孔  雀

作者 namelessさん
私と直紀が出会ったのは、大学3年の春だった。3年生になって、彼と同じゼミになったのだ。背が高いイケメンの直紀は、成績優秀でスポーツも得意、その上資産家のお坊ちゃまとあって、常に女の子がまとわり付いていた。しかし、直紀はどういう訳か、寄って来る美人女子大生には目もくれず、冴えない私にアプローチして、付き合うようになった。私はブスではないが、それ程美人という訳でもなく、女にしてはかなり上背があり、中学・高校とバレー部で培ってきた腕力・体力と、負けん気の強さだけがとりえという女子大生なので、女性としての魅力にかなり欠けているのを自覚していた。だから、なぜ直紀が私を気に入ってくれたのか、本当に疑問だった。周囲の女同級生は、月とスッポンと か、提灯に釣鐘とか、蓼食う虫も好き好きだとか、好き勝手に言ってくれた。

 直紀と二、三回デートした後、夜遅くに静かなバーで、彼とグラスを重ねた。アルコールの力を借り、いい雰囲気になったところで、彼のマンションに誘われた。勿論、私に断る理由は無く、直紀と共にいそいそと彼のマンションに向かった。部屋に入り、ベッドに二人並んで腰掛けると、今から起こる事の期待に胸が高鳴った。しかし、直紀は中々私に手を出そうとせず、重苦しい沈黙がその場を覆った。私は気まずい沈黙を打破しようと、自分から声を掛けた。
「…ねえ、直紀さん。他にも女の子は大勢いるのに、どうして私を選んでくれたの?」
 直紀は顔を赤らめ、つっかえながら答えた。
「そ、それは…初めて麻美さんに出会って、一目惚れしたんだ…いや、一目惚れと言うより、麻美さんを崇拝したいと、強烈に感じたんだ」
「ありがとう、直紀さん…」
 崇拝と言った意味がよく分からなかったが、直紀の気持ちが聞けて嬉しくなった私は、目を閉じ、顔をやや上に向け、彼を誘った。直紀は優しく唇を重ねると、私の服を脱がし始めた。彼のなすがままに、ブラウス・スカート・ストッキングを剥ぎ取られた私は、ブラジャーとパンティだけの下着姿になった。今日、何となく予感していた私は、ブラジャーもパンティもセクシーな黒色にしていた。直紀も急いで服を脱ぎ、ボクサーパンツ1枚だけの姿になった。
 さあ、これから…私は直紀に優しくベッドに押し倒される展開を予想していたのだが、彼は意外な行動に出た。直紀はベッドに腰掛けている私の足元に這いつくばり、足先に熱烈なキスを何度も繰り返したのだ。
「な、何してるの、直紀さん…?」
 驚いた私は、直紀の行動が理解出来ず、上ずった声で問い掛けた。すると、彼は一旦顔を上げ、私の目を見つめて、
「僕は麻美さん…いえ、麻美様を崇拝しているんです。麻美様に服従したいのです。どうか、僕を支配して下さい!」
と思いつめたような表情と真剣な声で答え、再び足先へのキスを繰り返した。急に私を“麻美様”と呼び、“服従したい”とか“支配して下さい”等と言い出し、足先に何度もキスする直紀を見下ろして、私の頭はすっかり混乱した。
「何するの、止めてよ!」
 私は思わず足裏で直紀の顔を蹴り飛ばしてしまい、彼は床にもんどり打って倒れた。私は、直紀の顔を蹴ってしまった自分の行為に自分自身が驚いたが、体を起こして顔を上げた彼が、うっとりとした表情を浮かべているのを見て、更に驚いた。直紀は私の足元に這い寄ると、自分の顔を蹴った私の足を両手でうやうやしく捧げ持ち、
「ああっ、麻美様、ご無礼をお赦し下さい。どんな罰でもお受け致しますから、何とぞお赦し下さいませ…」
と言って、今度は私の足裏にキスを繰り返した。私は何だか無性に腹が立ち、意識して直紀の顔を強く蹴り、彼を再度床に転がした。私は腰掛けていたベッドから立ち上がると、床に転がっている直紀に近寄り、彼の顔を踏みつけた。私は呻き声を上げる直紀を見下ろし、怒鳴りつけた。
「女の足に口を付けて喜ぶなんて、誰が見てもおかしいわよ!直紀、お前は変態なの!?」 
 私は、ごく自然に直紀を呼び捨てにして、彼の顔を更に踏みにじった。直紀はハンサムな顔を歪め、苦しそうな声を出した。
「麻美様、お赦し下さい…何の許可も得ずに、麻美様の貴い御足に口を付けてしまったご無礼を、お赦し下さいませ…麻美様から、どんなお仕置きでも甘んじてお受け致しますから、何とぞお慈悲を…」
 私は自分の足下から響く、直紀の卑屈で惨めな哀願を聞き、背骨に電流が走ったように感じた。体の芯から黒い業火が噴き出て、子宮が疼いた。部屋を見回すと、直紀の脱いだスラックスが、私の目に入った。私は直紀から一旦離れ、彼のスラックスから革ベルトを引き抜いて、再び横倒しになっている彼に近づいた。私は横たわっている直紀の直ぐ傍の床をベルトで思い切り叩き、彼を叱り付けた。
「いつまで寝ているつもりよ!?さっさと起きて、正座しなさい!」
「は、はい、ただ今…」
 革ベルトがフローリングの床を叩いた大きな音に驚いた直紀は、弾かれた様に体を起こし、その場に正座した。その時、直紀のボクサーパンツがはち切れそうに、突っ張っているのに気づいた。
「直紀、ひょっとして興奮してるの…?やっぱり変態ね、お前は!」
 私は直紀をお前呼ばわりして罵り、彼は恥ずかしさで、顔を真っ赤にして俯いた。
「確かめる必要があるわね…パンツを脱いで、股間を見せてご覧!」
 私が命じると、直紀は顔を上げ、躊躇いの言葉を口にした。
「そ、それは、ちょっと…」
 私はすかさず、革ベルトを直紀の上半身へ、袈裟懸けに力強く振り下ろした。
「うぎゃあーっ」
 裸の上半身をしたたかに革ベルトで打たれた直紀は、悲鳴を上げて体を仰け反らせた。彼の哀れな悲鳴は、僅かに残っていた私の自制心を、完全に吹き飛ばした。
「口答えするなんて、生意気よ!お前の体に思い知らせてやるわ!」
 私は革ベルトを滅茶苦茶に振り回し、直紀の体を乱打した。
「ひいっ、ひいっ、お赦しを、どうかお慈悲を…」
 直紀は悲鳴を上げ、泣きそうな声で私に赦しを請い、革ベルトの鞭の嵐を避けようと、床を這い回る空しい動きをした。
「何を勝手に動いているのよ!」
 私は直紀を怒鳴りつけ、四つん這いになって逃げ回る彼の背後から、股間を蹴り上げた。
「ぐおおぅっ」
 獣じみた悲鳴を漏らした直紀は、又も床に横倒しとなり、両手で股間を押さえ、芋虫の様に体を丸めたり伸ばしたりして、悶え苦しんだ。私は再度、直紀の顔を踏みにじり、彼を酷く罵った。
「さっき、『どんなお仕置きでも、甘んじて受けます』と言っておきながら、舌の根も乾かぬうちに、この醜態は何よ!お前は本当に口先だけで、中身が全く無い最低の嘘つき男だね!」
 直紀は私の足下で、涙をボロボロこぼし、息も絶え絶えに哀れみを請うた。
「お赦し下さいませ…お慈悲を、麻美様…」
 革ベルトの鞭痕が赤く腫れた筋となり、直紀の全身を縦横無尽に走っていた。私は直紀の顔から足を外し、再び彼の傍の床を革ベルトで叩いて、命令した。
「さっさとパンツを脱いで、股間を私に見せなさい!何度も言わせるんじゃないわよ!」
「ひいっ、は、はい、わかりました…」
 革ベルトが床を叩く音に怯えた直紀は、鞭打たれて引きつる体を無理に動かして、よろよろと何とか立ち上がり、ボクサーパンツを引き下ろして脱いだ。驚いた事に、あれ程痛い目に遭ったにも関わらず、直紀の股間のものは、硬い屹立を保っていた。私は恥ずかしい命令を、直紀に下した。
「両手は頭の上で組んで、足をもう少し広げて、腰をもっと突き出しなさい!」
「はい、麻美様…」
 直紀は恥辱で顔を紅潮させながらも、私に命じられた通りの屈辱的なポーズを取った。私は片手を直紀の股間に伸ばし、硬く屹立したものを握って、ゆっくりとしごき始めた。
「ああっ、麻美様、御手が汚れてしまいます…」
 直紀の言う通り、私にしごかれて快感を高めたのか、彼の屹立したものの先から、透明で粘ついた液が出て、私の手に付着した。私は直紀のものから手を離し、彼の脱いだシャツでその手を拭った。直紀の方を見ると、屈辱的なポーズのまま、切なそうな顔で、股間の硬い屹立を維持していた。それは私の方に猛々しく突き出ており、一瞬私を狙う銃身のように見えた。私は革ベルトを強く握り締めた。
「女性の前で、いやらしくおっ立てるんじゃないわよ、この恥知らず!」
 私は革ベルトを振り上げ、直紀の硬く屹立したものを、情け容赦無く打ち据えた。
「ぎゃあぁーっ」
 急所を革ベルトでしたたかに打たれた直紀は、絶叫を上げて両手で股間を押さえ、床に転がって苦しんだ。私は転がった直紀を蹴りつけながら、酷く罵倒した。
「硬くおっ立てるから、痛いのよ!お前のいやらしい性根が、お前自身を苦しめているのよ。少しは反省おし、最低の変態!」
 直紀は余程痛かったのだろう。私に赦しを請う余裕も無く、苦しげな呻き声を上げて、涙を流し続けていた。
 直紀の悶え苦しむ姿を見下した私は、もう自分を抑える事が出来なくなった。私は彼の尻に革ベルトを一閃し、命令した。
「いつまでも床に転げていないで、ベッドにお上がり!」
 直紀は泣きながら、ベッドによじ上がった。私は空中で革ベルトを振り、空気を切り裂く音を立てて直紀を威嚇し、更に命令した。
「仰向けになって、大の字におなり!」
 直紀は引きつる体を無理に伸ばし、ベッドの上で大の字になった。革ベルトで酷く鞭打たれても、彼の股間のものは、まだ屹立していた。私は革ベルトを床に放り投げ、黒のブラジャーとパンティをもどかしげに脱ぎ捨てた。その時になって初めて、自分の陰部が充血し、濡れ濡れになっているのに気づいた。私もベッドに這い上がり、直紀の硬く屹立しているものを握ると、激しくしごいた。
「うわあぁーっ、麻美様、お赦しをーっ」
 直紀の口からようやく赦しを請う言葉が飛び出したが、それが痛みのためか、快感のあまり射精してしまいそうになるためかは、分からなかった。私はしごくのを止め、直紀のものを口に含んだ。この時に、彼のものの横が腫れているのに気がついた。先程、革ベルトで鞭打った痕だろう。私は舌と唇を最大限に使い、直紀のものを愛撫した。彼のものが更に硬く膨張するのを、口中に感じた。口を離した私は直紀の体に跨り、極限まで硬くなった彼のものを、自分の熱く濡れそぼった陰部に当てがい、一気に腰を下ろした。
「はうぅっ」
 陰部から頭頂部まで貫く強烈な快感に、私の口から喘ぎ声が漏れた。私は荒馬に跨っている様に、激しく腰を動かし、体を揺らせた。私の下で、直紀は泣きそうな声を出した。
「ああっ、麻美様、イッてしまいます…」
「駄目よ、許さないわ!お前にイク権利なんて無いのよ!」
 本当は直紀に、私と一緒に絶頂を迎えて欲しいのだが、私の口からは反対の言葉が出ていた。激しく体を動かす私の下で、直紀は泣き声の悲鳴を上げた。
「ああっ、もう駄目ですぅ、赦してぇーっ」
「赦さない、イッたら、絶対に赦さないわ!お仕置きするわよ!」
 私も直紀を怒鳴りながら、限界に近づいていた。そして、間もなく二人とも大声を上げて絶頂を迎え、私は直紀の体に倒れ込んだ。


 私はベッドの上で直紀と抱き合い、子宮の痺れが下半身に広がっていく様な余韻を楽しんでいた。私は直紀の胸を指でなぞり、いつからそんな性癖を持つようになったのか、尋ねてみた。直紀は恥ずかしそうに顔を赤らめ、ぽつりぽつりと話し始めた。
 小さい頃から、女の子をわざと怒らせ、叩かれて構ってもらうのが嬉しかった事、中学生になり、友達と逆レイプもののAVを見て、異様に興奮し、パンツを汚してしまった事、高校生でSMの知識を得て、自分がマゾだとはっきり自覚した事、それ以来、綺麗な女性が寄って来ても、全く乗り気になれず、悶々と悩んでいた事等…。
「…でも、麻美様に初めて出会って、雷に打たれた様な衝撃を受けたのです。この方なら、僕はお仕え出来る、もう悩まなくて済むと…」
 直紀の告白を聞き、彼はマゾの本能で、私自身も気づかなかったサディスティンの本性を見抜いた事が分かった。実際、私は直紀を虐待し、彼の苦しむ姿を見て、例えようも無い快感を得たのだ。私は直紀の股間をまさぐりながら、彼の耳元にささやいた。
「直紀…ところで、私はイッたら赦さないって、言ったわよね。お仕置きは、覚悟してるでしょうね…?」
 先程、射精したばかりなのに、“お仕置き”と聞いただけで、直紀は股間のものをたちまち硬くさせた。私は硬くなったものを握って、ゆっくりしごきながら、更にささやいた。
「あらあら、こんなに硬くして…そんなにお仕置きされたいの?直紀は、本当にマゾの変態ね」
「ああっ、言わないで…恥ずかしい」
 直紀はまるで女の子の様に恥じらい、目を閉じて、頭を振った。恥らう直紀の仕草を愛しく思いながらも、私はしごいていた手を下の方にずらし、陰嚢を握って、じわりと力を込めた。
「ひいっ、い、痛い…お赦しを…」
 男にしか分からない痛みに、直紀は端整な顔を歪めて、苦しんだ。しかし、私は力を緩めず、直紀の陰嚢を掴んだままベッドから降りて、浴室に向かった。
「ま、待って、待って下さい、麻美様…」
 陰嚢を引っ張られた直紀は、情けない哀願を口にして、腰を前に突き出す珍妙な格好になり、私に続いた。広い浴室に入ると、私は直紀に正座するよう命じて、バスタブに腰掛けた。私が脚を開くと、直紀の目は私の陰部に釘付けになった。バスタブに腰掛けている私の股間と、正座している直紀の顔は、丁度同じ位の高さになる。私は直紀の髪を掴み、彼の顔を自分の股間に引き寄せた。
「お前の上の口で、私の舌の口をお掃除しなさい、変態マゾ!」
 私は直紀の口を自分の陰部に押し付けて、命令した。直紀は懸命に唇と舌を使い、私の陰部に奉仕した。先程のめくるめく様なセックスの後で敏感になり、感度が良くなっていた私の陰部から、夥しい愛液が湧き出て、直紀の口元をベトベトに汚した。とても陰部の掃除どろこではないが、直紀は咽そうになりながらも、嬉々として唇と舌を動かし続けた。私も絶頂に近づき、乱れそうになったが、今は支配者の威厳を示さねばならぬと自分に言い聞かせ、直紀の顔を股間から引き剥がした。
 私は直紀の目をじっと見つめ、彼に尋ねた。
「直紀…本気で私の奴隷になりたいの?もし奴隷になったら、私から毎日酷い辱めを受けて、人間の尊厳を全て剥ぎ取られ、二度と私とは対等のお付き合いが出来なくなるのよ…今ならまだ、私達は普通の恋人同士に戻れるわ。それでも、私の奴隷になりたいの?やっぱり、普通の恋人同士に戻る?どうするの?」
 私の問い掛けに、直紀は何の躊躇いも見せず、
「どうか、僕を麻美様の奴隷にして下さい。どんな辱めでも、どれ程酷い苦痛でも、喜んでお受けして、麻美様に絶対服従を誓います」
と、きっぱり言い切り、私の足元に土下座した。
 私は予想通りの回答を得て嬉しくなり、内心ほくそ笑んだが、わざと冷たい表情を作り、軽蔑し切った声で直紀を罵った。
「ふん、せっかく恋人に戻れるチャンスを与えてやったのに、それでも私の奴隷になりたいだなんて…本当に最低の変態だよ、お前は!」
 私は土下座している直紀の頭を蹴って、命令を下した。
「いつまでも這いつくばってないで、顔をお上げ!」
 直紀が上半身を起こしたところで、私は彼の頬を思い切り平手打ちして、理不尽に叱りつけた。
「ぼんやり馬鹿づらしてないで、口をお開け!」
 いきなりビンタされた直紀は、短い悲鳴を漏らし、慌てて口を開いた。私は直紀の下顎を掴み、自分の顔に引き寄せ、カーッ、ペッと派手に音を立てて、彼の口に痰を吐き出した。直紀は驚いて目を見張ったが、直ぐにゴクリと喉を鳴らして、私の痰を飲み込んだ。私は再度、直紀の頬を平手打ちして、罵った。
「この私の痰壷に使ってもらえて、お礼も言えないのかい、お前は!」
 直紀はあまりの恥辱に、一瞬顔を歪めたが、直ちに土下座して謝意を述べた。
「麻美様…僕を麻美様の痰壷にお使い頂き、真にありがとうございました」
 私は土下座した直紀の頭を再び蹴り、理不尽に叱責した。
「いちいち顔を伏せるんじゃないよ、変態!さっさと顔をお上げ!」
 私は上体を起こした直紀の髪を両手で掴み、再度彼の顔を私の股間に引き寄せた。
「急に催してきたわ…お前が本当に私の奴隷になりたいなら、私のおしっこを喜んで飲めるわよね?どうなの!?」
 私が念押しするように訊ねると、直紀は目を輝かせて答えた。
「は、はい、勿論飲めます。麻美様のおしっこを…いえ、聖水を飲ませて…いえ、拝受させて下さいませ」
 直紀は私に命じられるまでもなく、自ら進んで口を開き、私の陰唇に密着した。この時、私はマゾ男が女性の尿を“聖水”と呼ぶ事を初めて知った。私は直紀に、侮蔑と愛情の入り混じった感情を抱きながら、下半身の力を抜き、彼の口に遠慮せず思い切り排尿した。直紀は喉をゴクゴク鳴らしながら、私の尿を一滴もこぼすまいと、必死に飲み続けた。私は直紀の口に排尿している間、今までに無い快楽と優越感を味わった。
 私が排尿を終えると、直紀は些かほっとした表情を浮かべ、私の陰部から口を離した。私の尿を喜んで飲んでくれた直紀を見下して、彼を愛しく感じたが、ここで甘い態度を見せてはならぬと、私のサディスティンの本能が自分に言い聞かせた。私は直紀に激しい往復ビンタを浴びせ、彼を怒鳴りつけた。
「何をぼんやりしてるの!おしっこを飲ませてもらったら、いちいち言われなくても、お前の舌で後始末おし!」
「…はい、麻美様」
 直紀は泣きそうな顔で舌を伸ばし、尿で濡れた私の陰部を舐め始めた。私は直紀の舌の動きを楽しみながら、高らかに奴隷宣言した。
「お前は、私のおしっこを飲んだのよ。これで、お前は恋人から奴隷に、いえ、人間から便器に転落したのよ。もう、お前と私がキスする事は無いわね。お前の汚れた口が私の唇に触れるなんて、想像しただけで虫酸が走るわ。これから、お前の上の口は、私の下の口にしか触れられないのよ。これから、お前を虐め抜いて、私の前ではまともに顔も上げられない、絶対服従する奴隷に調教してやるから、覚悟しておきなさい!」
 直紀は懸命に舌を動かしながら、私の奴隷宣言を聞き、体を震わせて、涙をこぼした。その涙が、屈辱の涙なのか、喜悦の涙なのかは、私には判別がつかなかった。


 私と直紀は、大学や街中等の人目のある所では、ごく普通の恋人同士の様に振舞った。しかし、彼のマンションで二人きりになると、厳格な女王様と絶対服従する卑屈な奴隷の関係に様変わりした。私は直紀の部屋に入ると、彼の頬に力強い平手打ちをして、
「何よ、さっきの態度は!人が見ているからって、偉そうに恋人づらして!思い切りお仕置きして、奴隷の身分をお前の体に思い知らせてやるわよ!」
と罵り、自分の足元に跪かせるのが、お約束みたいになった。
 私は直紀が秘蔵していたマゾDVDやマゾ専門誌を見て、マゾ男の責め方を独学で学んだ。マゾDVDを直紀と鑑賞する際は、全裸になった彼の手足を拘束し、股間の硬くなったものをゆっくりしごきながら、
「ふ〜ん、直紀はこうやって虐められたいんんだ。普通の男なら、恥ずかしくてとても耐えられない事が、直紀は嬉しくて興奮するんだ…やっぱり変態だね、最低!」
と蔑んで楽しんだ。
 私と直紀は、ネット通販で責め道具を色々と買い揃えた。二人でパソコン画面を見ながら、あれこれ選ぶのは楽しかった。特に、マゾの直紀でも躊躇うような、ハードな一本鞭、巨大な浣腸器、尿道責め用カテーテル、アナル用フック等を私が購入を決めると、彼はそれで自分が責められるのを想像し、顔を赤くして、股間のものを硬く屹立させた。責め道具は、直ぐに大きな段ボール箱一杯になった。

私は特に、直紀を巨大な浣腸器で苦しめてやるのが、好みだった。両手足を拘束された直紀の直腸に多量の浣腸液を注入し、下腹をカエルみたいに膨らませ、肛門に太いアナルストッパーを無理やり押し込んでやるのだ。腸が捻じ切れる様な苦しみに、脂汗を流している直紀の股間のものを掴み、尿道にカテーテルを挿入して、更に地獄の苦しみを加えてやった。私は泣いて赦しを請う直紀の膨れた下腹を踏みつけ、高笑いした。ようやく排泄を許され、腸をすっからかんにした直紀が、ふらついて気が遠くなりそうになると、私は一本鞭で打ち据えて、彼に気合を入れてやった。直紀はヒィヒィ泣いて、私の足元に這いつくばり、惨めに慈悲を請うた。
 私は直紀を馬にして、乗り回すのも好きだった。全裸で四つん這いになった彼の顔面に手綱付きのハミを固定して、背中に跨り、乗馬鞭で尻を叩いて、這い進ませた。直紀がへたばりそうになると、ブーツに装着した鋭い拍車を彼の脇腹に突き立てて、元気づけてやった。ある時、直紀が膝が擦り剥けて痛いと泣き言を言ったので、彼の股間を一本鞭ですくい上げるように打ってやった。陰嚢と肛門に直接鞭を当てられた直紀は、絶叫を上げ、床を転げ回って苦しんだ。それ以来、直紀は泣き言を漏らさなくなった。やっぱり、奴隷に鞭は必要だと、私は実感した。
 私が直紀のマンションに居る時、彼の水分補給は、私の尿以外に許さなかった。直紀の食事、いえ、餌は、ボウルに私の食べ残しを入れ、私の尿を掛けたものだった。初めて、その餌を出された時は、マゾの直紀もさすがに逡巡したが、私が、
「お前は、この私がわざわざ用意してあげた餌に、口がつけられないの!?お前はまだ、自分が人間のつもりなのかい!いい加減に奴隷の覚悟を決めて、奈落の底に落ちて行きなさい!」
と叱り、彼の頭を踏みつけて、顔を尿塗れの残飯に埋めてやると、ようやく諦めて食べ始めた。
 直紀はマンションで私と二人きりになると、必ず屈辱と恥辱にまみれた地獄の苦しみを味わされたが、それでも彼は決して私から離れようとせず、二人はますます親密な関係になった。


 
 私は何度か、直紀の実家を訪ねた事がある。彼の実家は、母親がオーナーとなっている賃貸マンションの一室だった。直紀は父親を早くに亡くし、商才のある母親が亡夫の不動産業を継ぎ、手広く事業を展開していた。母一人子一人の家庭で、親子の結び付きが強いと聞いていたので、初めて訪ねる時にはビクビクしていたのだが、意外にもキャリアウーマンの風格を醸し出している母親から気に入られ、
「直紀を甘やかしたので、頼りない息子に育ってしまったけど、麻美さんみたいにしっかりした女性が、もしお嫁に来てくれたら、私も安心出来るわ」
と言ってもらえ、歓迎されたので、胸を撫で下ろした。
 今、振り返っても、直紀と過ごした大学の二年間は、私の人生で最良の期間だった。


 少し雲行きが怪しくなったのは、大学卒業の4ヶ月位前だった。四年生になった直紀と私は、すでに卒業出来る単位は取っており、就職についても、直紀は母親が経営する不動産会社に入る事が決まっていたし、私は大手証券会社の内定をもらっていた。問題は、直紀と私はSMに耽溺して、二人とも卒論が殆ど進んでいなかったのだ。直紀と私が会うと、ついついSMに溺れてしまうので、このままでは二人とも卒業出来なくなる。それで、直紀と私は話し合い、卒論が仕上がるまで、お互い会うのは控えようという事になった。
 大学生活の残り4ヶ月間、私は全精力を卒論に注ぎ込んだ。直紀に会えず、彼を虐める事の出来ない私は、体の火照りを持て余したが、卒業が掛かっていては止むを得ない。直紀も同じ様に辛かっただろう。私は歯を食いしばって、何とか期限ぎりぎりに卒論を仕上げて、無事提出した。
 直紀と久しぶりに再会できたのは、卒業式後の謝恩会だった。彼も卒論で日夜心労したのか、以前より痩せて、青ざめた顔をしていた。謝恩会が終わり、私は直紀から、
「大事な話があるんだ…」
と言われ、静かなバーに連れられた。そこは、直紀が初めて私を自分のマンションに誘った、思い出の店だった。二人でグラスを重ね、私は直紀の口からプロポーズの言葉が出るのを、心待ちにしていた。
 何しろ、私と直紀は愛し合っているし、二人の性嗜好はピッタリで、マゾの直紀は私から離れられない筈だし、私は彼の母親にも気に入られている。私達二人が結婚するのは、当然の事だと、私は固く信じていた。しかし、直紀は耳を疑う発言をして、私を愕然とさせた。
「麻美さん…お願いがある。僕と別れてくれ」
「…何言ってるの!?どういう意味よ、直紀!?」
 直紀は苦しげに青ざめた顔を歪め、言葉を続けた。
「だから、僕と別れてくれ…麻美さんと会わなかった間に、僕は素晴らしい女性に出会った。本当に美しくて威厳のある華麗な女性と知り合ったら、もう見すぼらしい麻美さんとは付き合えない。彼女と麻美さんとでは、孔雀と雀くらいの差がある。麻美さんとは、これまでだ!」
 直紀はそう言い捨てると、バーを飛び出して行った。店には呆然としている、私一人が残された。それから、私がどうやって自分のアパートに戻ったのか、記憶が途切れている。私に猛然と、嘆きと怒りが込み上げてきたのは、自分のアパートに戻ってからだった。
 私はベッドに倒れ込み、泣き声が外に漏れないよう、枕に顔を埋めて号泣した。直紀は私と会えない間に、きっと凄い美人のS女性と知り合い、あっさりと私を捨てたのだ。私は泣きながら、私を裏切った直紀を絶対に赦さない、私も華麗な孔雀になって彼を見返して、必ず復讐してやると、自分に固く誓った。


大学を卒業して社会人となり、大手証券会社に入社した私は、営業部に配属され、多忙な毎日を過ごした。株と債権に関する法律と売買手続きの勉強、法人・個人を問わない顧客の新規獲得等、食事する暇も無い程にこき使われ、早朝にあたふたと出勤し、夜遅くアパートに帰っては、シャワーを浴び、缶ビールを飲みながらコンビニ弁当を食べ、ベッドに倒れ込む毎日だった。週末の休みも殆どを、ずっと寝るか、溜まった洗濯物を片付けるかで終わった。それでも、直紀への復讐は、片時も忘れなかった。
 入社して2年も経つと、株と世の中の仕組みが何となく分かってきた。いわゆる、仕手株と呼ばれる値動きの大きな株は、証券会社の本部が、支社にも知らせず用意周到に準備し、政財界の大物や生保等の大手投資機関に、情報を流して買わせる。株価がかなり上がったところで、大金持ちの顧客や中程度の投資機関に買わせる。株価が最高値になったところで、証券会社本部は全国の支社に大号令を掛け、営業部員にノルマを負わせ、一般の会社や大勢の個人客に「株価が急上昇中の、お勧めの株です」と言って、高値で買わせる。その時には既に、政財界の大物や大手投資機関、大金持ちや中程度の投資機関は株を売り抜けて、莫大な利益を手にしており、一般の会社や大勢の個人客は、後は値が下がる だけの高値株を抱え込む事になる。証券会社に勤めて、金持ちはもっと金持ちに、貧乏人はもっと貧乏になる、これが資本主義なんだと実感した。
 また、大口顧客に営業する際、女の私はいつも接待要員として駆り出されて、酒の相手をさせられた。セクハラを受けるのは当然で、それを如何にかわすかが女性営業部員の腕だと、今にして思えば多少問題のある指導を受けていた。苦労して何とか大口顧客の接待を続けていると、下ネタ話の延長で、政財界の大物には結構変態が、それもマゾヒストがかなり多い事が分かってきた。彼らも激務でストレスが溜まり、性欲が変な方向に歪んでしまったのだろう。私はふと、今まで培ってきた証券の知識と、政財界の大物達の変態性欲を何とか結び付けて、利用出来ないかと考えた。
 証券会社に入って三年目になった私は、後輩達に仕事を振り分け、上司には社会問題となっている過労死を訴えて、自分の仕事とノルマをセーブし、自分の時間を作る事が出来た。それから、私は前もってネットで調べていた、マゾ専門高級SMクラブを訪ねて、面接を受けた。クラブのママは、上背のある私を一目で気に入った様子で、
「この世界では“背が高いのは、七難を隠す”と言われているのよ」
と言って、採用してくれた。そして私は、昼は証券会社のOL、夜はSMクラブの女王様という、二重生活を始めた。
 ママは私に、
「SMクラブと言っても接客業だから、SはサービスのS、Mは満足のMだと心掛けてね。マゾ男も大金持ちの顧客が多いから、くれぐれも礼儀だけは気をつけて頂戴よ」
と注意し、私をSMの世界に慣れさせるため、最初は中堅女王様のヘルプにつけた。しかし、私はマゾ男が喜ぶ責め方と心理状態については、直紀を虐め抜いて熟知していたし、顧客に対する礼儀については、証券会社で苦労した接待の経験が大いに役立った。
 短期間で私にはマゾ顧客の指名が殺到し、たちまちクラブで抜きん出た存在となった。喜んだママは、私に政財界の大物客を担当させた。政財界の大物客ともなると、自らSMクラブに訪れてマスコミに嗅ぎ付けられ、スキャンダルになるような愚かな真似はせず、自分の都合の良いホテルや別荘にSMクラブの女性を派遣させる、いわゆるデリバリーシステムを利用していた。


 私が最初に赴いたのは、一流ホテルのスィートルームだった。清楚なOL姿の私は、衣装と責め道具を詰め込んだ大型キャリーケースを引っ張っていたが、さすがに一流ホテルだけあって、ポーターが部屋までキャリーケースを丁寧に運んでくれた。部屋に足を踏み入れると、与党の大物政治家がバスローブ姿で私を出迎えた。私は丁重な挨拶を済ませると、隣の部屋に行き、大急ぎで女王様ファッションに着替えた。動きやすいように、長い髪はポニーテールでまとめ、急いで険のあるメークをして、網目の黒色ストッキングを穿いてガーターベルトで吊るし、薄手の黒色シースルーのブラジャーとパンティを身に着け、ヒールの高い膝上ロングブーツを履いた。私はあっと言う間に、清楚なOLから妖艶 な女王様に変身した。
 その姿で元の部屋にキャリーケースを引いて戻ると、大物政治家は既に全裸で床に土下座して、私を待っていた。私はキャリーケースから黒光りする本革の一本鞭を取り出し、土下座している大物政治家の頭をブーツで踏みにじった。
「醜いマゾ豚め、女王様にご挨拶おし!」
 大物政治家はブーツの下から、少し震えた声で挨拶した。
「女王様、本日はわざわざ御足労頂き、真に恐縮です。本日は御調教を、宜しくお願い致します」
 私は大物政治家の頭からブーツを外すと、少し後ろに下がって間合いを取り、一本鞭を彼の背中に思い切り振り下ろした。
「ぎゃあぁーっ」
 一本鞭は風を切って大物政治家の背中をしたたかに打ち据えて、彼に絶叫を上げさせ、体を仰け反らさせた。私は一本鞭を振り回し、立て続けに大物政治家の肥満した体を鞭打った。大物政治家は両手で頭を抱え、悲鳴を上げて、ホテルの床を転げ回った。
「ヒイッ、ヒイッ、どうかお赦しを、女王様…」
 大物政治家は、恥も外聞も捨てて、泣きそうな声で私に赦しを請うた。私は一旦鞭打ちを止めると、床に横になって喘いでいる大物政治家の頭を、再度ブーツで踏みにじり、きつい口調で問い掛けた。
「マゾ豚め、何で鞭のお仕置きを受けたか、分かっているのかい!?」
 ブーツの下から、哀れな声が聞こえた。
「…申し訳ございません。愚かな私めには、分かりません」
 私は大物政治家の頭を、更にグリグリと踏みにじり、叱りつけた。
「お前の口の利き方が、全くなってないからよ!『調教をお願い致します』って、どういう意味なの!?お前は下等なマゾ豚の分際で、女王様の私に調教しろと要求してるのよ。下賎な奴隷が高貴なる女王様に要求するなんて、思い上がるにも程があるわ!私に挨拶するつもりなら、『下等な私の醜い体を、お好きな様に使い捨てて、存分にお楽しみ下さいませ』とか言うものじゃなくて!?」
 大物政治家は、ブーツの下から泣き声で詫びた。
「女王様、申し訳ございません。以後気をつけますので、どうか、お赦し下さいませ…何とぞ、お慈悲を…」
 私は大物政治家の頭からブーツを外し、彼に言いつけた。
「それなら、もう一度土下座して、挨拶をやり直しなさい!」
 大物政治家は、鞭打たれて引きつる肥満した体を無理に動かし、再度私の足元に土下座した。大物政治家の体には、鞭痕の赤い筋が縦横無尽に刻み込まれていた。
「女王様、本日は私の下等で醜い体を、お好きな様に使って、存分にお楽しみ下さいませ…」
 大物政治家は、半ば泣き声で挨拶し、私は彼を嘲笑ってやった。
「オホホホ、国政を牛耳る政界の重鎮と言われていても、私の前では一匹の醜悪なマゾ豚じゃないの…お前には国会議員の息子がいるんでしょう。息子より遥かに若い女の足元に真っ裸で這いつくばって、惨めに赦しを請うお前の姿を、息子や有権者達に見せてやりたいものだわ」
 あまりの屈辱のためか、大物政治家は体を小刻みに震わせた。しかし、この屈辱感こそがマゾ男の心を掴む事を、私は知っていた。私は土下座している大物政治家の顔の前に、ブーツを突き出して命令した。
「マゾ豚、女王様のブーツに、奴隷のキスをおし!」
「かしこまりました、女王様…」
 大物政治家は私のブーツに顔を寄せ、爪先にキスをした。私は即座に、大物政治家の顔を蹴り飛ばした。
「ヒイッ」
 短い悲鳴を上げて、もんどり打つ大物政治家を、私は叱り飛ばした。
「お前は、何を勘違いしてるの!ブーツの爪先にキスするのは、御褒美でしょう。奴隷のキスは、靴裏にするものよ!」
「申し訳ございません、女王様…」
 大物政治家は私の足元に這い寄り、両手で片方のブーツをうやうやしく捧げ持ち、ブーツの靴裏に奴隷のキスを繰り返した。ヒールの高いブーツを履いて片足で立つのは、バランスを取るのが難しかったが、そこは私もプロだ。私は女王の威厳を保つため、ふらつかずに、大物政治家を侮蔑してやった。
「それが、奴隷のキスよ。お前の汚れた口は、靴裏に触れて舐めるのが相応しいわ。お前みたいな醜悪なマゾ豚の身分は、靴裏にこびり付いたガムの噛みカス、いや、間違って踏んでしまった野良犬の糞と同等なのを、忘れるんじゃないわよ!」
 大物政治家は、又も屈辱で身震いし、マゾの醍醐味を味わっていた。その証拠に、大物政治家の股間のものは、年甲斐も無く硬く屹立しており、まるで仏舎利塔みたいだった。私は再度、大物政治家の顔を蹴り飛ばし、彼を床に転がした。
「いつまでもねちっこくキスして、ブーツの靴裏をお前の臭い唾で汚すんじゃないわよ!さっさと正座おし、マゾ豚!」
「はい、女王様…」
 大物政治家は屈辱に歪んだ顔で返事をして、私の足元に正座した。私はキャリーケースから革手錠を取り出し、大物政治家の背後に回り、両手を後ろで拘束した。金属製の手錠は、手首に擦り傷が残るので、使用しない。鞭打ちも、拘束も、その他の責めも全て、服を着た時に外から見える箇所に、決して傷を付けないのが、顧客サービスと言うものだ。
 私は大物政治家の前に回り、仁王立ちになった。正座した大物政治家の目が、私の股間部分を食い入るように見つめるのを感じた。私は薄手の黒色シースルーのパンティを穿いていたので、濃い陰毛がはっきりとすけて見える上に、私も男を虐めて、些か興奮して少し濡れてしまい、パンティに染みを作ってしまったのだ。だから、大物政治家の視線が、私の股間に釘付けになるのも、無理はない。私は大物政治家に力強い往復ビンタを張り、怒鳴りつけた。
「マゾ豚、一体どこを見てるのよ!」
 大物政治家は哀れな悲鳴を漏らし、慌てて弁解した。
「ヒイイィッ、申し訳ございません…女王様があまりにもお美しいので、つい見とれてしまいました」
 私は再度、思い切り往復ビンタを喰らわせ、顔を蹴り飛ばして、大物政治家を床に転がした。このビンタや蹴りにも、コツがある。ビンタは耳を叩くと鼓膜が破れてしまうし、手首に近い箇所で叩くと、空手の掌底打ちみたいになり、脳に衝撃を与え過ぎてしまうし、顎関節を損傷するおそれがある。指の部分を中心に、出来るだけ手の力を抜き、鞭の様にしなやかにマゾ顧客の頬を打つのだ。ブーツで蹴ったり、踏みにじったりする際は、決して尖ったヒール部分は使わず、底の平らな部分を使う。顔面への蹴りは、鼻は絶対に避け、ブーツ底の平坦部分でマゾ顧客の頬を押し出すように蹴るのだ。苦痛と屈辱は容赦無く与えても、怪我等の深刻なダメージは与えないのが、プロの女王様なのだ。
私は床へ横倒しになった大物政治家の横顔を踏みにじり、罵った。
「白々しい事を言うんじゃないよ!私の顔に見とれるなら、まだともかく、股間を見つめるなんて、どういう事なの、このスケベ奴隷が!」
「ヒイッ、申し訳ございません。どうか、お赦しを…お願いです、お慈悲を…」
 大物政治家は必死に赦しを請いながらも、下から横目で私の濡れた股間の食い込みを、チラチラ盗み見ていた。私は大物政治家を蹴って仰向けにすると、彼の顔へ座り込んだ。
「ふんっ、そんなに私の股間が好きなら、たっぷり味わさせてあげるわ!」
 私は股間で大物政治家の口と鼻を塞ぎ、尻を左右に振った。股間に大物政治家の荒い息遣いを感じ、私も昂ぶってきた。大物政治家が窒息しないように、10秒に1回の割合で腰を僅かに浮かせ、呼吸を許してやる。その行為を約五分間続け、私の臭いをたっぷり嗅がせてやった。
 それから、私は立ち上がり、私の淫液と大物政治家の唾液でグチョグチョに濡れた黒色シースルーのパンティを脱ぎ捨て、彼の顔を跨いで仁王立ちになった。大物政治家は、魂を抜かれた様なぼんやりとした目付きで、私の濡れそぼった陰部を仰ぎ見ていた。
「パンティ越しじゃ、まどろっこしいわ。お前の舌で直接、女王様に奉仕しなさい!」
 私は再度、大物政治家の顔に腰を下ろし、濡れた陰部を彼の口に、一旦強く押し付けた。そして、舌を動かし易いように、少し腰を浮かせてやる。大物政治家は目を輝かせ、夢中で私の陰部をペロペロ舐め始めた。我ながら咽せ返るような、自分の淫液の立ち上る臭いを嗅ぎながら、私は大物政治家を侮蔑してやった。
「お前は、女の一番恥ずかしい所を、舐めさせられているのよ…お前はもう男じゃないわね。ビデかバター犬にまで落ちたんだよ。最低の変態だね!」
 大物政治家は身震いし、目に屈辱の涙を浮かべた。しかし、舌の動きは、更に激しくなった。彼は今、さぞかしマゾの醍醐味を満喫している事だろう。私もかなり感じてきたが、ここで乱れて絶頂に達し、動けなくなってしまったら、プロの女王様としては失格だ。
 私は立ち上がると、ブーツで大物政治家の顔を踏みにじり、理不尽に叱りつけた。
「いつまでも、いやらしく私のあそこを舐めているんじゃないわよ、このスケベ奴隷が!大体、お前みたいな最低のマゾ豚が、私のあそこを舐めるなんて、贅沢にも程があるわ。マゾ豚のお前には、もっと相応しい所を舐めさせてやるわよ!」
 私は体を反転させて、後ろ向きになり、大物政治家の顔に座った。両手で自分の尻たぶを広げ、肛門を大物政治家の口に押し付ける。私は居丈高に命令した。
「お前みたいな最低の変態は、女の肛門を舐めるのがお似合いよ…早くお舐め!」
 大物政治家は、少し躊躇う素振りを見せたが、おずおずと舌を伸ばし、私の肛門を舐め始めた。神経が集中している肛門を舐められるのは、なかなか気持ちがいい。私は大物政治家の舌の動きを楽しみながら、酷く罵ってやった。
「ホホホ、お前は男のくせに、女の肛門を舐めているのよ。女の一番汚い所に、舌を這わせているのよ…豚だって肛門なんか舐めないわ。お前は豚にも劣る、肥溜めでうごめくうじ虫と同じなんだよ、最低の変態マゾ!」
 大物政治家は、あまりの恥辱に、体を震わせた。肛門を舐められて刺激された私は催してしまい、丁度いいと思って、大物政治家に止めの一撃を与える事にした。私は大物政治家の口に、派手に音を立てて、思い切り放屁してやったのだ。お尻の下から、大物政治家の呻き声が聞こえた。
「あはは、お前は女のおならを口にしたんだよ。男のくせに、女のおならを食べたんだよ。お前はもう、男どころか人間でもなくなり、正真正銘のうじ虫に転落したのよ。普通の男なら、恥ずかしくて自殺するわ。よく生きていられるわね、最低の変態!」
 大物政治家は、度を越えた屈辱に体を激しく震わせ、私のお尻の下から、すすり泣く声を漏らした。しかし、私には、大物政治家がマゾの喜びを存分に堪能している事が分かっていた。大物政治家の股間で硬く屹立しているものが、更に猛々しくなっていったからだ。私は立ち上がると、大物政治家の頭を蹴って、命令した。
「いつまでも寝そべってないで、さっさとお立ち!」
 大物政治家は、後ろ手に革手錠で拘束された不自由な体をよじらせ、よろめきながらも何とか立ち上がった。私は大物政治家の股間のものを、むんずと掴み、
「本当にのろまなマゾ豚だね…とっととお歩き!」
と言って、強く引っ張り、ホテルの部屋をグルグル回った。大物政治家は、腰を突き出した滑稽な格好で、
「ああっ、待って、待って下さい…どうか、お待ち下さいませ、女王様…」
と哀れな声を出し、よたよたと私について歩いた。しばらく大物政治家を歩かせてから、私は股間のものを下の方に引っ張り、
「いつまでもロバみたいにほっつき歩いてないで、跪くんだよ、マゾ豚!」
と命じて、床に跪かせた。私はキャリーケースからペニスバンドを取り出し、大物政治家に見せつけるようにして、腰に装着した。大物政治家は、恐怖と期待の入り混じった目で、その光景を見ていた。ペニスバンドを装着し、ディルドゥ部分にコンドームを嵌めた私は、大物政治家の頭を両手で抱えて引き寄せた。普通は奴隷の髪を掴んで引き寄せるのだが、頭髪が薄くなったのを気にしているマゾ顧客には、それなりに気を遣う。
「マゾ豚、口をお開け!」
 大物政治家が、おずおずと口を開けると、私は彼の前歯を損傷しないよう注意しながら、一見荒々しく腰を突き出し、ディルドゥ部分を口に突っ込んだ。大物政治家は、目を白黒させながら、ディルドゥを咥えた。私は大物政治家を見下して、命令した。
「マゾ豚、お前も男なら、どうやってしゃぶれば相手が喜ぶか、分かるでしょう。心を込めて、丁寧におしゃぶり!もし、歯を立てて、コンドームを傷つけて破ったりしたら、ペンチで歯を一本残らず引き抜いてやるからね!」
 実際に出来る筈のない私の脅しを聞かされた大物政治家は、震え上がって、ディルドゥ部分をしゃぶり始めた。いい加減、しゃぶらせたところで、私は大物政治家の胸に膝蹴りを入れ、彼を床に倒した。それから、大物政治家に、額と両膝だけを床に着けさせ、尻を高く上げる屈辱のポーズを取らせた。
「その姿勢を崩すんじゃないわよ、マゾ豚!」
 私は大物政治家に釘を刺して、キャリーケースからワセリンの缶を取り出し、コンドームを嵌めたディルドゥ部分にワセリンを塗りたくった。そして、大物政治家の肛門にも、ワセリンを塗り込んでやる。神経が集中している肛門を弄られた大物政治家は、切なそうな喘ぎ声を漏らした。
「ふん、男のくせにアナルが感じるなんて、やっぱり最低の変態だね。本当に、恥知らずだわ」
 私は大物政治家を罵りながら、ペニスバンドのディルドゥの先端を、彼の肛門に当てがった。
「さあ、今からお前を犯してやるわよ、マゾ豚!」
「ああっ、止めて、犯さないで…それだけはお赦し下さい、女王様!」
 本当は肛門を可愛がって欲しいくせに、大物政治家は身震いして、私に赦しを請うた。
「うるさいわね、お前みたいな下賎な奴隷に、嫌がる権利があると思ってるの!」
 私は大物政治家の肛門に裂傷を負わせないよう、腰をゆっくり突き出し、ディルドゥ部分を慎重に挿入した。そして、大物政治家の極限まで硬くなった股間のものを握り、ゆっくりしごき始め、酷く罵った。
「嫌がる素振りをしても、体は正直だね。興奮して、こんなに硬くしているじゃないの!お前は女にアナルを犯されて喜ぶ、最低のマゾ豚なんだよ、この変態!」
 私は腰の動きと、しごく手の動きを、段々と速くした。間も無く、大物政治家は獣の様な雄叫びを上げて、果ててしまった。私は腰を引いてディルドゥ部分を引き抜き、立ち上がった。そして、床にうつ伏して喘いでいる大物政治家を蹴りつけ、怒鳴りつけた。
「奴隷の分際で、女王様の許しも得ず、勝手に射精するなんて、どういうつもりよ!お前はまだ、自分が奴隷だと自覚してないんだね。それなら、奴隷の身分をお前の体に思い知らせてやるわよ!」
 私はペニスバンドを外して、キャリーケースから、針・ローソク・尿道用カテーテル・浣腸器等の責め道具を取り出した。大物マゾ顧客相手のSMプレイは、一度射精させただけでは、終了ではない。大物政治家へのサービスは、これからが本番だった。


 大物政治家とのSMプレイを終えた私は、隣の部屋で着替えて、再び清楚なOL風となった。プレイしていた部屋に戻ると、大物政治家は、全裸で床に横たわっており、虚ろな目をして、半開きの口から涎を垂らしていた。部屋のあちこちに飛び散った精液と、私の淫液の臭いが入り混じった独特な臭気が、鼻についた。
 私は大物政治家に毛布を掛けてやり、
「先生の秘書へ、お迎えに来るよう連絡しておきますわ。秘書がホテルに到着するまで、ゆっくりお休みになって下さい。私は、これで失礼致します」
と挨拶して、深々と頭を下げた。大物政治家は、焦点の定まらない目を私に向け、震える手を伸ばし、
「ああっ、女王様、行かないで…もっと、愛を…」
と擦れ声で哀願した。私は最後のサービスに、大物政治家が伸ばした手をパンプスで踏みにじり、
「先生、次のご指名を、心待ちにしておりますわ…どうか、ご自愛下さいませ。それでは、御機嫌よう」
と言い残し、キャリーケースを引っ張って、一流ホテルを後にした。


 私はホテルからクラブに向かい、ママに大物政治家とのプレイ内容を報告してから、自分のアパートに戻った。私は、キャリーケースにこっそり仕込んでいたピンホールカメラをポーチから取り出し、中のSDカードを抜いて、ノートパソコンに差し込んだ。大物政治家の顔がよく映っているSMプレイの動画を確認し、私はほくそ笑んで、DVDに焼き付けた。


 次の相手は、財閥系商社の会長で、経団連の役員も兼ねている、財界の大物だった。この会長は、たまに取れる休暇には、都会の喧騒を避け、人里はなれた山奥のログハウスに一人で赴き、ログハウス周辺で家庭菜園をして、日々の激務のストレスを癒すのが唯一の趣味だという記事が、経済誌に掲載されていた。
 その山奥の場所が、今回のSMプレイの舞台であった。全裸になった会長は、全身に防虫スプレーを浴び、手には軍手を嵌め、足にはゴム草履を履いただけの珍妙な姿で、家庭菜園の草取りを始めた。私は乗馬服姿で、片手に一本鞭を丸めて持ち、会長を監督した。会長がしばらく草取りを続けたところで、私は不意に、会長の背中に一本鞭を叩きつけた。
「うぎゃーっ」
 一本鞭の強烈な痛みで、会長は背を仰け反らせて絶叫を上げた。人里離れた山奥なので、いくら大声を上げても、全く構わない。私は再度、一本鞭を振るい、会長に大声で悲鳴を上げさせた。
「何を、とろとろしてるの!農作業が嫌で、わざとのろのろ動いているんでしょう、お前は!」
「ひいっ、そんな事はございません。どうか、お慈悲を、女領主様」

会長は私の足元に土下座して、慈悲を請うた。会長の背中には、二本の赤い条痕が浮き出ていた。私は土下座している会長の頭を、乗馬用ブーツで踏みにじり、怒鳴りつけた。
「奴隷市場で、老いぼれのお前が売れ残っているのを不憫に思い、無駄に金を使って、引き取ってやったんだよ。その恩を忘れて、農作業をサボるつもりなら、私にだって考えがあるからね。手足をへし折って、顔だけ出して地面に埋め、野外便器にしてやるよ。額には“便器”って焼印を押してやるわ!」
「ひっ、ひぃっ、女領主様、それだけはお赦し下さいませ。女領主様のために、死に物狂いで働いて、誠心誠意お仕え致します。ですから、何とぞ、お慈悲を…」

 
 会長は、乗馬用ブーツの下で震え上がり、必死に懇願した。私は残酷な女領主、会長は買われた哀れな農作業用奴隷という設定だ。決められた役割を演じるロールプレイングを、気恥ずかしいと感じる人もいるだろうが、SMプレイ自体がロールプレイングなので、私にはどうって事は無い。私は会長の頭から乗馬用ブーツを外し、彼の頭を軽く蹴った。
「ふん、口は重宝なものね…口だけでなく、体でお前の誠意を示してご覧、老いぼれ奴隷が!」
「は、はい、女領主様」
 会長は、再び草取りを始めた。私は会長の後ろで厳しく監督し、意味も無く理不尽に鞭を振るって、苦しめてやる。草取りが大体終わると、会長は枝打ちや、農薬・肥料の撒布作業に移った。私は会長が作業中に、何かと難癖をつけて鞭を振るい、悲鳴を上げさせた。家庭菜園の農作業が一通り終了したところで、会長は突然、軍手を外し、ゴム草履を脱ぎ捨て、文字通り一糸まとわぬ全裸となり、
「ああっ、もう耐えられない!逃げよう!」
と叫んで、わざとよろよろした千鳥足で菜園から離れていった。私は傍らのキャリーケースから、革手錠と革紐を取り出し、やや早足で離れていく会長を追いかけた。直ぐに追いついた私は、一本鞭を振り上げ、逃げる会長の背中に、思い切り叩きつけた。
「ぎゃあぁーっ」
 一本鞭の激痛で、獣じみた絶叫を上げた会長は、その場にうずくまった。私は会長の両手を背中に回し、素早く革手錠を嵌めた。そして、会長を無理やり立たせると、強烈な往復ビンタを見舞った。
「ひいっ」
 短い悲鳴を漏らした会長を、私は怒鳴りつけた。
「お前、よくも私の農園から、逃亡しようとしたわね!お前みたいな役立たずの老いぼれ奴隷を、拾ってやった恩を仇で返すなんて、絶対に赦さないわよ!逃亡した奴隷がどんな目に遭うか、お前も十二分に知っている筈よね。『ひと思いに殺して下さい』と哀願する程の生き地獄を見させてやるわ!」
 会長は、泣き顔で私に赦しを請うた。
「申し訳ございません、女領主様。お赦し下さい。何とぞ、お慈悲を…」
 私は再度、会長に目が眩む程の力強い往復ビンタを張り、怒鳴った。
「“お慈悲を、お慈悲を”って、うるさいわね!その台詞は、聞き飽きたわ!」
 私は、会長の股間のものに革紐を括り付け、強く引っ張った。
「老いぼれ奴隷、とっととお歩き!処刑場まで、引っ張ってあげるわ」
 私は革紐の端を握って引きながら、さっさと歩き出した。会長は呻き声を上げ、後ろ手に拘束され、腰を突き出した惨めな格好で、よたよたと私の後をついて来た。菜園の傍に生えている、枝振りのよい樹木まで来た私は、キャリーケースからアナルフックを取り出し、革紐の端に結び付けた。そして、アナルフックを投げて、革紐を太い枝に跨らせた。私はアナルフックにワセリンを塗り、会長の肛門に深く挿入し、悲鳴を上げさせた。これで会長は、股間のものと肛門を、一本の革紐で枝に吊るされた形となった。私は一本鞭を空中で振るい、大きな鞭音を立てて会長を威嚇して、怯えさせた。
「老いぼれ奴隷、今からお前の体を、きれいな赤い縞模様で飾ってあげるわよ!」
 私は一本鞭は何度も横殴りに振り、会長に絶叫を上げ続けさせた。下手にもがくと、股間のものと肛門に挿入されたアナルフックが強く引かれるので、会長はなるべく体を動かさないようにして、鞭の嵐を受けていた。それが、更に苦痛を増しているようだった。
 私が鞭打ちを止めた時、会長の体は私の宣告通りに、赤く腫れ上がった縞模様で覆われていた。泣き叫んでいた会長は、ぐったりと頭を垂れていた。その場に崩れ落ちたいのだろうが、股間のものとアナルフックを枝に吊るされていては、それも叶わなかった。
 私は一本鞭を地面に放り、キャリーケースから細いステンレス棒を取り出した。
「随分、ぐったりしてるじゃない。さっき、逃亡しようとした元気は、どうしたのよ?可哀想だから、少し元気付けてあげるわ」
 私は細いステンレス棒に殺菌ジェルを塗り、革紐で吊るされた会長の股間のものを握って、尿道口にステンレス棒の先端を当てがった。
「この一つ目の坊やを可愛がれば、元気が出るわよ」
 私はステンレス棒を、ゆっくりと尿道に挿入した。
「うわあぁっ、い、痛い、止めて、止めて下さい」
 男にとって、尿道責めは凄く痛いようだ。ぐったりしていた会長は、泣き喚いて赦しを請うた。ステンレス棒を半分位挿入したところで、私は乗馬服のポケットから、ライターを取り出した。
「大げさに痛がるわね。でも、痛いのは、これからよ!」
 私は、尿道に挿さっているステンレス棒の端を、ライターの火で炙り始めた。私は、ステンレス棒の尿道口付近の部分を指でつまみ、会長のものを本当に火傷させないよう、温度を確認しながら、炙り続けた。ステンレス棒に熱が伝わり、会長は悶え苦しんだ。
「止めて、赦して、痛い、殺して、ひと思いに殺して下さい!」
 会長は本気で泣き叫んで、私に懇願した。そろそろ限界だと判断した私は、ライターの火を消し、尿道を傷付けないように、ゆっくりと慎重にステンレス棒を引き抜いた。引き抜く際にも痛みを感じるようで、会長は悲痛な泣き声を上げた。しかし驚いた事に、ステンレス棒を引き抜いた瞬間、会長のものから多量の白濁液が噴出されたのだ。男の体の仕組みはよく分からないが、尿道を刺激されたために、射精してしまったのかもしれない。
 私は、会長の頬を思い切り平手打ちして、酷く罵った。
「何よ、これは!お前は尿道に棒を突っ込まれて、感じていたの?痛がる振りをして、本当は気持ちよかったのね。自分で爪楊枝か何か使って、こっそり尿道を弄って、オナニーしていたんじゃないのかい、この変態!」
 私の罵倒に、会長は返事をする気力すら失い、ただ、すすり泣いているだけだった。私が、肛門からアナルフックを引き抜き、股間のものから革紐を解くと、会長は糸を切られた操り人形の様に、地面に崩れ落ちた。私は後ろ手に拘束した革手錠を外し、息も絶え絶えに喘いでいる会長の頭を乗馬用ブーツで蹴って、叱りつけた。
「誰が寝ていいと言ったんだい、老いぼれ奴隷が!さっさと正座おし!」
 会長はよろよろしながらも、何とか地面に正座した。私は会長に強烈な往復ビンタを浴びせ、怒鳴りつけた。
「農園から逃亡した奴隷は、本来なら処刑されるんだよ!でも、お前をただ処刑するだけじゃ、面白くないわ。特別に命だけは助けてやるけど、奴隷から家畜に格下げして、死ぬまで苦しめてやるからね。分かったかい!?」
 会長は、涙ながらに返事をした。
「はい…命だけは助けて頂き、本当に感謝致します、女領主様…」
 私はキャリーケースから、手綱付きのハミと膝当てを取り出すと、会長に力強い往復ビンタを見舞って命令した。
「いつまでも座ってないで、さっさとお立ち!」
 会長がよろめきながら立ち上がると、私は手際よく膝当てを彼の両足に装着し、口を開かせてハミを噛ませ、革ベルトで顔面にしっかり固定した。
「今から、お前を家畜の馬に使ってやるわ。四つん這いにおなり!」
 会長がぎこちない動きで四つん這いになると、私は乗馬鞭を手にし、彼の背に跨った。私は手綱を握ると、会長の尻にピシリと乗馬鞭の一打を見舞い、居丈高に命じた。

「とっととお走り、この老いぼれ馬め!」
 会長は、僅かに残った体力と気力を振り絞り、よろめく手足を動かして、何とか這い進んだ。
「何て貧相で、よたよたした馬なんだろう。本当に役立たずだよ、この老いぼれは!」

 私は乗馬鞭で何度も会長の尻を叩き、乗馬用ブーツに装着している拍車を、情け容赦無く脇腹に突き立てた。会長はハミを咥えさせられた口から、くぐもった呻き声を漏らし、懸命に手足を動かしたが、年の上に、今までの責めを受けて体力を使い果たしていたので、直ぐに限界が来た。間も無く、会長は倒れ、地面に突っ伏してしまった。私は会長の背から立ち上がり、

「何で、急に倒れるのよ!もう少しで、転げ落ちるところだったわ。お前は、私に怪我をさせるつもりなの!?」
と叱りつけ、地面に伏している会長の尻を、乗馬鞭で何度か打ち据えた。それから、手綱付きのハミを外してやり、会長の呼吸を楽にさせた。自分で仰向けになった会長は、荒い息をしながら、
「も、申し訳ございません、女領主様…どうか、お赦し下さい…女領主様、喉が渇いて死にそうです…お願いです、水を恵んで下さいませ…何とぞ、お慈悲を…」


と赦しを請い、水分補給を懇願した。私は鼻で笑って、会長の懇願を一蹴した。
「ふんっ、家畜の分際で、私に水を要求するつもりなの?少しは、分をわきまえなさい!本当に生意気だわ…とは言っても、私にだって慈悲はあるわ。水は許さないけど、私のおしっこなら飲ませてあげるわよ」
「そ、そんな、おしっこなんて、とても飲めません…どうか、水を恵んで下さいませ」
 会長は苦しげに顔を歪めて、私の申し出を断った。本当は、私のおしっこを飲みたくて、たまらないくせにだ。私は、乗馬鞭を一本鞭に持ち替え、空中で一振りして派手な鞭音を立て、会長を威嚇した。
「お前は家畜のくせに、私の慈悲を蹴るつもりなの!?それなら、この鞭で全身の生皮を削ぎ落としてやるわ!それとも、私のおしっこを飲むかい?好きな方を、お選び!」
 会長は、泣きそうな声で答えた。
「む、鞭だけは赦して下さい…飲みます、女領主様のおしっこを飲みます、いえ、飲ませて頂きます。ですから、鞭だけはご勘弁を…」
 私は高笑いし、勝ち誇った声で会長を罵倒した。
「アハハハ、そんなに私のおしっこが飲みたいの?普通の男なら、人間としての尊厳があるから、おしっこを飲むより、鞭打ちに耐える方を選ぶわ。大体、おしっこなんて、家畜でも飲まないわよ。お前は家畜以下のうじ虫だね、最低の変態!」
 私に酷く罵倒された会長は、あまりの屈辱で泣き顔になり、激しく身震いした。しかし、その屈辱感がマゾの会長を喜ばせているのが、私には分かっていた。私は、仰向けに横たわっている会長の顔を跨いで立ち、ベルトを緩めて、乗馬ズボンとショーツを一度に膝までずり下ろした。それから、焦らすようにゆっくりとしゃがんで、会長に命令した。
「口を大きくお開け、老いぼれのうじ虫!」
 私の陰部を食い入るように見つめていた会長は、顎が外れそうな程、口を大きく開いた。尿意が高まっていた私は、腰を僅かに震わせ、会長の口に目掛けて、勢いよく放尿した。会長は目を白黒させながら、喉を上下させ、ゴクゴクと私の尿を飲んでいた。
 私は放尿を終えると、尿で濡れた陰部を会長に舐めさせて、後始末した。会長の舌の動きをしばらく楽しんだ私は、すっくと立ち上がり、ショーツと乗馬ズボンを引き上げ、ベルトを締め直した。
 気がつくと、日がかなり傾いていた。私は、今まで使用した責め道具をキャリーケースに放り込み、まだ仰向けに横たわっている会長の頭を蹴って、命令した。
「いつまでも寝転がっていないで、四つん這いになって、ついておいで!逃亡した奴隷のお仕置きは、今からが本番だよ!」
 私はキャリーケースを引いて、近くに建っている会長のログハウスに向かった。私の後を、全裸で傷だらけの会長は、よたよたと四つん這いで、息を切らしながらも必死について来た。そして、野外プレイから屋内プレイへと、移行する事になった。


 私が相手をする大物マゾ顧客は、政財界の大物だけとは限らず、裏社会の大物もいた。私が呼ばれた相手は、日本で知らない者はいない広域暴力団組織の、中堅組長だった。この組長は40代半ばで、若い頃からキックと総合格闘技のトレーニングを続けて、プロレスラーみたいな頑健な体つきをしており、地下格闘技の興行と闇カジノを仕切っている、名うての武闘派なのだが、そのような人物がマゾヒストなのだから、人は見掛けに依らないものだ。
 組長は格闘プレイを好み、最初に彼は私に基本的なパンチとキック、それに比較的簡単な関節技をレクチャーした。根が体育会系の私は、直ぐに技を覚え、厳重に施錠した組長の個人用トレーニングルームで、早速格闘プレイを開始する事になった。
 私は赤色のマイクロビキニ姿で、手には指先が出ている総合格闘技用のグローブを嵌めた。トレーニング器材を隅に動かし、床に薄いマットを敷いた組長は、服を全部脱いで真っ裸になった。私も女にしては上背がある方だが、身長180cmで、刺青だらけの岩みたいな体をした、角刈りで強面の男と対峙すると、些か気後れした。おまけに、真珠を何個か埋め込んだ組長の股間のものは、私に向かって猛々しくそそり立っている。
 組長は私を指差すと、嘲るように言い放った。
「女のくせして、この俺様に挑戦するなぞ、片腹痛いわ。軽く揉んでやった後で、俺様自慢のイボマラを突っ込んでくれるわ!」
 私は内心で、気後れした自分を叱り、大声で台詞を喋った。
「ふん、図体だけの木偶の坊が、大口を叩くわね。そう言う台詞は、私に勝ってから使いなさいよ。もし、あんたが負けたら、私の奴隷になってもらうからね!」
 組長は怒った素振りを見せ、
「女ごときが、生意気言うな!ボコボコにしてやるぜ!」
と怒鳴り、私に攻撃してきた。組長の、速く重いパンチとキックが私を襲ったが、それは決して私に当たらなかった。そして、私の素人パンチが組長の腹に当たる、と言うか触れただけで、
「ぐおっ」
と大げさな呻き声を上げ、体をくの字に曲げた。組長の頭の位置が低くなったので、私がそこにぎこちない回し蹴りを入れると、
「ぐわぁっ」
と呻き、組長は横にふっ飛んだ。私は両手を腰にやって仁王立ちとなり、ダウンした組長をあざ笑った。
「女ごときと言ってたくせに、あっさりダウンしたわね。男のくせに、女に負けて口惜しくないの?」
 組長は、憤怒の形相で跳ね起き、
「ふざけるな!勝負は、これからだ!」
と言って、私に威力のある速いパンチを何発も繰り出した。しかし、そのパンチは全て、ぎりぎりのところで私に当たらず、私が素人パンチを組長の岩みたいな体に連打すると、
「ぐえっ、ぐおっ、あがっ」
と呻き声を上げ、その場に崩れ落ち、横倒しとなった。私は組長の顔を素足で踏みにじり、嘲った。
「あらあら、もう終わりなの?全く歯応えが無いわね。それでも、男のつもり?自慢のイボマラなんか切り落として、新宿二丁目でデビューした方がいいようね。本当に情けない男!」
 組長は、私がこけないように、自分の顔を踏んでいる私の足をゆっくり払い除け、
「畜生、女に負けて堪るか!」
と喚いて立ち上がり、速く鋭い蹴りを何本も繰り出した。その蹴りもぎりぎりのところで私に当たらず、私は、陰嚢には決して当てないように注意して、組長の硬くそそり立っているものを、爪先で蹴り上げた。
「ぎゃあぁーっ」
 組長は大げさな喚き声を上げ、両手で股間を押さえ、マットの上を転げ回った。私は、痛がる素振りを見せて転がる組長を蹴り続けて、嘲笑った。
「アハハ、スケベったらしく、そんな醜いものをおっ立てているから、痛いのよ。そんな見苦しいものが無いだけ、女に生まれて良かったわ。これで、男は女より遥かに下等な生き物だと、低脳なお前でも、少しは分かったんじゃない?」
 組長は、激怒した表情で立ち上がり、
「くそーっ、殺してやる!」
と喚き、私に素早いタックルを掛けた。しかし、そのタックルは私の腰に抱きついたところで、ピタリと止まり、私が倒れる事はなかった。私は、自分でも大して威力が無いと分かっている膝蹴りと肘打ちを、組長にかました。組長は、
「ぐえぇっ」
とカエルが潰れた様な呻き声を上げ、その場に崩れ落ちた。私がすかさず、組長から習った腕ひしぎ固めを掛けようとすると、組長は自ら、技を掛け易い位置に自分の腕を持っていった。私が関節技を掛けると、
「うわあぁーっ、い、痛い、止めてくれ!」
と悲鳴を上げた。
「どう?もう、降参する?」
 私が尋ねると、組長はまだ反抗した。
「ふ、ふざけるな!誰が女に降参するか!」
 私が少し力を入れると、組長は、
「ああぁーっ、痛い、肩が壊れる…もう、止めてくれ、勘弁してくれ」
と泣き言を言った。
「降参して、私の奴隷になると誓うなら、放してあげるわ。どうするの?」
 私が組長に、再度尋ねると、今度は、
「ああっ、降参します…降参して、奴隷になります…」
と泣きそうな声で、答えた。私が腕を放すと、組長はマットにうずくまり、すすり泣くような声を出した。私は立って、組長の頭を踏みにじり、罵った。
「ふん、男のくせに女に負けて泣き出すなんて、情けないわね。お前なんか、男のうちに入らないわよ…もっと、もっと情けなくしてやるわ。正座しなさい!」
「は、はい…」
 組長は泣き真似を止めて、その場に正座した。私はグローブを外し、正座した組長に強烈な往復ビンタをお見舞いした。
「ひいっ、ひいっ」
 組長は情けない悲鳴を漏らした。
「お前は私に負けて、奴隷になると誓ったのよ。今からお前を“男奴隷”と呼ぶわ。そして、私がお前の御主人様になるのよ。ちゃんと、それが分かってるの!?」
 私が強い口調で組長に尋ねると、
「はい、分かっています、女御主人様…」
と殊勝な口振りで答えた。私は正座している組長の頭を両手で抱えて引き寄せ、私の股間に彼の鼻と口を密着させた。
「だったら、まず、御主人様の臭いを、よく覚えるのよ!」
 私は腰を振り、股間で組長の顔面を蹂躙してやった。組長は苦しそうな呻き声を漏らしたが、それでも私の臭いを夢中で嗅いでいた。次に私は後ろ向きになり、お尻を組長の顔面に押し付けた。
「男奴隷、前の臭いだけじゃなく、後ろの臭いも覚えておくのよ!」
 私は椅子に座る様に、自分の体重を組長の顔面に掛けた。組長は苦しそうだったが、普段から鍛えているだけあって、太い首で私の体を支えた。散々私の臭いを嗅がせてから、私は組長の顔を素足で押すように蹴り、彼をマットに横倒しにした。
「四つん這いにおなり!」
 私は組長を四つん這いにさせ、キャリーケースから、ウズラ卵よりほんの少し大きいサイズのローターとリモコン、それとワセリンの缶を取り出した。私はローターにワセリンを塗りたくると、四つん這いになっている組長の背後に回った。
「男奴隷、自分の両手で、尻たぶを広げるのよ!」
 組長は頭をマットに着け、尻を上げた屈辱的なポーズで、尻たぶを広げた。組長の肛門が露出し、私はローターをそこに当てがった。
「うふふ、お前をよがらしてやるわ。覚悟おし!」
 私は、ローターを指で、組長の肛門奥深くに押し込んだ。組長の口から、哀れな呻き声が漏れた。私は立ち上がると、組長の横腹を蹴り、仰向けに転がした。私はもどかしげにマイクロビキニを脱ぎ捨て、後ろ向きに組長の顔に座り、陰部で彼の口と鼻を塞いだ。私の股間は、格闘の汗と興奮した淫液で濡れそぼっていた。
「ビキニ越しじゃなく、直接御主人様の臭いを嗅がせてあげるわ。嬉しいでしょう、男奴隷!」
 私の股間から、組長が何かを言っているモゴモゴした声が聞こえた。私は組長が窒息しないように、僅かに腰を浮かし、手を伸ばして、股間で猛々しく屹立しているものを掴んだ。
「男奴隷、言っておくけど、御主人様の許しも得ずに、勝手に射精したら、ただじゃ済まさないからね!」
 私は組長の硬くそそり立っているものを、ゆっくりとしごき始めた。私の濡れそぼった陰部で顔を覆われ、私の柔らかな手で股間のものをしごかれた組長は、全身を震わせて、射精に耐えていた。私は頃合いを見て、リモコンのスイッチを入れた。ローターのビィーンという振動音が、組長の下腹から響いた。
「ムグゥオォーッ」
 私の股間から、組長のくぐもった悲鳴が聞こえた。私が組長の肛門に押し込んだローターの位置は、丁度前立腺付近にある筈だ。それが激しく振動し、股間のものをしごかれては、耐えられる訳が無い。あっと言う間に、組長の屹立したものから、夥しい白濁液が噴出された。私は立ち上がると、汚れた手を脱ぎ捨てたマイクロビキニで拭い、コード線を引っ張って、ローターを組長の直腸から取り出した。
 私は呆然と仰向けに横たわっている組長の顔を素足で踏みにじり、怒鳴りつけた。
「男奴隷、誰が射精していいと言ったの!許しも得ずに勝手に射精したら、ただじゃ済まさないと言ったばかりでしょう!お前は、私を軽く見て、言う事なんて聞けないと思ってるのね。お前はまだ、自分が奴隷だと自覚してないんでしょう!」
「い、いえ、決してそんな事はありません、女御主人様…」
 足下から、組長の哀れな声が響いた。私は、組長の顔に跨って仁王立ちになり、彼を見下して命令した。
「口だけじゃ、何とでも言えるわね…勝手に射精した罰として、お前を便器にするわ!私の便器になって、私のおしっこを飲めば、自分が奴隷だと自覚出来るからね!」
「そ、そんな…赦して下さい…」
 本当は飲ませてもらいたいくせに、組長は泣きそうな声で赦しを請うた。
「お黙り!さっさと、口をお開け!」
 顔を歪めた組長が口を大きく開けたのを見て、私は腰を下ろした。組長は、私の陰部が近づくのを、目を見開いて凝視していた。
「男奴隷、一滴もこぼすんじゃないよ!こぼしたら、尿道と肛門をロウソクの熱いロウで塞いでやるからね!」
 私は陰唇を震わせ、組長の口に勢いよく放尿した。組長は必死になって、私の尿を飲んでいた。私が放尿を終えると、組長は口を半開きにして、呆然としていた。
「男奴隷、おしっこを飲ませてもらったら、言われなくても、お前の舌で後始末おし!」
 私に怒鳴られた組長は、頭を起こし、舌を精一杯伸ばして、尿で濡れた私の陰部をペロペロ舐め始めた。私は組長の舌の動きを楽しみ、組長を便器にした優越感に耽っていた。


 SMクラブで働き始めて、2年が経過した。この2年間で、私が担当する大物マゾ顧客はかなり増え、顧客の殆どがリピーターとなってくれて、ママの絶大なる信用も勝ち取った。そろそろ頃合いだと判断した私は、大物マゾ顧客に呼ばれた際に、その顧客とのSMプレイを映したDVDと、小型のポータブルDVDプレイヤーを持参した。私は大物マゾ顧客にDVDを見せ、
「お客様とのSMプレイの記念品です」
と言って、手渡した。自分の痴態を録画されていると知った大物マゾ顧客は、全員顔色を変えた。私はすかさず、大物マゾ顧客にお願い事をした。ここで金品を要求すれば、私は恐喝で警察に捕まる…どころか、この世から抹殺されていただろう。私は、株をいじってみたいので、顧客が勧められた仕手株の銘柄を教えて欲しいと、控えめにお願いした。大物マゾ顧客は、別に自分の腹が痛む訳ではないので、そんな事ならと、安堵して教えてくれた。私はその情報を元に、自分が昼に勤めている証券会社で、親戚名義で株を売買して、かなりの利益を上げた。また、他の大物マゾ顧客にも仕手株の情報を流し、利益を与えて喜ばれ、逆に大物マゾ顧客が進んで他の仕手株の銘柄を教えてくれるようになった。 情報には、情報でという事だ。暴力団組長にも仕手株の情報を一部流して、利益を与え、恩義を感じてもらえた。彼は組織へ納める上納金が倍増出来たので、組織内の地位がかなり上がったそうだ。
 仕手株の情報収集が軌道に乗ったところで、私は証券会社を退職し、デイトレーダーになった。昼は自宅でパソコンに向かって株を運用し、夜は今まで通りSMクラブの女王様を続けた。SMクラブの同僚で、私に顧客の指名を取られたと逆恨みをして、陰険な嫌がらせをする女性がいた。私はすっかり参ってしまったが、暴力団組長に相談すると、彼女は三日で街から姿を消した。噂によると、帰宅途中にワンボックスカーに無理やり押し込められて拉致され、顔が変形する位に殴られて、散々輪姦され、街から出て行かないと、次は耳と鼻を削ぐと脅かされ、車から放り出されたそうだ。裏社会とのコネも結構役立つものだと、私は感心した。


 直紀に捨てられて、早や8年が経過した。私は今、ハイヤーで直紀の実家であるマンションに向かっていた。私は株の運用で莫大な資産を手にしており、政財界と裏社会にも強力なコネが出来ていた。金の力で、服は一流デザイナーによるオーダーメイド、化粧は一流のメークアーティスト、髪型は一流の美容師に任せ、私は街を歩けば、すれ違う男が全員振り返る程の華麗な女になった。また、SMクラブで女王様を長くしたおかげか、私には独特のオーラがあると、人から言われた。
 もう、私は見すぼらしい雀ではない。華麗な孔雀に変身したのだ。私はハイヤーに揺られながら、直紀への復讐をあれこれ考えていた。まず、直紀に今の私の姿を見せ、私を捨てた事を後悔させる。次に直紀が跡を継いでいるであろう不動産会社を、私の莫大な資産と、政財界・裏社会のコネを最大限に使って倒産させて、彼に多額の借金を背負わせ、ホームレスになるまで追い込む。それから、私が直紀を拾ってやり、本物の奴隷にして、発狂する位に毎日酷い虐待を加えてやる。
 私が復讐計画を練っている間に、ハイヤーは直紀のマンションに到着した。私は運転手に待っているよう指示し、直紀の実家の部屋に向かった。インターホンを押すと、直紀の母親が出て、応対してくれた。8年前は、キャリアウーマンの風格があったが、今の彼女は何だか覇気が無いように感じられた。直紀の母親は、私の事をよく覚えていた。私が直紀に会いたいと告げると、彼女は顔を翳らせ、隣の部屋へ案内した。そこには、おしゃれなマンションに似つかわしくない仏壇があり、直紀の写真が置かれていた。
 混乱した私に、母親が説明した…直紀は大学卒業直前に、白血病のような、血液の癌とも言える不治の病に掛かっている事が判明した。大学卒業後、直ぐに入院して、ありとあらゆる治療法を試したが、間も無く亡くなってしまった。直紀を亡くした母親は、事業を続ける気力が無くなり、不動産会社を人に譲って、今はマンションの家賃収入で細々と暮らしている、という事だ。
 唖然とした私は、とりとめの無い事を考えていた…それで、謝恩会で会った時に、痩せて顔色が悪かったのか…ようやく探し当てた仇が墓の下とは、まるで江戸時代の講談みたいだ…。私は全身の力が抜けて、その場にへたり込みそうになった。しかし、母親の次の説明が、私の全身の血を沸騰させ、逆流させた。
「直紀は、自分を忘れてもらうために、わざと麻美さんに酷い事を言って、辛い別れをしたと言っていました。入院中、直紀はベッドで、いつも麻美さんの写真を見て、涙ぐんでいました。そして、麻美さんの名前を呼びながら、あの世へ旅立ちました…」
 なぜ、嘘をついたの!?なぜ、本当の事を言わなかったの!?逆上した私は、仏壇を殴り始めた。母親の制止を振り切り、手から血が、目から涙が流れても、殴り続けた。そして、その場に突っ伏して、マンションの床が抜ける程に号泣した。



 帰りのハイヤーの中で、私は直紀の母親が手に巻いてくれた包帯を、ぼんやり見ていた。冷静になった私は、仏壇を滅茶苦茶にした事を母親に詫びたが、彼女は一切責めなかった。私は、本当に直紀を愛していた。だから、8年間も彼を憎み続ける事が出来たのだ。その憎しみが、辛い日々を過ごすためのエネルギーになっていた。しかし、今、その憎しみは無くなった。愛は8年前に無くしている。私はこれから、どうやって生きていけばいいのだろう…。
 私は確かに、華麗な孔雀になった。莫大な資産があり、政財界・裏社会のコネもある。他人から見れば、羨ましい限りだ。しかし、それは何のため、誰のためだったのか…ハイヤーに揺られている私は、ただの抜け殻になっていた。


                                             おわり