっ?」
 不意に口中に口枷が出現し、彼は目を白黒させた。地獄では何でも鬼の思い通りになる事を、改めて認識させられた。女赤鬼の手に乗馬鞭が出現し、彼女は和彦の背に跨って手綱を握った。
「まだ男奴隷に、地獄を案内していなかったわね。説明して上げるから、とっととお進み!」
 女赤鬼は和彦の尻にピシリと一鞭くれると、踵で彼の腹を小突いて命令を下した。和彦がよたよたと這い始めると、いつの間にか乗馬鞭を手にした女青鬼が、彼の尻を横殴りに叩いた。
「うぐぐっ」
 尻に焼け火箸を押し付けられた様な痛みに、くぐもった悲鳴が漏れた。
「お前、わざとゆっくり這っているんじゃないだろうね。これでは馬じゃなくて、豚だよ!いえ、豚の方が遥かに速いわ。馬の役にも立たない男奴隷は、全身を切り刻んで嬲り殺しにするわよ!」
 女青鬼の乗馬鞭がぱっと刀に変わり、和彦を慌てさせた。彼は女赤鬼の重量に耐え、必死に手足を動かして這い進んだ。
「ふんっ、やれば出来るんじゃないの。男奴隷のくせに、手を抜くんじゃないよ!」
 女青鬼が蔑んだ声を出すと、手にしていた刀がまた乗馬鞭に戻った。和彦は一生懸命這い進んだが、岩場にさしかかると手と膝が痛み、まともに進めなくなった。
「何してるの、速くお進み!…と言っても、ちょっと無理ね。仕方ないか」
 女赤鬼はパチンと指をならした。すると和彦の両手と両膝に厚いカバーが出現した。
「これで這い進めるでしょう。男奴隷、とっととお進み!」
 女赤鬼は和彦の尻を鞭打って命じた。彼は尻に鋭い痛みを感じ、急いで手足を動かした。岩場でも厚いカバーのおかげで手と膝を痛めずに、何とか這い進めた。しかし、これは女鬼達の優しさではなく、和彦を馬として使い潰す残酷さであった。
 女青鬼は後ろから彼の股間にぶら下がっているものを乗馬鞭の先でつついて、侮蔑の言葉を浴びせた。
 「こんな醜いものをぶらぶらさせて、よく平気で這い回れるものね。本当に見苦しいわ。最低の恥知らずだね、お前は!」
 和彦は女青鬼の蔑みに目の奥が熱くなり、止める事の出来ない涙が溢れて地面にこぼれた。だが、女鬼達に怯え切っている彼にはひたすら手足を動かし、這い進む事しか出来なかった。
 やがて、広大で真っ赤な湖が見えてきた。赤い湖の中では、無数の亡者達がもがき苦しんでいた。
「ここは血の池地獄よ。元々は透明だったらしいけど、亡者達の血ですっかり赤くなっちゃったの」
 亡者達が血の池から這い上がろうとするのを、鬼達が金棒で叩き落としている様子を見て、和彦は鳥肌が立った。
 女鬼達は交代で和彦の背に跨り、先に進ませた。次は台座に縛りつけられた亡者達が、鬼達に刃物で皮を剥がされたり、手足を切断されたりして、耳を塞ぎたくなるような絶叫を上げている場所だった。
「ここは皮剥ぎ地獄よ。体をバラバラにされて殺されても、直ぐに元通りになるから、切り刻まれる苦しみを延々と受けるわ」
 文字通りの阿鼻叫喚の地獄で、和彦は恐怖のあまり失禁しそうになった。そんな調子で針地獄・灼熱地獄・畜生地獄等を見せつけられた和彦は、自分はどの地獄に落とされるのかと震え上がった。女鬼達は彼の考えが分かるのか、妙にやさしい声を出した。
「男奴隷、怯えなくてもいいわ。お前は私達が担当だから、どの地獄にも入れないわよ。安心しなさい」
 和彦はほっとしたが、その時はまだ、鬼の無慈悲さと女性特有の残酷さを併せ持つ女鬼達の手に委ねられるよりは、男の鬼が義務的に決まった苦痛を亡者に与える普通の地獄の方が、まだましと気付かなかった。
 延々と女鬼達を背にし、馬として地獄巡りに這い回された和彦は、さすがに疲れと猛烈な喉の渇きを覚えた。そんな彼の様子を見た女青鬼は、一旦彼の口枷を外して尋ねた。
「男奴隷、何か言いたそうね。言いたい事があるなら、言ってご覧よ」
 和彦は遠慮がちに、おずおずと答えた。
「あ、あの…少し休ませて下さい…それと喉が渇いて…」
 途端に目から火花が散る程の強烈な往復ビンタを受け、情けない悲鳴を漏らした。
「ひいいっ」
「男奴隷の分際で、横着言うんじゃないよ!私達が這えと言ったら、手足が折れても這いまわるんだよ!」
 女青鬼は怒鳴りつけると、再び和彦に口枷を装着した。
「お前に地獄案内して上げたんだから、私達も乗馬を楽しませてもらうよ。とっとと、お進み!」
 和彦の背に跨っていた女赤鬼はそう言うと、彼の尻にピシリと乗馬鞭の一撃を与えた。
「むぐぅっ」
 口枷のため、くぐもった悲鳴を上げた和彦は、急いで手足を動かし始めた。しかし、散々這い回され、体力は既に限界を超えており、程なくして手足に痙攣が来た彼は、地面に突っ伏して潰れてしまった。
「何するのよ!私を地面に転がすつもり!」
 和彦に跨っていた女赤鬼は怒って立ち上がると、乗馬鞭で彼の体中をめった打ちにした。和彦の体は見る間に赤い条痕で覆われ、彼は悲鳴を上げて両手で頭を抱えて転げ回った。
 意外にも女青鬼が、女赤鬼を諫めてくれた。
「ちょっと、それ位にしときなさいよ。本当に動けないみたいよ」
 女青鬼のとりなしで乗馬鞭の嵐は止んだが、和彦はぐったりと横になり、荒い息をするばかりだった。女青鬼が指をパチンと鳴らすと、和彦の体に装着されていた手綱付きの口枷・鞍・手と膝のカバーが一瞬で消え去った。女青鬼は彼の頭を蹴って、叱りつけた。
「男奴隷、私達がお前を馬に使って上げて、地獄案内までして上げたのに、お礼の一言も無いのかい!」
 和彦は鞭痕でひきつる体を無理に動かし、女鬼達の足元に土下座して、震え声で謝意を述べた。
「…お、女ご主人様、この下賤な男奴隷を馬として使って頂き、地獄案内までして頂いて、真にありがとうございます」
 女青鬼は和彦の頭を踏みにじり、罵った。
「まったく、言われないとお礼も出来ないのかい!娑婆じゃ、どんな躾を受けたんだろうね。どうせ金持ちの馬鹿ボンボンで、甘やかされただけなんでしょう。一から躾け直さないといけないわね」
 頭を踏まれて顔を地面に押し付けられた和彦は、自分ばかりか親の躾けまで侮辱され、あまりの屈辱に体を震わせて涙をこぼした。
 女青鬼が頭から足を外すと、和彦はわずかに残った勇気を絞り出し、顔を上げて女鬼達に懇願した。
「あの…お願いがあります…喉がカラカラに渇いて…水を飲ませて下さい」
 女青鬼の返事は、目も眩む程の強烈な平手打ちだった。
「ひいいっ」
「水が飲みたい?亡者の男奴隷が、贅沢言うんじゃないわよ!」
 今度は女赤鬼がとりなしてくれた。
「まあ、まあ、下等な男奴隷でも、喉は渇くわよ。水分補給させて上げましょう」
 和彦は思いがけない女赤鬼のやさしさに、ほっと安堵のため息をついたが、それはあまりにも甘過ぎた。
「男奴隷、水は無理だけど、私達の唾と痰なら飲ませて上げるわ。顔を上に向けて、口を開けなさい」
 和彦は顔色を変え、思わず拒絶の言葉を口にしてしまった。
「そ、そんなもの、飲めません」
 不意に女赤鬼の手に一本鞭が出現すると、唸りを上げて和彦の体に叩きつけられた。
「うぎゃぁーっ」
 和彦は体を切り裂かれたような激痛に、絶叫を上げてのけ反った。
「下賤な男奴隷の分際で私の慈悲を蹴るなんて、大した度胸ね。鞭で打ち殺してやるわよ!」
 女赤鬼が一本鞭を振り上げたのを見た和彦は、慌てて彼女の足元に土下座して詫びを述べた。
「ひいっ、申し訳ございません。お許し下さい。どうか、どうか、女ご主人様の唾と痰を頂かせて下さい。この哀れな男奴隷に恵んで下さいませ」
 女赤鬼は、土下座している和彦の傍の地面を鞭打った。
「ひいいっ」
 鞭音を聞いた和彦は縮みあがり、失禁しそうになった。
「鞭打たれたくないからといって、調子の良い事ばかり言うんじゃないわよ!特別に今回は大目に見て上げるけど、今度横着な真似をしたら嬲り殺しだからね!」
「は、はい、分かりました…身に染みて分かりました…」
 和彦は鞭の激痛に怯え切って、女赤鬼の叱責に震え声で返答した。
「それじゃ痰を恵んで上げるから、口をお開け!」
「は、はい、ただいま」
 和彦は女赤鬼に命じられ、急いで顔を上に向け、口を大きく開いた。女赤鬼は彼の口に、カー、ペッと痰を吐いた。ぬるっとした気持ち悪い感触に吐き気が込み上げてきたが、鞭が恐ろしく、身震いしながら何とか飲み込んだ。
「うふふ、人間痰壷だなんて、最低の男奴隷にお似合いね」
 女青鬼の蔑みが和彦の心を深く抉り、目頭が熱くなった。
「私も痰を恵んで上げるわ」 
 女青鬼も和彦の口に、カー、ペッと痰を吐いた。彼は嫌悪感を必死で押し殺し、体を震わせて何とか飲み込んだ。和彦は女鬼達の足元に再度土下座して、礼を述べた。
「女御主人様、下等な男奴隷に痰を恵んで下さり、真にありがとうございました…」
 女鬼達は彼の礼を聞いて、どっと笑った。
「あはは、痰を飲まされて、ありがたく礼を言うなんて、やっぱり最低の男奴隷だわ」
「うじ虫同然の男奴隷は、私達の痰壷に使われるだけでも、身に余る光栄なのよ、ホホホ」
 女鬼達の嘲笑を聞き、口惜しさと怒りで和彦は顔を真っ赤にさせた。しかし、鞭をもらわないためには、這いつくばって礼を言うしか方法が無かった。自尊心を押し殺して土下座した和彦だったが、喉の渇きは耐えられない程ひどくなっていた。
「あ、あの、お願いです…喉が渇いて…水を…」
 和彦は半ば鞭打ちを覚悟して、絞り出すように干からびた声で哀願した。すると、女鬼達は意外にもやさしい言葉を返した。
「そうよね、痰だけじゃ喉の渇きは治まらないわよね」
「男奴隷、飲ませて上げるから、ここに仰向けになりなさい」
 女赤鬼は、地面の窪んだ箇所を指差した。安堵した和彦がよろよろと窪みに横たわって仰向けになると、体が地面より20㎝くらい下になる深さだった。女青鬼が指を鳴らすと、和彦の手足に鎖が出現し、身動き出来ないように固定されてしまった。
「男奴隷、水は駄目だけど、私達のおしっこを飲ませて上げるわ」
 女赤鬼の言葉に、和彦は目を見開いた。
「そ、そんな…おしっこなんて飲めません」
 和彦が言い終わらない内に、鞭が風を切って振り下ろされた。
「ぎゃああぁーっ」
 体を切断された様な激痛に、和彦の絶叫が湧いた。
「私達が下等な男奴隷におしっこを恵んで上げようと言うのに、その態度は何よ!まだ、奴隷の身分が分かってないようだね。体に思い知らせてやるわ!」
 女鬼達が振り下ろす一本鞭に、和彦の体は見る間に赤い筋が刻み込まれ、彼はもがき苦しんで泣き叫んだ。
「ぎゃあーっ、止め、止めて下さい、お願いです。お許しを…」
 和彦の涙ながらの哀願に、鞭が急に止んだ。
「男奴隷、泣いてないで、言いたい事があるなら、言いなさい!」
 体を切り刻まれる様な鞭の激痛に泣き喚いていた和彦に、女赤鬼が叱りつけた。
「あ、あの…お許し下さい…おしっこを…おしっこを飲ませて下さい…お願いします…」
 和彦はやっとの思いで、女鬼達が怒らないような台詞を考えて口にした。女鬼達は、げらげら笑い出した。
「ちょっと、聞いた?この男奴隷は、私達のおしっこが飲みたいんだって。変態よね、変態!」
「娑婆でも女子トイレに忍び込んで、便器を舐めながらオナニーしてたんじゃないの?最低の変態だね!」
 自分達で命じておきながら、女鬼達は和彦を酷く罵倒した。その罵声が和彦の精神をズタズタにしたが、鞭の痛みには勝てなかった。彼に出来るのは、惨めにすすり泣く事だけだった。
女赤鬼と女青鬼は、それぞれ腰に巻いていた虎の毛皮を外すと、向かい合って窪みに拘束されている和彦に跨った。彼は怯えた目で、女鬼達の濃い繁みを凝視した。鞭打ちで興奮したのか、女鬼達の陰唇は赤く充血して濡れていた。彼女達の腰がわずかに震えると、濡れて光っていた陰唇から同時に尿が噴出された。
「ゲホッ、グホッ」
 黄色い奔流が和彦の顔を叩き、口と鼻に入り込んでむせてしまった。しかし、彼は必死に飲み始めた。飲まなかったら、また鞭打たれるのは火を見るより明らかだったし、渇き死にしそうな位に喉がカラカラに渇いていたからだ。
 強烈なアンモニア臭が口と鼻に充満し、尿が喉を焼いて、胃に溜まっていった。
(俺は女のおしっこを飲まされているんだ…)
 とことんまで貶められ、自分が奈落の底に落ちていく様な感覚に、目の前が暗くなった。それでも喉の渇きと、鞭の恐怖で、彼は喉を鳴らして女鬼達の尿を飲み続けた。
 いい加減に腹が膨れ、これ以上は飲めない状態になっても、女鬼達の排尿は止まらなかった。和彦が鎖で拘束されている窪みに、彼女達の尿がどんどん溜まっていく。
(どうなっているんだ?なぜ、おしっこが止まらないんだ?)
 尿の水位は、仰向けになっている和彦の顔面まで迫って来た。
「男奴隷、私達のおしっこは美味しいでしょう。遠慮せずに、たんとお飲み」
「お前は変態だから、女のおしっこが好きでしょう?おしっこの海に浸して上げるわ」
 女鬼達は楽しそうに和彦を蔑み、排尿を続けた。和彦は焦った。何しろ尿の水位が鼻まで来たからだ。
「ゴホッ、止めて、助けて…」
 和彦は助けを求めるが、女鬼達の排尿は止まらない。窪み一杯に尿が溜まり、和彦が尿の池に水没して、ようやく女鬼達の排尿が止まった。
「これで男奴隷は、存分に私達のおしっこが飲めるわ」
 「おしっこの池に沈んだけど、血の池地獄よりはマシよね」
 尿の池に沈められた和彦の耳には、女鬼達の勝手な言い草は届いていなかった。もがいても鎖で手足を固定されて、脱出出来ない。ゴボゴボッと彼の口から気泡が湧いた。空気の代わりに、尿が肺に入ってくる。
(苦しい、助けて…)
 酸素不足で目の前が暗くなり、もがいていた手足の力が抜け、和彦は尿の池で溺死してしまった。
 
 
「いつまで寝てるのよ!早く起きなさい!」
 女青鬼に頭を蹴られて目覚めた全裸の和彦は、起きると慌てて女鬼達の足元に土下座した。
「申し訳ございません、女御主人様…」
 和彦は自分がまた生き返った事を瞬時に悟り、酷い虐待を受けないようにするため、条件反射的に女鬼達の足元に這いつくばったのだった。
 女赤鬼が土下座している和彦の頭を踏みにじりながら、嘲笑った。
「ふふん、少しは男奴隷の自覚が身に付いた様だね。馬鹿は死ななきゃ治らないと言うけど、低能なお前でも2・3回死んで、ようやく自分の立場が分かったようね」
 女赤鬼の侮蔑が和彦の胸を深く抉り、彼は口惜しさで顔を紅潮させた。内心歯ぎしりしたが、酷い虐待を少しでも軽くしてもらうためには、耐えるしかなかった。
「…はい、身に染みて分かりました。女御主人様に躾けて頂き、奴隷の身分が理解出来ました。真にありがとうございます」
 和彦の口上を聞いた女赤鬼は彼の頭から足を外し、鼻で笑った。
「ふんっ、拷問を少しでも軽くしてもらおうと、心にも無い事を言うんじゃないよ!お前は、まだ地獄を舐めているようだね」
 土下座している和彦は心の内を見透かされて、冷や汗をかいたが、女青鬼がとりなしてくれた。
「まあ、いいじゃないの。少しは私達に気を使えるようになっただけ、マシだわ…男奴隷、お立ち!」
「は、はい」
 女青鬼に急に命令された和彦は慌てて立ち上がり、直立不動の体勢を取った。
「足を広げて、両腕を水平におし!」
「はい、女御主人様」
 和彦は言われた通りに、足を開き両腕を横に伸ばして、大の字の姿勢になった。女赤鬼が指を鳴らすと、彼の背後に密着するように大の字型の磔台が出現し、手足に丈夫な縄が巻き付いて拘束された。和彦が目を丸くしていると、女青鬼が彼の股間に手を伸ばしてきた。
 股間のものをまさぐられた和彦は、思わず声を漏らした。
「ああっ…」
「うふふ、娑婆で散々女を泣かせてきたものは、どんな具合だろうね」
 女青鬼は和彦の内股をさすり、陰嚢を揺すり、亀頭を指の腹で撫でた。若い和彦は直ぐに反応し、股間のものが屹立した。
「ふん、直ぐ硬くして、いやらしいわね…」
 女青鬼は左手で陰嚢を撫でながら、右手で硬くなったものをしごく。和彦は身をよじって、恥ずかしさと快感に耐えた。
「あうっ…」
 女青鬼はしゃがむと、硬く屹立したものを口に含み、舌を使った。左手は陰嚢を撫で続け、右手で肛門と陰嚢の間の敏感な箇所を、触れるか触れないかの微妙なタッチで撫でさすりする。
「あうっ、ああっ…」
 和彦は快感が高まり、絶頂まで追い込まれそうになって、呻き声を漏らして首を振った。女青鬼は一旦彼のものから口を離すと、上目づかいにに睨んで注意した。
「男奴隷、言っておくけど、お前の汚らしい白い汁で私の口を汚したら、どんな目に遭うか覚悟は出来てるだろうね!」
 女青鬼はそう言うと、再び硬度を増した彼のものを唇でくわえ、舌を激しく動かした。
「ああっ、そんな…お許しを…」
 和彦は身をよじって悶え、他の事を考えて気を散らして耐えようとしたが、女青鬼の唇と舌の動きには我慢出来ず、彼女の口に噴出してしまった。
「ああぁーっ」
 和彦は声を出してがっくりとうなだれ、恥ずかしさと拷問の恐怖にすすり泣いた。女青鬼は彼が放出したものを全て飲み干すと、まだ硬く屹立しているものを舐め回した後、口を手で拭って、立ち上がった。そして、うなだれている和彦の髪を掴んで上に引き上げ、目が眩む程の激しい往復ビンタを張った。
「ひいいっ」
「よくも私の口を汚してくれたわね!この償いは、お前の体でたっぷりしてもらうわよ。血の涙を流してもらおうじゃないの!」
 女青鬼は和彦の精を美味しそうに飲み干したにも関わらず、目を吊り上げて厳しく叱りつけた。和彦は力強い平手打ちに頭をクラクラさせながらも、懸命に謝罪した。
「お、女御主人様、申し訳ございません…どうか、お許しを…どうか、お慈悲を…」
「甘えるんじゃないよ!男奴隷のくせに私の口を汚しておいて、よく勝手な事が言えるものね。まだ、自分が奴隷だと分かってないんでしょう!」
「そ、そんな…」
 和彦は女青鬼の見幕に怯えて、全身をガタガタ震わせた。すると、女青鬼はぷっと噴き出し、女赤鬼の方を向いて声を掛けた。
「お先に頂いたわ。久しぶりに男の精を飲んだから、肌がつやつやしてきたみたい。あなたも飲む?」
「そうね、私も若い男の精を飲んで、元気をつけないとね」
 女赤鬼はそう答えると、和彦の前にしゃがんで彼のものを口に含んだ。
「ああっ…そんな…」
 しかし、和彦がいくら若いといっても、放出したばかりで、彼のものは萎みつつあった。女赤鬼がいくら唇と舌を使っても、大きくなりそうもない。
「…仕方ないわね」
 女赤鬼は和彦のものをくわえたまま、尻の方に手を伸ばし、彼の肛門に中指を挿入した。
「ひっ…」
 和彦は異様な感覚に、思わず声を漏らす。女赤鬼の指は彼の直腸をまさぐり、前立腺を探し当てた。指の腹でそれを押して、刺激する。
「あうっ、ひいっ、許して…」
 腹の底から湧きあがってくる、何とも表現出来ない感覚に、和彦は身悶えて切なそうな呻き声をあげた。
「うふふ、男のくせに女に肛門を責められて悶えるなんて、恥知らずもいいとこね。最低の変態め!」
 女青鬼の蔑みが和彦の胸を深く抉り、彼の目から涙が溢れた。彼が二度目の噴出をするのに、それ程時間は掛からなかった。
 女赤鬼も和彦が放出したものを美味しそうに飲み干し、まだ足りないという感じで、尿道口をチュウチュウ吸った。
「ひいいっ…ああっ…」
 和彦の喘ぎ声が聞こえ、女赤鬼は立ち上がって、手で口を拭った。
「やっぱり二番目だと、量が少ない感じね。やっぱり、一番絞りじゃないと駄目だわ」
「次は一番目を譲るわよ…男奴隷、まだ出せる?」
 女青鬼は和彦の股間のものを、足先でつつきながら尋ねた。
「…そんな…とても無理です」
 和彦がそう答えると、女青鬼は彼の股間を軽く蹴った。
「ぐえっ」
 軽くとはいえ、睾丸を蹴られた和彦は、強い痛みに呻き声を漏らした。下腹に痛みが広がっていき、苦しそうに顔を歪めた。
「もう出せないんじゃ、こんなものは必要無いわね…蹴り潰してやるわよ!」
 女青鬼の怒声に和彦は震え上がり、必死に懇願した。
「待って、待って下さい…もう少ししたら回復します。お願いですから、お待ち下さい…」
 女青鬼は、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべた。
「あら、そう?でも、睾丸を蹴り潰してお前を一度殺した方が、早く元通りに回復するんじゃないの?」
 和彦の脳裏に、鎖で睾丸を強打されてショック死した場面が蘇った。
「ひいいぃーっ、止めて、止めて下さい。許して下さい…何でもします、何でも言う事を聞きます…ですから、殺さないで下さい。それだけは許して下さい…お願いです…」
 和彦は恐怖で泣き叫び、顔を涙でくしゃくしゃにして命乞いをした。女赤鬼は苦笑しながら、指をパチンと鳴らした。すると、磔台と手足を縛っていた縄が消え去り、和彦はその場にがっくりと跪いた。
「男奴隷、それじゃ私達に何をしてくれるのかしら?」
 女赤鬼がからかうように尋ねると、和彦は急いで彼女の足元に這い寄り、足先に何度もキスしながら答えた。
「ああっ…分かりません、何をしていいのか分かりません…でも、お申し付けて下されば、何でもします…ですから殺さないで下さい…お慈悲を…」
 和彦は足先へのキスを続けながら、必死に答えた。あんな惨たらしい殺され方をされる位なら、何でも出来そうな気がした。
 横から女青鬼が足を伸ばして和彦の頭を踏みにじり、満足そうに声を掛けた。
「男奴隷、ようやく奴隷らしくなったじゃないの。可愛らしい態度に免じて、殺すのは先に延ばして上げるわ。その殊勝な心掛けを、忘れるんじゃないわよ」
 和彦は顔を地面に押し付けられながらも、一生懸命礼を述べた。
「あ、ありがとうございます…ありがとうございます、女御主人様…」
 和彦には既に、恥も外聞も無かった。口惜しいとか、屈辱を感じる余裕すら無かった。ただ、酷く殺されないで済むという安堵感で、自分を酷い目に遭わせた女鬼達に、心の底から感謝した。和彦の精神は完全に女鬼達に組み敷かれ、隷属してしまった。
 女青鬼が彼の頭から足を外すと、女赤鬼が和彦に命じた。
「男奴隷、顔をお上げ!」
 和彦が恐る恐る上半身を起こすと、彼女は腰に巻いていた虎の毛皮を取り払い、身体の向きを変えた。和彦の顔面に尻を突き出し、両手で尻たぶを拡げて、ひどい命令を下した。
「男奴隷、奴隷の自覚があるのなら、私の肛門を舐めてごらん!」
 和彦は、あまりにも侮辱的な命令と、ぷんっと鼻につく臭いに一瞬ためらったが、惨たらしい殺され方をされる恐怖には勝てず、女赤鬼の尻に顔を埋めて肛門に舌を這わせた。和彦の舌と口に何とも表現出来ない、苦みと酸っぱさが入り混じったような味が広がり、独特の強い臭気が鼻孔の奥まで到達して、頭がクラクラした。
「うふっ、ちょっと変な感じだけど、気持ちいいわ。念入りに舐めるんだよ。汚れを全て舐め取りなさい。男奴隷の身分で女御主人様の尻の穴を舐めさせてもらえるなんて、身に余る光栄でしょう」
「ふん、男のくせに、よく女の肛門をペロペロ舐められるものね!犬でもそんな汚いところは舐めないわよ。犬以下の、最低の男奴隷だよ、お前は!でも、お前に奴隷根性が染みついた証拠だから、褒めないといけないのかもね」
 女の肛門を舐めさせられるという屈辱に加え、女鬼達の侮蔑が和彦の心をズタズタに引き裂き、目の奥が熱くなって涙で視界がぼやけた。
 女赤鬼が満足して、ようやく肛門舐めを終わらせてもらうと、今度は女青鬼が和彦の前に立った。彼女も腰に巻いている虎の毛皮を取り払った。
「男奴隷、尻の穴を舐め過ぎて、喉が渇いたでしょう。口直しを兼ねて、私のおしっこを飲ませて上げるわ」
 女青鬼は両手で和彦の髪を掴んで、彼の顔面を陰部に引き寄せて、口を自分の陰部に当てがった。
「出るわよ。一滴でもこぼしたら、どうなるか分かっているでしょうね。さあ、お飲み!」
女青鬼の陰唇から勢いよく尿が噴出し、和彦はこぼさぬように慌てて自分の口を陰部に密着させ、喉を鳴らして飲み始めた。強いアンモニア臭をともなった尿が鼻に衝撃を与え、喉がただれるような錯覚をさせ、胃に溜まっていった。和彦は身体の内側から貶められた気分になった。尿を飲まされるのは二度目になるが、何度体験しても慣れるものではなかった。和彦が捨てた筈の自尊心が蘇り、彼自身をひどく苦しめた。
 女青鬼の排尿が延々と続くのではないかと不安だったが、今回は普通に終わった。和彦は口を陰部に吸いつかせたまま安堵したが、女青鬼は彼の顔を一旦陰部から引き離すと、目から火花が散る位の強烈な往復ビンタを張った。
「ひいいぃっ」
 哀れな悲鳴を漏らした和彦に、女青鬼は、
「何をぼんやりしているの!おしっこを飲み終わったら、言われなくても舌で後始末おし!本当に気が利かない男奴隷だね。一から躾け直さないといけないわ。全く、手間の掛かることね」
と叱りつけ、再び彼の顔面を引き寄せて、陰部に押し付けた。
「うっ…ううぅ…」
 和彦は頬の痛みと耐えがたい屈辱に嗚咽を漏らしながらも、舌を伸ばして尿で濡れた女青鬼の陰唇を舐め始めた。舌と口中に改めてアンモニア臭が拡がり、彼の屈辱感を倍増させた。
「舐めるだけじゃ、能が無いわね。唇も使って、残っているおしっこも吸い取るのよ!」
 頭上から女青鬼に注意され、和彦は体を震わせて屈辱と恥辱を押し殺し、唇でチュウチュウ陰唇を吸った。口中に広がる、決して慣れることのない強いアンモニア臭が彼を苦しめて目に涙を浮かべさせた。
「女のおしっこを喜んで飲み、吸い取るなんて、肥溜めのうじ虫以下だね。最低の変態だよ、お前は!」
 傍で見ていた女赤鬼に侮蔑が和彦をひどく傷つけ、目の前を暗くさせた。
 女青鬼への後始末が終わると、女鬼達は腰に虎の毛皮を巻いた。そして、不意に彼女達の手に弓矢が出現した。
(ま、まさか…)
「たまには狩りを楽しみましょう。獲物は勿論…男奴隷、お前だよ。さあ、お逃げ!」
 嫌な予感は的中し、和彦は女鬼達に背を向け、慌てて走り出した。逃げ切れないのは分かっていたが、今の和彦には出来るだけ女鬼達から遠ざかる事しか考えられなかった。
 女鬼達は適当な距離を取ると、今度は瞬間移動をせずに和彦を追って来た。岩場で足を傷つけながらよたよた逃げる和彦とは対照的に、女鬼達はまるで野生動物のように岩から岩へ身軽に飛び移って追って来た。和彦の首筋を凄い勢いで矢がかすめ、彼は失禁しそうになった。
 和彦の体中に矢が撃ち込まれて射殺されるのに、それ程時間は掛からなかった。
 
 
 酷い拷問を受け、嬲り殺される日々が続いた。女鬼達は単純に拷問するのではなく、和彦に最大限の羞恥と屈辱を与える事を楽しんでいた。
 女鬼達が休憩する時は、決まって和彦の顔面に座り、尻で彼の顔と精神を押し潰して屈辱を味わさせた。酷い拷問で傷だらけとなり、息も絶え絶えの和彦の鼻と口を、女鬼達は自分の股間で塞ぎ、彼が窒息しそうになって苦しむ様子を楽しんだ。
 もう少しで窒息死するところで、女鬼達はわずかに腰を浮かし、和彦に呼吸をさせた。空気を吸う際、嫌でも女鬼達の陰部の饐えたようなきつい臭いを一緒に吸い込むことになり、その凄い臭さに和彦は身震いして苦しんだ。
 休憩でさえ、この有様なので、拷問は正に凄惨を極めた。また、女鬼達の陰湿なところは、酷い拷問と引き換えか、または拷問のわずかな手加減と引き換えにして、和彦に人間の尊厳を捨てさせる様な屈辱的な行為を進んでさせる事だった。
 ある時、女鬼達が真っ赤に焼けた鉄棒を、和彦の体に少しだけ押し付けた。
「ぎゃああぁーっ」
 火傷の痛みに、和彦は絶叫を上げて苦しんだ。
 女鬼達はニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、
「男奴隷、焼きごてを全身に押し付けられるのと、私達のうんこを食べるのと、どちらを選ぶ?」
と、残酷な選択を迫った。
「そ、それは…」
 和彦が答えられないでいると、女鬼達は真っ赤に焼けた鉄棒をちらつかせて、からかう口調で決めつけた。
「それじゃ、焼きごてに決まりね。全身に押し付けて、こんがり焼いて上げるわ」
 和彦は震え上がって、女鬼達に土下座して懇願した。
「い、嫌です、焼きごてだけは嫌です…食べます、うんこを食べます…女御主人様のうんこを頂かせて下さい」
 女鬼達は和彦を指差して、大笑いをした。
「アハハハッ、ねえ、聞いた?この男奴隷は女のうんこを食べたいんだって!普通の男なら、うんこを食べるよりは、焼け死ぬ方を選ぶわよね。最低の変態だわ!」
「ウフフッ、この男奴隷には自尊心のかけらも無いのよ。女のうんこが食べたいだなんて、本当に肥溜めのうじ虫だわ。汚らわしい!」
 自分達で選ばせておきながら、女鬼達は和彦をひどく嘲笑し、彼は自分が崩壊していく気分で、目の前が暗くなった。
「男奴隷、地面に仰向けにおなり!」
 女赤鬼が命令し、和彦は急いで地面に横たわった。女赤鬼は和彦の顔を跨ぎ、腰に巻いている虎の毛皮を捲くると、しゃがみこんだ。和彦は彼女の股間部分が迫って来るのを見て、泣きそうになった。女赤鬼は和彦の口に自分の肛門を当てがうと、非情な命令を下した。「男奴隷、口を大きくお開け!残さずに食べるんだよ!」
 和彦がやむなく口を開いたのと、女赤鬼が排泄したのは、ほぼ同時だった。和彦の口に凄まじい臭気を発する固体が流し込まれた。彼は何とか飲み込もうとしたが、生理的嫌悪感の方が遥かに強くて、勢いよく吐いてしまった。
「うげえぇーっ、げえぇっ、げええぇ…」
 和彦は地面にのたうち、体を痙攣させて吐き続けた。女青鬼はうつ伏して吐いている和彦の首筋を踏みつけて、動けないようにした。
 女赤鬼は怒り、焼けた鉄棒を手にして、彼を怒鳴りつけた。
「食べますと大見えを切ったくせに、この有様は何よ!私のうんこが、そんなに汚いと言いたいんだね。奴隷の心構えが、全くなっていないわ。お前なんか、こうしてやる!」
 女赤鬼はしゃがんで和彦の尻たぶを拡げ、真っ赤に焼けた鉄棒の先端を彼の肛門に当てがい、情け容赦無く一気に突っ込んだ。
「うがああぁーっ」
 直腸に焼けた鉄棒を奥まで突っ込まれた和彦は、獣じみた絶叫を上げ、そのままショック死した。
 
 
 嬲り殺されては蘇り、蘇っては嬲り殺される日々を送り、和彦の感覚では30日位、約1ヶ月が経過した。和彦を鞭打って、彼の悲鳴を楽しんでいた女鬼達は、一旦手を休めて話をし始めた。
「…それしても、この男奴隷の刑期がたったの1年だなんて、信じられないわよ。普通は5千年とか1億年なのにね」
「閻魔大王さまも、ヤキが回ったんじゃないの。まあ、短い分だけ念入りに可愛がって上げないとね…男奴隷、お前も刑期が短すぎて、物足りないでしょう?」
 和彦は鞭痕に体を引きつらせ、おずおずと答えた。
「でも、後11ヶ月程ありますし…」
 女鬼達は一瞬きょとんとした顔で互いに見つめ合い、それから大爆笑した。
「アハハハッ、可笑しい、お前、全く勘違いしているわね」
「オホホホッ、まだ説明してなかったかしら…人間の1日は、地獄では1秒にしかならないの。お前は地獄で、まだ30秒位しか過ごしていないのよ」
 女鬼達の説明を聞き、和彦は目の前が真っ暗になった。この1ヶ月が30秒位にしかならないなんて…それでは10年位経って、ようやく1時間という事になる。これでは、ほとんど無期懲役じゃないか…しかし、刑期1年でこれでは、5千年とか1億年の刑期の者はどうなるのだろう…和彦は改めて地獄の恐ろしさを認識した。
 呆然としている和彦に、女鬼達が声を掛けた。
「男奴隷、呆けているんじゃないよ!続きを始めるからね!」
 女鬼達が風を切って鞭を振るい、和彦の悲鳴が再び地獄に響いた。
 
 
 病院の集中治療室で、医者が和彦の両親に説明していた。
「…手術後の経過は良好です。もう、生命の危険はありません。心配していた後遺症の問題も無い様です。後は息子さんの意識が回復するのを待つだけです」
 母親は涙ぐみ、父親は昏睡状態でベッドに横たわっている和彦を心配そうに見て、医者に尋ねた。
「それで先生、息子はいつ目を覚ますのでしょうか?」
 医者は些か難しい顔をして、答えた。
「それについては、何とも言えません。明日にでも意識を取り戻すか、1週間後か、1ヶ月後か、半年後か…それと脳波に若干の変動がありますので、何かの夢をずっと見続けているようですね」
「そうですか…せめて楽しい夢を見ていれば良いのですが…」
 両親はベッドで眠り続ける和彦を見て、深いため息をついた。
サディスティックなお姉さんに強制手コキされるM男