洗 脳

作者 namelessさん
蒸し熱い夏の夜、コンビニのバックヤードで、松原裕也はスマホを切り、端正な顔を翳らせて、がっくりと肩を落とした。大学の同級生でバイト仲間の坂本絢香が、心配そうに近づいて尋ねた。

「裕也君、どうしたの?お母さんからの電話で、何か悪い知らせでもあった?」

「ああ、実は…」

 裕也の両親は、輸入雑貨販売の店を営んでいた。日本では入手困難な海外の色々な物品を扱い、景気がいい時期もあったのだが、ネット輸入やネット販売の普及で、裕也が高校生の頃から売り上げが低迷し、経営が苦しくなっていた。

 建築の設計技師を目指している裕也は、奨学金で地方の理工系国立大学に進学して、実家からの少ない仕送りで足りない生活費は、夜のコンビニのバイト代で補っていた。

 先程の母親からの電話は、近くに広大なアウトレットモールが出来て、客が全てそちらに吸い取られたために止む得ず店を畳み、日雇いやパートで糊口を凌ぐしかないので、もう仕送りが出来なくなった、という内容だった。それは二十歳になったばかりで、まだ学生である裕也には大打撃だった。

 文系の大学なら、バイトを二つ三つ掛け持ちして、生活費を稼ぐ事が可能かもしれないが、裕也の通っている理工系の大学は、カリキュラムと製図の課題がびっしり詰まっていて、彼は夏休み期間中でも大学に通って、課題をこなしていた。このような環境でバイトを増やすのは、とても不可能だった。

「…そんな訳で、これ以上、奨学金の借り入れは増やせないし、今のバイト料だけじゃ、アパート代で無くなって生活費はゼロなるし、どうしたらいいのか、お先真っ暗で途方に暮れるよ…」

 絢香は笑顔を浮かべ、しょげている裕也の肩を叩いて、励ました。

「そんなに落ち込まないで…私がママに頼んで、割りの良いバイトを探してあげるから」

 インテリアデザイナー志望で、裕也と同じ大学に通っている絢香は、母親の坂本美沙子が経営しているコンビニでバイトしており、裕也は彼女に誘われて、一緒の店でバイトしていた。

 坂本美沙子は、亡き夫の跡を継いでコンビニ・ファミレス・ガソリンスタンド等のチェーン店を何十軒も経営している、地方都市では大物の女性実業家だった。美沙子は、甘やかせてしまった一人娘の絢香を社会勉強のためにと、コンビニのバイトをさせていた。

 裕也は苦笑いし、

「気持ちは嬉しいけど、絢香さんのお母さんに、甘えるわけにもいかないだろう…さあ、仕事に戻ろう」

と答え、バックヤードを出て、棚の商品の整理を始めた。絢香も裕也の後をついてバックヤードを出て、レジ周りの掃除を始めた。絢香は商品整理をしている裕也を横目で見て、不満そうなため息をついた。

 絢香は、実はイケメンの裕也に、ぞっこん惚れていた。絢香はアイドルみたいに綺麗な顔立ちで、なかなかのナイスバディだったので、今まで彼女が誘いを掛けて、乗って来なかった男は一人もいなかった。しかし、生真面目な裕也は、絢香がいくらモーションを掛けても、それに気がつかず、いつも製図板にかじりつき、構造計算の対比表とにらめっこして、勉学に勤しんでいた。

 他の軽薄な男子学生とは違う、裕也のそんな生真面目なところが、絢香をますます好きにさせ、苛立たせてもいたのだった。





 三日経った月曜日の夜、裕也がコンビニで忙しく働いていると、絢香が声を掛けて来た。

「ママに裕也君の事を相談したらね、短時間で時給も飛び切りのバイトがあるって、言われたの…紹介してあげるから、今日のシフトが終わったら、私の家に行きましょう」

 裕也は些か戸惑ったが、おずおずと聞き返した。

「でも…かなり遅い時間になるけど、いいのかい?」

「構わないわ。ママだって、いつも遅くまで起きて、仕事しているし…私が車で送ってあげるから、そんなに時間は掛からないわよ」

 裕也にとっては渡りに船で、断る理由は無かった。





 絢香が運転する派手な赤いスポーツカーに乗り込んだ裕也は、彼女の家に到着して、目を見張った。内側が窺えないように、周囲には高い塀をめぐらせ、広い庭には、よく手入れされた芝生が敷き詰められて、中央に白亜の豪邸がそびえ立っていた。自分みたいな貧乏な庶民とは、住む世界が違うんだな…裕也は、絢香との身分の差を思い知らされた。

 絢香が玄関のインターホンを鳴らすと、深夜にも関わらず若いメイドが出迎え、二人を美沙子がいるリビングへ案内した。

 テーブルに色々な書類を拡げて、チェックしていた美沙子は、裕也と絢香がリビングに入って来たのを見て、

「いらっしゃい、あなたが松原裕也さんね。絢香が話していた以上に、男前じゃない…ちょっと、待ってて」

と言って、書類を急いで片付け、二人に対面のソファへ座るよう促した。裕也と絢香が座ると、メイドが直ぐに紅茶を差し出した。

 美沙子は50歳だが、まだ三十代後半に見える、いわゆる美魔女で、女性の魅力が溢れた豊満な身体をしており、彼女の妖艶な色気は、若い裕也をどぎまぎさせた。

 美沙子は紅茶を啜りながら、早速本題に入った。

「裕也さん、絢香に話したバイトだけど、私の姪である玲美に関する事なのよ…彼女は一年前に、街の裏通りでレイプされそうになったの。その時は大声を上げて、必死に抵抗したので、気がついた周りの人達が来て、男を取り押さえて、警察に通報してくれてね。犯人は捕まり、レイプは未遂で済んだのだけど…男にナイフを突き付けられ、服を引き裂かれて、酷く殴られる暴行を受けた玲美は、心に深い傷を負って、男性恐怖症になり、引きこもりになってしまったのよ。24歳の若い身空で、このままではいけないと、家族が部屋に入って、彼女を外に出そうとすると、ヒステリー状態になって、大暴れする始末でね…親戚に泣きつかれて、三ヶ月前から私の家で玲美を預かっているの…」

 美沙子の話を聞いた裕也は、それが自分のバイトと何の関係があるのか、内心首を捻った。美沙子の話は続いた。

「精神科の医者達に何度も往診してもらった結果、『男性恐怖症を治せば、引きこもりも治って、社会復帰出来る。そのためには、男性に対して、絶対的な自信を持たせる必要がある』との結論が出たの…」

 ここで美沙子は、話を一旦区切り、裕也の顔をじっと見つめた。

「…それで、裕也さんには、玲美へ男性に対しての自信を持たせるために、彼女の相手をして、言いなりになって欲しいの…どんな酷い事でも、屈辱的な事でも、反抗せずに、玲美の言う通りにしてもらいたいのよ。その代わり、報酬に一時間で一万円を現金でお支払いするわ。時間は、今のコンビニのバイトが終わってからの一時間、月・水・金の週三日でお願いするわ。時給一万円なら、悪い話じゃないでしょう?」

 裕也は戸惑ったが、今のバイトを続けながら、週3万円、月で12万円も貰えるなら、学生の生活費には十分過ぎる程なので、ありがたいと思って即断した。

「わかりました、お引き受けします…それで、僕はどうすればいいのですか?」

 美沙子は裕也の返事を聞き、満面の笑みを浮かべた。

「ありがとう、裕也さん。早速、今晩からお願いするわ…ところで、もう遅いから、絢香は寝なさい!」

「…は〜い」

 絢香は不満そうに口を尖らせて返事をし、自分の部屋へ向かった。

「じゃあ、裕也さん、私と一緒に来て」

 美沙子はソファから立ち上がると、二階に向かい、裕也は急いで彼女の背中を追った。階段を上がって二階の廊下を歩き、突き当たりの部屋に着くと、美沙子はドアをノックして声を掛けた。

「玲美ちゃん、入るわよ」

 彼女は返事を待たずに、ドアを開けて部屋に入り、裕也も後に続いた。トイレとバスルームも付いている広い部屋の中央にベッドが置かれ、淡いピンク色のスウェット姿の女性が、背を向けて横たわっていた。部屋に入った途端、むっとした強い女臭さが裕也の鼻を突き、この女性はしばらく風呂に入っていないのではないかと思われた。

「玲美ちゃん、紹介するわ…こちらが、玲美ちゃんの話し相手になって下さる裕也さんよ」

 呼び掛けられた女性は、寝返りを打ってこちらを向き、だるそうに体を起こしてベッドの端に腰掛けた。彼女は乱れた髪をかき上げ、どんよりした目を、美沙子と裕也に向けた。

「…叔母さん、何で、こんな男を連れて来たの?」

 玲美の気だるそうな問い掛けに、美沙子は気遣うように答えた。

「玲美ちゃんの男性恐怖症を治してもらおうと思って、わざわざ来てもらったのよ…玲美ちゃんには、男に対する自信が必要なの。だから、命に関わらない限り、裕也さんに何を言いつけてもいいのよ。裕也さんも、承知しているから…」

 玲美は面倒臭そうに、裕也へ顔を向けた。裕也は、この女性は綺麗な顔立ちをしているから、身なりを整えれば凄い美人になれるのにもったいない、と内心思った。
「あんた…私の言う事は、何でも聞くの?」

 玲美は唐突に、裕也に問い掛けた。裕也は、些かどぎまぎして答えた。

「は、はい…勿論です。玲美さんの言う事は、何でも聞きます」

 玲美のどんよりとした目が、急に険しくなった。

「そう…それなら、偉そうに突っ立っていないで、正座しなさいよ!」

 玲美から急に大声を出された裕也は、驚き戸惑ったが、美沙子との話を思い出し、フローリングの床に正座した。美沙子は微笑むと、

「玲美ちゃん、その調子で頑張って…じゃあ、裕也さん、後はお願いね」

と言って、部屋を出て行った。

 二人きりになると、玲美はベッドから立ち上がり、正座している裕也を、厳しい目つきで見下した。

「私、男を信用出来ないの…以前、顔にナイフを突き付けられた事もあるし、あんたが何か隠し持っているんじゃないかと、不安になるのよ…だから、服を全部脱いで、裸になりなさい!」

「えっ、いくら何でも、それは…」

 驚いた裕也が抗弁しようとすると、玲美は怒鳴った。

「何よ!私の言う事は、何でも聞くんじゃなかったの!?」

 玲美に睨まれた裕也は、美沙子との話を思い出して、うなだれた。

「はい…わかりました」

 裕也は一旦立ち上がると、服を脱ぎ、トランクス一枚だけの姿になって、再び正座した。すると玲美は、裕也の顔を足裏で押すように蹴り、彼を床に倒して、怒鳴り付けた。

「私は、裸になれと言ったのよ!まだ、パンツが残っているじゃないの!それも脱いで、素っ裸になりなさい!」

 男の顔を女に足蹴にされ、恥ずかしい事を強要された裕也は、怒りと屈辱で顔が真っ赤に火照った。しかし、これも生活費を捻出して、大学生活を続けるためだと自分に言い聞かせ、恥辱で体を震わせながらも立ち上がり、トランクスを脱いで全裸になった。

「両手を背中に廻すのよ!」

 玲美に命令された裕也は、股間を押さえて隠していた両手を、おずおずと背中に廻した。裕也の背後に廻った玲美は、いつの間にか手にした細引きの紐で彼の両手首を手際よく縛り、後ろ手に拘束した。

「お前の体を調べるから、足を開きなさい!」

 裕也は、恥辱で顔を紅潮させながらも、足を肩幅より広く開いた。玲美は彼の背後から、太腿の内側や股間をまさぐり、嘲った声を出した。

「一応、危険な物は隠してないようだけど…男は裸になっても、これが凶器になるのよ。こんなものがあるから、女をレイプしたくなるんだわ!」

 玲美は、柔らかな手で裕也の陰嚢を包み、優しく揉みほぐしながら、もう片方の手で陰茎を握ると、亀頭の敏感な部分を、指の腹でゆっくり擦り始めた。

「ああ、そんな…」

 裕也は恥ずかしさで顔を真っ赤にし、身悶えして、玲美の手から逃れようとした。しかし、玲美は、

「動くんじゃないよ!動いたら、睾丸を握り潰してやるからね!」

と一喝して、裕也の動きを封じた。玲美の柔らかな手によって、敏感で恥ずかしいところを刺激された若い裕也のものは、たちまち硬く屹立してしまった。

「ほら、直ぐに、いやらしく硬くして…お前もこの醜いものを、女の体に突っ込みたい、レイプしたいと思っているんでしょう!許せないわ!」

 玲美は裕也を罵り、柔らかな手と指を使って、彼の屹立して更に敏感になったものを、刺激し続けた。彼女は硬くなったものを、優しくゆっくりしごき、先の敏感な箇所を指の腹で擦り、触れるか触れないかの微妙なタッチで、爪を立てて滑らせた。

 玲美は、硬く勃起した陰茎だけではなく、陰嚢も揉みほぐしながら、陰嚢と肛門の間の、いわゆる“蟻の門渡り”と呼ばれる敏感な箇所にも、フェザータッチで指の腹を走らせた。

「ああっ…」

 玲美の絶妙な刺激で、若い裕也はたちまち絶頂まで追い込まれ、口から切ない吐息が漏れた。しかし彼女は、裕也に射精寸前の快楽を延々と与え続けてはいたが、後一歩のところで、射精を許さなかった。20分以上もじらし責めを受けた裕也は、さすがに耐えられず、泣きそうな声で懇願した。

「…玲美さん、お願いです…イカせて下さい」

 すると、玲美は裕也の陰部から手を離し、彼の前に廻ると、目から火花が散る程の激しい往復ビンタを喰らわせた。

「ひいぃっ」

 思わず悲鳴を漏らした裕也を、玲美は叱りつけた。

「汚らわしい男のくせに、横着言うんじゃないわよ!それと私の事は、“玲美様”とお呼び!」

 そして玲美は、前面から裕也の硬いものを握ると、射精しないように注意して、ゆっくりとしごき続けた。それが十数分間も続くと、耐えられなくなった裕也は、遂に泣き出した。

「玲美様、お願いですから、イカせて下さい…何でも言う事を聞きますから…お願いします」

 泣き声で哀願された玲美は、裕也の泣き顔を見て、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべ、彼の股間のものから手を離した。

「ふんっ、何でも言う事を聞くのは、最初から決まっているでしょう!そんなに、汚らしい液を出したいの?男って、本当にケダモノだわ…だったら、跪きなさい!」

 裕也はすすり泣きながら、その場に正座した。玲美は裕也の背後に廻り、

「私の許しが出るまで、勝手に動くんじゃないよ!」

と釘を刺して、彼の両手首を縛っていた細紐を解いた。そして、再度裕也の前に廻ると、何の恥ずかしげも無く、スウェットの下衣とパンティを脱いだ。

 玲美は、目を丸くしている裕也に、脱いだパンティを突き付けた。

「お前、このパンティを裏返して御覧!」

 
震える手で玲美から白色のパンティを受け取った裕也は、言われた通りにパンティを裏返した。パンティのクロッチ部分には、黄色い染みが拡がり、茶色い筋も付着して、むっとする異臭が鼻を突いた。玲美はベッドの端に腰掛け、脚を開いて裕也に自分の陰部を見せつけた。

「汚らしい液を出したいんでしょう…私のここを見て、パンティの臭いを嗅ぎながら、オナニーしなさい!」

 濃い陰毛に縁取られた、玲美の赤い陰唇を見せつけられ、強烈な臭いがする汚れたパンティを手にしている裕也は、じらし責めを受けて一刻も早く射精したい事もあり、頭の中が爆発したように理性が吹っ飛んでしまった。

 彼は玲美に命じられた通り、パンティのひどく汚れたクロッチ部分を鼻に当て、饐えたようなきつい臭いを嗅ぎながら、限界まで硬く屹立した股間のものを握り、激しくしごき始めた。汚れたパンティの強い臭いで、頭がクラクラしたが、裕也の目は玲美の陰部に釘付けになり、しごく手の動きは更に激しさを増した。

 間もなく、裕也は熱く滾った股間のものが破裂したように感じ、夥しい白濁液を床に撒き散らした。射精した後、裕也は身体から、気力・男の誇り・人間の尊厳といったものが全て抜き取られたかのように感じ、全身の力が抜けて、がっくりとうなだれた。彼は射精したことで、いくらか冷静になり、玲美の前で晒した自分の醜態を思い、恥ずかしさで顔が真っ赤になった。

「ふんっ、恥知らずに汚らわしい液をたっぷり出して、床をこんなに汚して…責任を取って、お前が汚い液を舐め取り、床をきれいにしなさい!」

 玲美に命令された裕也は、もう何も考えられなくなり、彼女のパンティを手にしたまま、這いつくばって、フローリングの床に飛び散った精液を舐め取り始めた。腑抜けみたいになった裕也は、感覚がおかしくなり、生臭い精液の味も、床の埃のざらついた感触も、何か他人事のように感じていた。

 裕也が床の精液を舐め終えると、玲美は次の命令を下した。

「お前は、私のパンティの臭いで興奮して、オナニーしたのよね…そんなにパンティが好きなら、汚れた部分をしゃぶって、味わいなさい!」

 裕也は玲美の命令通りに、床に正座してパンティの、黄色い染みと茶色い筋がこびり付いて汚れているクロッチ部分に舌を這わせた。その途端、饐えたような強烈な臭いが口中と鼻の奥まで充満し、舌には何か腐ったものを舐めたような、苦いような酸っぱいような、吐き気を催すきつい味が拡がった。

 腑抜けのようになり、感覚が半ば麻痺していた裕也であったが、あまりに臭い汚れたパンティの味に、恥辱で身震いし、目から涙がこぼれた。その時、玲美が裕也の股間を指差し、呆れた声をだした。

「何よ、お前は!さっき、汚らしい液を出したばかりなのに、また勃起しているじゃないの!パンティをしゃぶって興奮するなんて、最低の変態だね、お前は!」

 玲美に指摘され、裕也は股間のものが再び屹立している事に気づいた。

「ふんっ、まあ、いいわ…変態なら変態らしく、パンティをしゃぶりながら、もう一度オナニーしてみなさいよ!」

 実際に、汚れたパンティを舐めて勃起してしまった裕也は、何も言い返せず惨めにすすり泣き、玲美に言われた通り、パンティの汚れたクロッチ部分を舐めながら、股間の硬くなったものを握って、しごき始めた。

 裕也が再び果てるのに、それ程時間は掛からなかった。





 裕也にとって、永遠とも感じられた長い一時間が過ぎ、彼は一階のリビングで、テーブルを挟んで美沙子と向かい合っていた。

「裕也さん、お疲れ様…これは、今日のお礼よ」

 美沙子は一万円札の入った封筒を、裕也に差し出した。受け取った裕也は、思い切って美沙子に申し出た。

「あの…やっぱり、僕に玲美さんのお相手は務まりません…今晩で最後にして下さい」

 たったの一時間、玲美の相手をしただけで、裕也は耐え難い恥辱を受け、男のプライドを奪われ、心も体も限界まで追い詰められ、げっそり消耗してしまったのだ。時給一万円で生活費が稼げるのは魅力だったが、これ以上玲美の相手をすると、精神に異常を来し、人格が崩壊して廃人になってしまいそうだった。

 しかし、美沙子は裕也の申し出を許さなかった。彼女はスマホを取り出すと、何やら操作した。その途端、裕也のスマホから着信音が響いた。

「あなたに、面白い動画を送ってあげたわ…確認して頂戴」

 裕也は怪訝に思いながら、自分のスマホをポケットから取りだして、着信した動画を確認した。裕也は動画を見た瞬間、驚いて目を剥いた。

 それは玲美の部屋で、全裸の裕也がパンティの臭いを嗅ぎながらオナニーし、這いつくばって床の精液を舐め取っている痴態を映した動画だった。美沙子は薄笑いを浮かべて、説明した。

「玲美の部屋にはね、彼女が早まった事をしないか見張るために、隠しカメラを設置しているの…その動画は、隠しカメラの画像データをスマホに転送したものよ。もし、あなたが玲美の相手を断るなら、絢香のスマホを通じて、大学の同級生に一斉送信するからね。SNSや動画サイトにもアップロードして、誰でも見られるようにしてあげるわ」

 裕也は、恥ずかしさと怒りで顔を真っ赤にして、美沙子に抗議した。

「こ、これは脅迫、恐喝じゃないですか!許されない事ですよ!」

 しかし、美沙子は裕也の抗議を鼻で笑い、歯牙にも掛けなかった。

「何とでも、おっしゃい。私も事業家の端くれ、事業をする者は、何事にも保険と担保を付けておくものよ…それで、どうするの?醜態を同級生に晒して、大学に行けなくなるか、玲美の相手をして、大学を続けるための生活費を稼ぐか、好きな方を選びなさい!」

 裕也に選択肢は無く、がっくりとうなだれた。

「…わかりました。玲美さんのお相手をします」

 美沙子は、苦渋に満ちた顔で返事をする裕也を見て、満足そうに笑みを浮かべた。

「引き受けてくれて、嬉しいわ。ありがとう、裕也さん…コンビニのバイトの後で、綾香に送らせるから、明後日もお願いするわね。もし来なかったら、どうなるかは分かっているでしょうけど…帰りは、タクシーを使って」

 美沙子は、落ち込んでいる裕也に、タクシーチケットを手渡した。





 玲美の相手をしてから、裕也は気分が晴れず、ずっと落ち込んでいた。製図の課題にも、コンビニのバイトにも身が入らず、ミスが目立った。

 絢香が心配そうに、玲美の相手をした時の様子を尋ねたが、とても本当の事は言えなかった。そして、あっという間に時間が過ぎ、玲美の相手をする日になった。





 コンビニのバイトを終え、絢香の車で美沙子の邸宅に連れて来られた裕也は、直ぐに玲美の部屋へ通された。玲美の部屋に入った途端、裕也は彼女から命令された。

「私の部屋に来たら、服を全部脱いで、裸になりなさい!一昨日も言ったけど、私は男が服を着ていると、何か隠し持っているんじゃないかと、不安になるのよ」

 裕也は一昨日と同じく、恥辱に耐えて服を脱ぎ、全裸になって、床に正座した。すると、玲美は裕也の髪を掴んで引っ張り、顔を上に向かせて、力強い往復ビンタを張った。

「ひえっ」

 目眩がする程の強烈なビンタを喰らった裕也の口から、情けない悲鳴が漏れた。玲美は裕也の髪から手を離すと、彼の顔を押すように蹴って、床へ横倒しにした。

「誰が座っていいと、言ったのよ!横着しないで、さっさとお立ち!」

 理不尽な叱責を受けて、顔を足蹴にされた裕也は、怒りと屈辱で顔が赤く染まったが、玲美に逆らえる訳も無く、身震いしながら立ち上がった。

玲美は、両手で股間を隠して立っている裕也に、部屋の一角を指差して、命令した。

「ぼやぼやしてないで、あそこにお行き!」

 そこには、引きこもりの玲美に、少しでも身体を動かしてもらおうとの気遣いか、ぶら下がり健康器が置いてあった。ぶら下がり健康器の前に移動した裕也は、玲美が何をするつもりなのか、いぶかしんだ。玲美は、続けて命令した。

「両手を伸ばし、少し拡げて、上のバーを掴みなさい!両足も広げるのよ!」

 裕也が命じられた通りにすると、玲美は細紐で彼の両足首と両手首を、ぶら下がり健康器のパイプに手際よく縛り付けた。裕也は、X字型に近い形でぶら下がり健康器に拘束され、玲美の前で全く無防備な体勢にされてしまった。

 一昨日と同じ様に、玲美は裕也の目前で、何の恥ずかしげも無く、スウェットの下衣とパンティを脱ぎ下ろし、下半身丸出しの姿になった。

「お前は、パンティの臭いが大好きなのよね…これは、特別サービスよ」

 玲美は脱いだパンティを、一番汚れているクロッチ部分が裕也の鼻と口に当たるように調整して、彼の顔に被せた。一昨日と同様の、饐えたような強烈な臭いが鼻孔の奥まで到達し、パンティに覆われた裕也の顔が苦しげに歪んだ。

 しかし、若い男の悲しい性で、女の股間部分の臭いを嗅がされた彼の股間のものは、直ぐに頭をもたげ、硬く屹立してしまった。

「ふんっ、やっぱりね…お前はパンティの臭いを嗅いで興奮する、最低の変態なのよ!下着ドロなんかもしているんでしょう。このスケベ、変態!」

 玲美の罵声は裕也の胸を深く抉り、彼の目に涙が滲んだ。玲美は裕也の硬く屹立したものを握ると、ゆっくりとしごき始め、一昨日と同じ様に、指の腹で敏感な箇所を擦ったり、フェザータッチで爪を立てて滑らしたりした。

 急激に射精寸前の快楽に追い詰められた裕也は、苦しげに顔を歪めて身悶えした。

(また、じらせて、苦しめるつもりか…)

 玲美のじらし責めが15分程続き、あと一擦りで果てるというところで、彼女は裕也の股間のものから手を離した。切なげな吐息を漏らす裕也を尻目に、玲美はクローゼットに向かい、レディス用のの細い革ベルトを取り出した。

 玲美は裕也の前に戻って、革ベルトを振り上げると、

「そんな醜悪なものを、女に向かって突き出すんじゃないわよ!この、恥知らずのケダモノ!」

と怒鳴り、彼の胸に思い切り振り下ろした。

「ぎゃあぁっ」

 胸に焼け火箸を押し付けられ、生皮を剥ぎ取られた様な強い痛みに、裕也は悲鳴を上げた。

「ほら、ほら、ほら!」

 玲美は掛け声と共に、革ベルトを裕也の身体に振るい、彼の皮膚にはたちまち数本の赤い条痕が浮かび上がった。

「ああっ、痛い、玲美様、止めて、ひいっ、止めてくれ…」


 痛みに耐えかねた裕也が、悲鳴混じりの哀願をすると、玲美は意外にも、あっさり革ベルトを振るうのを止めた。

「うふふ、結構痛かったみたいね…あんなに硬く大きく脹らませていたものが、すっかり萎んじゃったわ」

 裕也は玲美に言われて、射精寸前の猛々しく勃起していたものが、縮こまっていのに気がついた。玲美は革ベルトを床に放り、両手で裕也の萎縮したものを持ち、再び撫で始めた。玲美の柔らかい手で刺激されて、若い裕也のものは直ぐに頭をもたげ、硬度を回復し、屹立してしまった。玲美は微妙な刺激を裕也のものに与え続け、又も射精寸前まで追い詰めた。

「ああっ…」

 裕也が身震いして、苦しげな吐息を漏らすと、玲美は彼のものから手を離し、床の革ベルトを手にした。

「醜いものを、女に向かって突き出すなって、さっき言ったばかりでしょう!最低の変態!」

 玲美は裕也を叱りつけると、再度革ベルトを彼の身体に四、五回振るった。

「うわぁ、痛い、止めて、お願い…」

 裕也が半ば泣き声で哀願すると、玲美は革ベルトを振るうのを止めた。

「もう、萎んだわ…お前も、ここを膨らませたり、萎ませたり、忙しいわね」

 玲美は革ベルトを床に放ると、又も小さくなった裕也のものに手を伸ばし、絶妙な刺激を与えて、猛々しく隆起させた。そして、裕也が射精寸前の快感に身悶えすると、革ベルトを振るって、彼の身体を打ち据えた。玲美は、この行為を何度も繰り返した。

 女に革ベルトで打たれる苦痛と屈辱、女に恥ずかしい箇所を弄ばれて、射精寸前まで追い込まれる恥辱を交互に繰り返され、裕也の感覚はすっかりおかしくなり、玲美から革ベルトで手酷く打たれても、勃起は治まらなくなっていた。

「ふ〜ん、痛い目に遭っても興奮して、ここを硬くするのね…」

 下半身丸出しで革ベルトを振るっていた玲美は、スウェットの上衣とブラジャーも脱ぎ、全裸になった。そして、裕也の硬く屹立したものを豊かな乳房で挟んで揺らし、彼にとろけるような甘美な快楽を与えた。

「ああっ…」

 裕也が切なげな吐息を漏らして、身悶えするのを確認した玲美は、彼の股間のものを柔らかな唇でくわえると、舌を絶妙に動かし、絶頂まで追い詰めた。

「うあぁ、もう駄目だ…」

 後一舐めで射精するというところで、玲美は裕也のものから口を離した。彼女は革ベルトを振り上げると、

「これ程恥知らずに醜いものを大きく硬くして、女に向けて突き付けるなんて、許せない!こんなもの、叩き潰してやるわ!」

と言って、限界まで屹立した裕也のものを、情け容赦無く思い切り打ち据えた。

「ぎゃあぁっ」

 屹立して敏感になっているものを、革ベルトで強く打たれた裕也は、陰茎を切断されてもぎ取られた様な激痛を感じ、獣じみた絶叫を上げた。しかし意外にも、打たれた瞬間、そこから多量の白濁液を噴出してしまった。玲美は、涙をぼろぼろこぼして苦しんでいる裕也を、手厳しく罵った。

「何よ、お前は!そこを打たれて、射精するの!?信じられない変態だわ、最低!」

 玲美に罵られて、裕也は自分が射精してしまった事に、初めて気がついた。彼は自分の精神と感覚がすっかり狂ってしまったのを自覚し、正気を保てる自信を失って、涙が止まらなかった。

「ふんっ、革ベルトで打たれるのが気持ちいいのなら、もっと打ってあげるわよ!」

 玲美は豊かな乳房を揺らして革ベルトを振るい、裕也の体中を打ち据えた。裕也は、打たれる度に悲鳴を上げ、身悶えして苦しみ、ぶら下がり健康器をギシギシと軋ませた。

 玲美がようやく革ベルトを振るう手を止めた時、裕也の体中に赤い条痕が縦横無尽に走っていた。玲美が、裕也の両手首と両足首を縛っていた細紐を解くと、彼は精根尽き果てたように、床に崩れ落ちた。床に横たわった裕也の顔を、玲美の素足が踏みにじった。

「許しも得ないで、勝手に寝ころぶんじゃないよ!それと、懲りずに床を汚らしい液で汚して…舐め取って、きれいにしなさい!」

 玲美に命令された裕也は、のろのろと這いつくばって、床の精液を舐め始めた。裕也は床のざらついた埃と生臭い精液を味わいながら、自分の精神が崩壊しつつあるのを自覚し、目から涙がこぼれた。裕也が四つん這いで床を舐めている間、玲美は後ろから足先で彼の股間部分をつつき、

「男の四つん這いほど、醜いものはないわね…こんな見苦しいものをぶらぶらさせて、恥知らずもいいとこよ」

と嘲笑い、彼を更に苦悩させた。





 悪夢の一時間がようやく経過し、一階のリビングで裕也は美沙子に、ベルトで体中を打たれて傷だらけになり、とても体が保たないと強く訴えた。しかし、美沙子は鼻で笑い、

「あら、でも裕也さんは、ベルトで打たれて、気持ちよかったんじゃないの?」

と言って、スマホの液晶画面を彼に突き出し、革ベルトで陰部を打たれ、射精してしまった動画を見せつけた。

 これには、裕也は何も言い返せず、恥ずかしさで顔を真っ赤にして、報酬の一万円とタクシーチケットを受け取り、美沙子の邸宅をすごすごと退散するしかなかった。





 二日後の夜、裕也は思い足を引きずるように動かし、玲美の部屋に入った。革ベルトで打たれた傷がまだ癒えてなく、玲美を訪ねるのが嫌でたまらなかったが、美沙子に自分の恥ずかしい動画で脅されては、避ける事も出来なかった。

 裕也が部屋に入った途端、スウェット姿の玲美から、目が眩む程の強烈な往復ビンタを喰らった。

「ひいぃっ」

 思わず頬を押さえて悲鳴を漏らし、へっぴり腰になった裕也を、玲美は凄い剣幕で怒鳴りつけた。

「何で服を着ているのよ!私は男が服を着ていると、落ち着かないと言ったでしょう!もう忘れたの!?本当に低脳だね!」

 裕也は怒りと屈辱で体が震え、顔が真っ赤になったが、かろうじて自分を抑えた。

「…はい、申し訳ありません、玲美様」

 裕也は震え声で答え、恥ずかしさに耐えて服を全て脱ぎ、全裸になった。その時、部屋に大型のキャリーケースが置かれているのに気づいた。

 玲美はキャリーケースを開けると、何やら黒色の革製品を取りだし、直立している裕也の背後に廻った。

「両手を後ろにお回し!」

 玲美に命じられた裕也が、両手を背中に回すと、彼女は両手首をその革製品で拘束した。それは、頑丈な革手錠だった。玲美は一旦裕也から離れ、開いたキャリーケースの向きを変えて、中を裕也に見せつけた。

「どう?これはね、お前を虐め易いようにと、叔母さんがわざわざ用意してくれた玩具よ。面白そうでしょう?」

 キャリーケースの中には、各種の鞭・鎖や紐の付いた革の拘束具・ローソク等、他にも使用方法の分からない道具が詰まっており、裕也を唖然とさせた。それは玩具ではなく、立派な拷問道具だった。

 玲美はキャリーケースから首輪を取り出して、手早く裕也の首に嵌めた。次に紐の付いた、かなり小型の首輪みたいな革製品を取り出し、裕也に見せつけて質問した。

「うふふ、これはお前のどこに嵌めるものか、分かる?」

 サイズからして、自分の股間のものに嵌めるのは一目瞭然だったが、裕也は恥ずかしくて、まともに答えられなかった。

「いいえ、よく分かりません…」

 返事をした途端、目から火花が散る程の力強い往復ビンタが、裕也の両頬を襲った。

「ひいいっ」

 情けない悲鳴を漏らした裕也に、玲美は大声で叱りつけた。

「嘘つき!いくらお前が低脳でも、これがどこに嵌められるか、分からない訳ないでしょう!はっきり答えなさい!」

 裕也は頬の痛みと恥辱で顔を紅潮させ、半ば泣き声で途切れ途切れに答えた。

「…はい…僕の…お…おちんちんに…嵌めます」

「ふんっ、最初から素直に答えればいいものを…本当に馬鹿だね!」

 裕也を罵った玲美は、彼の股間のものに手を伸ばし、小型の首輪みたいな革製品を手際よく嵌めた。玲美は、それに付いている紐を引っ張り、嘲笑いながら命令した。

「あはは、面白い格好ね…さあ、とっととお歩き!」

 玲美は紐を強く引き、広い部屋を歩き回った。

「ああっ、待って、待って下さい、玲美様…」

 股間のものが引きちぎられそうな痛みを覚えた裕也は、後ろ手で拘束された不自由な体で、腰を突き出し、よたよたと玲美の後に続いた。

 玲美は部屋を三周すると、ドアを開けて、裕也を廊下に引っ張り出した。

「のろのろしてないで、ちゃんと歩きなさい!」

 玲美は裕也を叱ると、彼を引っ張って、長い廊下を往復した。部屋の中ならまだともかく、廊下に引っ張り出されては、この恥ずかしい姿を、美沙子や絢香やメイド達にいつ見られるか分からない。股間の痛みに耐えながら、よたよたと玲美の後をついて歩いていた裕也は、全身に冷や汗を流した。

 その時、階段から足音が聞こえ、二階の廊下に美沙子と若いメイドが姿を現した。

「まあ、玲美ちゃん…!」

 全裸で股間のものを引っ張られている惨めな裕也の姿を見た美沙子は、目を見開き、驚きの声を上げた。隣の若いメイドは、口に手を当てて絶句していた。

 裕也は死ぬ程恥ずかしかったが、驚いた美沙子が玲美の破廉恥な行為を止めてくれるのを、一瞬期待した。しかし、美沙子は、

「…凄いわ!部屋から出る事が出来たのね!?素晴らしい進歩だわ!」

と賞賛した。

(驚いたのは、そっちか…)

 勿論、美沙子に玲美の行為を止めるつもりは、毛頭無かった。女性達の前で恥ずかしい姿を晒している裕也は、がっくりと気落ちしたが、ちょっと考えれば、玲美に色々な責め道具を与えた美沙子が、彼女を止める筈は無かった。

「叔母さんが色々な玩具をくれたから、試してみたの…なかなか面白いわ」

 美沙子は、得意げに話す玲美を見つめ、満足そうに微笑んだ。

「玲美ちゃん、その調子で頑張って頂戴…それにしても、一物を引かれて歩いている男って、本当に惨めで恥ずかしいわね。普通なら、とても耐えられないわ」

 美沙子の侮蔑の言葉が、裕也の胸を深く抉った。絶句していた若いメイドも、裕也の引っ張られている股間部分を指差し、

「本当に見苦しくて、滑稽ですわね、奥様…私なら恥ずかしくて、どこか遠くへ失踪してしまいますわ」

と言って、ケラケラ笑った。メイドの笑い声が裕也の頭で虚ろに響き、彼は恥ずかしさのあまり、この世から消え去りたいと本気で願った。

 裕也を侮蔑して嘲笑った美沙子とメイドが一階に下りた後、玲美は裕也を引っ張り、長い廊下をもう一往復してから部屋に戻った。

 玲美はそのまま裕也を引っ張って、ぶら下がり健康器を置いてある所へ連れて行くと、手にしていた紐を、そのパイプに結び付けた。そして、キャリーケースの中から、黒光りする一本鞭を取り出した。玲美は裕也に近づき、一本鞭を空中で振って、バチンッと禍々しい鞭音を鳴らした。

 玲美は怯えている裕也に、ゆっくりと諭すように言い聞かせた。

「私、今からお前を鞭打つわ…別にお前が私に逆らったとか、粗相したとかじゃないの…私の言う事が聞けなかったらどうなるか、体に覚えてもらいたいからなの…行くわよ!」

 玲美は一本鞭を頭上まで上げると、思い切り裕也の背中に振り下ろした。風を切る凶悪な音がして、一本鞭が全裸の裕也に絡み付いた。

「グウギャアーッ」

 生皮を剥ぎ取られ、皮膚を刃物で切り裂かれたような激痛に、裕也は獣の雄叫びみたいな絶叫を上げ、身悶えして苦しんだ。床に倒れたいところであったが、股間のものをぶら下がり健康器に結び付けられては、それすらも叶わなかった。

 玲美は、苦しみもがいている裕也へ、横殴りに鞭を浴びせた。

「ムグゥオゥッ」

 裕也の腹を打った鞭は、真っ赤に焼けた鉄棒で殴られたような激痛と共に、内臓まで響く強烈な衝撃を与え、彼に地獄の苦しみを味わせた。

 玲美は、続けて袈裟懸けに鞭を振り下ろした。唸りを上げて襲い掛かる鞭を受けた裕也は、真っ赤に焼けた日本刀で体を切断されたように錯覚し、喉が破れる程の絶叫を上げた。裕也の体には、赤く盛り上がった複数の条痕が、見る見る浮かび上がった。

 裕也を三回鞭打ったところで、玲美は鞭を止め、彼に問い掛けた。

「どう?私の言う事を聞かなかったら、どうなるか分かった?」

 
裕也は涙をぼろぼろ流し、痛みと恐怖で体を震わせながら答えた。実際、これ以上鞭打たれたら、激痛でショック死したかもしれない。

「は、はい…分かりました…身に染みて分かりました、玲美様…」

 玲美は、怯え切った裕也の様子を見て、嬉しそうに笑みを浮かべた。彼女は何の恥ずかしげも無く、スウェットの上下と下着を脱ぎ捨て、全裸となった。それから、裕也の股間のものを拘束している革の輪を解いた。裕也は、自分の急所を引っ張っていた輪から解放され、ホッとして力尽きたように、その場に膝を着いた。

 しかし玲美は、彼に休息を許さなかった。彼女は裕也の髪を掴んで引き上げると、強烈な往復ビンタを見舞った。

「ひいぃっ」

 弱々しい悲鳴を漏らした裕也を、玲美は怒鳴り付けた。

「誰が座っていいと言ったの!私の許しも無く、勝手な真似をして!まだ、鞭が足りないようね!」

「ひえっ、お、お許しを…鞭だけは勘弁して、許して下さい…」

 裕也は、鞭と聞いただけで震え上がり、慌てて後ろ手で拘束された不自由な体をよじらせ、何とか立ち上がった。

「久しぶりに歩き回って、お前を鞭打ったら、汗をかいちゃったわ…シャワーを浴びるから、ついておいで!」

 玲美は裕也の股間のものをむんずと掴み、浴室へ引っ張って行った。

「ああっ、待って下さい、玲美様…」

 先程と全く同じ様に、裕也は腰を突き出し、惨めな格好でよたよたと玲美についていった。広い浴室に入ると、玲美は裕也に、這いつくばって腰を高く上げるよう命令した。後ろ手に拘束されている裕也は、浴室の床に額を着け、膝を立てて尻を上げる屈辱的なポーズを取った。

 玲美はシャワーのヘッドを外すと、シャワーホースの先端を裕也の肛門に当てがった。

「ひっ」

 裕也は思わず声を出し、肛門を窄めた。玲美は、もう片方の手で裕也の陰嚢を掴み、彼を脅した。

「睾丸を握り潰されたくなかったら、肛門の力をお抜き!それとも、体中を鞭で打たれたい?」

「ひいっ、む、鞭だけはお許しを…」

 鞭と聞いた裕也はすっかり怯えて、玲美の言いなりに括約筋の力を抜いた。裕也が力を抜いた瞬間、玲美はシャワーホースの先端を、彼の肛門に無理やりねじ込んだ。

「あひぃっ」

 哀れな悲鳴を上げた裕也を尻目に、玲美はコックを捻って、彼の直腸に生温かいお湯を流し込んだ。

「うわあぁーっ」

 悲鳴を上げた裕也の下腹が、見る見る膨らんだ。

「ふふん、男の汚れた体をきれいにするには、まずは、はらわたからだよ…ほれっ」

 玲美が裕也の肛門からシャワーホースを引き抜くと、軟便と茶色い汚水が勢いよく噴出した。

「ああっ、汚い!男のくせに、よく女の前で大便を漏らせるわね…最低の恥知らずだよ、お前は!」

 玲美に排泄を強要されて罵られた裕也は、胸を掻き毟られるような耐え難い恥辱に、体を震わせてすすり泣いた。玲美は汚物をお湯で洗い流し、排水口に流し込むと、再度シャワーホースを裕也の肛門に挿入した。

「まだ、はらわたの汚れが残っているみたいね…腸が溶けて流れ出るまで、徹底的に掃除してやるわ!」

 玲美が、裕也の直腸にお湯を流し込む作業を三、四回繰り返すと、彼の肛門から噴出するのは、透明なお湯だけになった。

「ようやく、はらわたがきれいになったみたいね…」

 玲美はシャワーホースにヘッドを取り付けて、元に戻した。そして、自分の右手にボディソープを塗りたくった。彼女は、左手で裕也の陰嚢を掴み、

「お前に、今まで味わった事の無い、新しい感覚を教えてあげるわ…勝手に動いたら、睾丸を握り潰すからね!」

と強い口調で言って、彼の動きを封じた。

 玲美は、ボディソープで滑りのよくなった右手中指の先端を、裕也の肛門に突き立てると、一気に挿入した。

「あうぁーっ」

 肛門に中指を突っ込まれた裕也は、表現し難い異様な感覚に、悲鳴のような喘ぎ声を漏らした。玲美は、裕也の肛門に挿入した中指を微妙にくねらせ、前立腺を巧みに刺激した。

「うががぁっ」

 玲美は、呻き声を上げた裕也の陰嚢から左手を離し、いつの間にか屹立してしまった股間のものに持ち替えた。彼女は左手で硬く屹立してしまったものを、ゆっくりしごき始めた。併せて、右手中指で前立腺を刺激しながら、

「うふふ、お前は男のくせに、女にお尻の穴を弄られて、興奮しているのよ…少しは恥ずかしいと思わないの?最低の変態だね、お前は!」

と裕也を蔑んだ。裕也は度を超えた恥辱で、胸が張り裂けそうな苦悩と、下半身がとろけるような快感を同時に感じて、涙と涎がとめどなく流れた。

 しばらくして裕也は咽び泣きながら、多量の白濁液を噴出して尽き果ててしまった。玲美は、裕也が果てたのを確認すると、自分と彼の体にシャワーを浴びせて、簡単に汗を流した。彼女はバスタオルで手早く水気を拭うと、裕也を浴室から連れ出し、部屋の床に正座させた。

 うなだれて正座している裕也の傍で、玲美はキャリーケースからベニスバンドを取り出し、自分の腰に装着して、ディルドゥ部分にワセリンを塗った。

「せっかくお前のはらわたがきれいになったから、レイプされる女の苦しみを教えてあげるわ!」

 今から何をされるのか、瞬時に悟った裕也は、顔が真っ青になった。慌てた裕也は、急いで立ち上がって逃げようとしたが、後ろ手に拘束されているため、バランスを崩してうつ伏せに倒れてしまった。玲美が倒れた裕也の首筋を踏みつけると、彼は身動きが全く取れなくなった。

「お前、何をあがいているのよ?大体、私の許しも得ないで勝手に動くなんて、許せないわ!そんなに鞭が欲しいの!?」

「ひいぃっ、鞭だけはお許しを…」

 玲美に鞭と言われた裕也は、心底震え上がった。玲美は裕也の首筋から足を外すと、彼の頭を蹴って命令した。

「だったら、さっきみたいに、腰を上げなさい!」

 鞭に怯えた裕也は、浴室の時と同じ屈辱的なポーズを取った。裕也の後ろに廻った玲美は、しゃがんでペニスバンドのディルドゥ部分先端を肛門に当てがい、両手で彼の腰を掴んだ。

「さあ、女の苦しみを思い知りなさい!」

 玲美は、裕也の腰を手前に引き寄せると共に、自分の腰を力強く前に突き出した。

「はうぅっ」

 肛門を貫かれた裕也は、悲鳴のような吐息を漏らした。しかし、先程浴室でアナル開発をされたためか、ディルドゥは割とスムーズに挿入された。玲美は、最初はゆっくりと腰を前後に動かした。

「お前は男のくせに、女に犯されているのよ…どんな気分?」

 玲美は裕也を蔑みながら、彼の股間をまさぐった。すると、なぜか裕也のものは、又も硬く屹立していた。

「あら、お前、肛門を犯されて、興奮しているの!?最低の変態だね!」

 玲美は乳房を揺らし、腰の動きを速めながら、裕也の硬くなったものをしごき始めた。

「肛門を犯されて感じるなんて、お前は男とやった事があるんじゃないの?お前はホモなんでしょう。やっぱり、正真正銘の変態だわ!」

 玲美に罵倒された裕也の心は深く傷つき、床に涙がこぼれた。しかし、彼女の手でしごかれている股間のものは、益々硬度を増した。

 間もなく裕也は、悲しい悲鳴を上げて、又も白濁液を床に撒き散らしてしまった。





 週が替わり、うんざりする月曜日がやって来た。コンビニのバイトを終え、絢香の車で送ってもらっている裕也は、今晩はどんな目に遭わされるのかと考え、憂鬱になっていた。

「ねえ、裕也君…先週の月曜日から玲美さんのお相手をして、元気が無いけど、大丈夫なの?一体、彼女から何をされているの?」

 ハンドルを握っている絢香から、不意に訊ねられ、裕也はどぎまぎした。

「いや、別に問題無いから、大丈夫だよ…玲美さんの話し相手をして、カウンセリングの真似事をしているだけだから、心配要らないよ」

 裕也は、本当の恥ずかしい事はとても絢香に話す事が出来ず、適当に答えて誤魔化した。

 美沙子の邸宅に着くと、絢香は自分の部屋に行き、裕也は玲美の部屋へ向かった。玲美の部屋に入った裕也は、彼女の姿が見えないのに気づいた。しかし、彼は痛い目に遭わないうちに、直ぐ服を脱いで全裸になり、直立して玲美が現れるのを待った。

 すると、トイレのドアが開き、玲美が出て来た。裕也は玲美の服装を見て、意外そうな顔をした。先週はずっとスウェット姿だったのに、今晩の服装は白色の綿シャツに、ベージュ色の乗馬ズボンで、拍車付きの黒いブーツを履いていた。ぼさぼさだった髪は、後ろに束ねてポニーテールにしている。

「言われなくても、裸になっているのは感心ね…叔母さんに、部屋から出て、外で運動するよう勧められたから、今日は庭で体を動かすわよ…そのケースを持って、ついておいで!」

 玲美は先に部屋を出て行き、裕也は例の大型キャリーケースを持ち、急いで彼女の後を追った。階段を下り、玄関から芝生が敷き詰められた広い庭に出ると、玲美はキャリーケースを置くように命じた。彼女はキャリーケースを開くと、膝パットを取り出し、裕也に向けて放った。

「それを膝に着けて、四つん這いになりなさい!」

(やっぱり、人間馬にされるのか…)

 玲美の服装を見た時から予想はしていたが、男の自分が女から家畜扱いされるのは、さすがに気が滅入った。

 玲美はキャリーバッグから、手綱付きのハミと、あぶみが両脇に垂らされた小型の鞍を取り出し、四つん這いになっている裕也に、手際よく装着した。そして、乗馬鞭を手にすると、裕也の背中に跨った。

「この私が、変態のお前を馬に使ってあげるから、ありがたく思いなさい。気合い入れて走るのよ、それ!」

玲美は裕也の尻に一鞭くれ、彼の脇腹に拍車を突き立てて、走るように促した。

「グウゥッ」



 裕也は、ハミをかまされた口から苦しげな呻き声を漏らし、手足を動かして、懸命に這い進み始めた。広い庭を囲っている高い塀の上には、ライトが多く設置されており、夜でも庭を煌々と照らしていた。

 裕也がふと、庭に面しているサッシの大きなガラスに映っている姿に目を向けると、裕也を人間馬にしている玲美は、ライトの光りを浴び、まるでギリシャ神話の女神アルテミスの様に凛々しかった。

 それに比べ、玲美の下で喘いでいる裕也の姿は、惨めなものだった。全裸に馬具を装着され、股間のものをぶらぶらさせながら、庭を這い回っているのだ。上の玲美と下の自分との、この差は何なんだろうと、失った筈の男の自尊心が、裕也の精神を苛んだ。

「何て、よたよたした馬なの!もっと速くお走り!」

 玲美は、乗馬鞭で裕也の尻と太腿を激しく打ち据え、拍車を何度も彼の脇腹に突き立てた。

「ムグウゥッ」

 ハミをかまされた裕也の口から、苦しげな呻き声が漏れた。いつの間にか、美沙子と若いメイドが庭に出て、裕也の人間馬振りを見物していた。

「玲美ちゃんが屋外に出られたなんて、素晴らしいわ。次は街中に出られるように、その調子で頑張って…しかし、男が四つん這いで這い回る姿は、見苦しいわね。恥も外聞も捨てなきゃ、とても出来ないわ」

 美沙子は好き勝手な事を言い、笑いながらスマホで動画撮影を始めた。若いメイドも裕也を指差して、嘲った。

「本当ですわ、奥様…玲美様の凛々しいお姿に比べ、馬にされている男って、惨めですわね。股の醜悪なものをぶらぶらさせて這い回るなんて、普通の男なら恥ずかしくて絶対に出来ませんよ。この男は、恥も外聞もかなぐり捨てたんですね」

 美沙子とメイドの嘲笑と侮蔑の言葉が、裕也の心を深く傷付け、目に涙が浮かんだ。彼は自分の精神がいつまで正気を保てるか、全く自信が無くなっていた。

「ハイッ、ドウドウ!」

 玲美は、よく通る声で掛け声を発し、乗馬鞭と拍車を使い、裕也にもっと速く這い進むように強要した。夜とはいえ、夏の蒸し暑い空気の中で、裕也は全身にびっしり汗をかいていた。

 玲美は結構体重があって、裕也の手足は疲労で小刻みに震え出し、息が上がって、体力の限界に近づいていた。しかし、玲美からのお仕置きが恐く、何も考えないようにして、頭を真っ白にし、滝の様な汗を流して、無心で這い回り続けた。

 それでも、遂に限界が来た。裕也は、急に目の前が真っ白になり、意識を失って、芝生へ顔面から前のめりに倒れてしまった。

 潰れた裕也の背に跨っていた玲美は、怒りの表情で立ち上がり、

「勝手に倒れて、私まで転げ落ちそうになったじゃないの!大体、誰が休んでいいと言ったのよ!ふざけるんじゃないわよ!」

と怒鳴り、彼の尻を乗馬鞭で二、三回打った。しかし、裕也は気絶から醒めなかった。玲美は乗馬鞭を放って、キャリーケースから電動バイブを取り出し、その先端を裕也の肛門に当てがうと、ワセリンも付けず一気に押し込んだ。

「グウモアァッ」

 気絶から醒めた裕也は、ハミをかまされた口から獣の様な唸り声を出し、体を跳ね上げ、よろよろと四、五歩這い進むと、再び前のめりに倒れた。

「まだまだ、許さないからね!」

 裕也の傍に近づいた玲美は、彼の肛門から突き出ている電動バイブのスイッチをONにした。途端にビイィーンと振動音がして、裕也は又も獣のような唸り声を上げ、四、五歩這って、そのまま倒れた。玲美は、手足を痙攣させて苦しみ、呻いている裕也に、

「何を言っているのよ…私に言いたい事があるなら、はっきり言いなさい!」

と言って、彼の顔面から手綱付きのハミを取り外した。呼吸が楽になった裕也は、ゲホゲホと咳き込んだ後、

「も、もう許して下さい…本当に、体が動かないんです…お願いです、玲美様…」

と涙ながらに訴えた。さすがに限界だと判断した玲美は、苦笑して電動バイブのスイッチを切り、裕也の肛門から引き抜いた。

 そして、裕也の背中から小型の鞍も取り外したのだが、代わりにキャリーケースからリード付きの首輪を取り出し、彼の首に嵌めた。玲美は首輪に繋がれたリードの端を握り、一本鞭を手にすると、空中で一振りして派手な鞭音を立てた。

「馬はもう無理みたいだから、犬にしてあげるわ…さあ、散歩を始めなさい!」

 鞭音を聞かされた裕也は震え上がり、動かない筈の手足を無理やり動かして、庭を這い始めた。革ベルトや乗馬鞭とは比べものにならない、生命の危険すら感じる一本鞭の威力は、裕也にどんな無理難題でも行わせた。

 裕也は、疲労で小刻みに震える手足を、気力で何とか動かして、庭を這い進んだ。体重が結構ある玲美が背中に乗っていないのが、せめてもの救いだった。

 四つん這いで辛そうにギクシャクと這い進む裕也を、玲美は斜め後方から楽しげに見ていたが、庭の立木に近づくと、リードを引いて彼を停めさせた。

「そこで犬らしく、片足を上げて、おしっこしてご覧!」

 裕也はもう、恥も外聞も何も考えられず、右足を上げ、立木に向けて放尿しようとした。最初はなかなか尿が出ず、玲美の勘気に触れるかと焦ったが、やがてチョロチョロと排尿出来たので、ほっとした。

 そこで裕也の耳に、美沙子とメイドの爆笑する笑い声が響いた。

「あははっ、何よ、あれ!本当に犬みたいだわ。もう、人間じゃないわよね!」

「そうですね、奥様…大体、女性達の目の前で犬みたいにおしっこするなんて、人間の尊厳を完全に捨ててしまった犬畜生ですよ、最低だわ!」

 裕也は何も考えないようにしていたが、美沙子とメイドの嘲笑が、無くした筈の羞恥心を蘇らせ、火が噴き出る程顔が真っ赤になった。

「おしっこが済んだら、さっさとお歩き!」

 裕也が排尿を終えると、玲美はリードを引いて、散歩を続けるように促した。庭を一回りして、美沙子とメイドの前に来ると、玲美はリードを引っ張って裕也を停止させ、命令を下した。

「叔母さんの前で、チンチンしなさい!少しは犬らしく、芸の一つもしないとね」

 あまりに屈辱的な命令に、裕也は身震いした。しかし、玲美が手にしている一本鞭が恐ろしく、止む得ずに美沙子とメイドの前で、チンチンのポーズを取った。途端に美沙子とメイドは、どっと笑った。

「ハハハッ、何よ、その姿は!よく女の前で、そんな恥ずかしい格好が出来るわね。もう、自尊心も羞恥心も完全に捨てたみたい」

「キャハハッ、面白〜い!股の醜いものを見せびらかすなんて、最低の恥知らずね。本当に変態だわ!」

 彼女達に陰部を指差され、嘲笑われた裕也は、度を超えた恥辱で身震いし、目から涙がこぼれた。ここで美沙子が、玲美に余計な事を言った。

「ねえ、玲美ちゃん…この雄犬は大汗をかいているから、相当喉が渇いているんじゃない?水を飲ませてあげたら?」

「それもそうね、叔母さん…」

 玲美は、チンチンのポーズを取っている裕也を、乗馬用ブーツで蹴り、仰向けに倒した。そして、彼の顔に跨って立つと、何の恥じらいもためらいも無く、乗馬ズボンとパンティを膝まで一気に下ろした。玲美は裕也の顔にしゃがむと、残酷な宣言をした。

「催していたから、丁度いいわ。お前の水分補給に、私のおしっこを飲ましてあげる…嫌がったり、吐いたりしたら、一本鞭で死ぬまで打ってやるからね!」

 おしっこなんて、飲める筈がない…裕也はそう言いたかったが、玲美に鞭で打つと脅かされ、何も言えなくなってしまった。

「口を大きくお開け!」
玲美に命じられた裕也は、泣きそうな思いで、口を大きく開いた。その途端、玲美の赤い陰唇が微かに震え、雫が二、三滴こぼれたと思った瞬間、黄色い水流が激しく噴出した。玲美は、美沙子とメイドの前で排尿するのに、何の恥ずかしげも感じていないようだった。裕也の事は、既に人間の男と見なしていないのか、自分の陰部と排尿を見せつけるのに、何の痛痒も感じていなかった。

 口に尿を注ぎ込まれた裕也は、目を白黒させて喉を上下に動かし、ごくごく飲み続けた。普通なら、強烈なアンモニアの臭いと味が喉につっかえ、とても尿など飲めるものではないが、玲美の手で異様な精神状態にさせられ、体を酷使されて脱水症状寸前まで追い込まれてしまった裕也は、彼女の尿を一滴もこぼすまいと、懸命に飲み続けた。

 
 美沙子とメイドは、裕也が玲美の尿を飲んでいるのを見て、嬌声を上げた。

「やっだーっ、本当におしっこを飲んでるわ!よく、そんな汚いものが飲めるわね。信じられないわ!」

「奥様、この男は、馬や犬どころか、便器にまで落ちぶれたんですね。もうこれで、完全に人間を止めたんですよ。最低だわ!」

 美沙子とメイドの嘲りが裕也の耳に響き、自分はもう人間扱いされないんだと思い知らされて、涙が止まらなかった。

 玲美の長い放尿が終わった時に裕也は、喉がアンモニアで焼き尽くされ、胃に溜まった尿で体内部が全て汚されたように感じ、二度と立ち直れないトラウマを負ってしまった。

「何をぼうっとしてるの!おしっこを飲んだら、お前の舌で後始末おし!心を込めて、丁寧に雫を舐め取るんだよ!」

 玲美に命じられた裕也は、もう何も考えられずに、首を起こし舌を伸ばして、尿で濡れている彼女の陰部を舐め始めた。

「あらあら、この男は便器だけじゃなく、ウオッシュレットの役目もするのね。きっと、女のおしもの世話をするために、生まれてきたんだわ。どちらにしても、もう人間じゃなくなったわね」

「本当ですよ、奥様。動物だって、おしっこなんか飲まないし、トイレットペーパーの代わりにもなりませんわ。この男は、とっくに人間を止めてますよ」

 裕也の頭に、美沙子とメイドの軽蔑し切った声が虚ろに響き、舌には改めてアンモニア臭の強い尿の刺激的な味が広がった。僕はもう、人間じゃないんだ…裕也は、自分で自分に言い聞かせるようになってしまった。

 その時、メイドが裕也の股間を指差し、驚いた声を出した。

「まあ、嫌だ…奥様、この男、勃起してますよ!」

 美沙子も驚き、呆れた声を出した。

「あらっ、本当!女におしっこを飲まされて、興奮して勃起するなんて、信じられないわ。こいつは、本当に変態なのね!」

 二人の声を聞き、後ろを振り向いた玲美は、裕也のものが硬く屹立しているのを認めた。彼女は体を後ろ向きにして、裕也の顔面に豊満な尻を落とした。

「むぐうぅっ」

 玲美の大きな尻で顔を押し潰された裕也は、苦しそうなくぐもった呻き声を出した。

「女のおしっこを飲んで興奮するとは、呆れた変態だね…まあ、いいわ。叔母さんとメイドさんの前で、お前の変態振りを、はっきり見せてやるわ!」

 玲美は手を伸ばして、裕也の硬くなったものを握り、強くしごき始めた。

「むぐぅあぐぅ」

 股間の急激に高まる快感に、裕也は玲美の尻の下で、意味不明の苦しそうな声を上げた。

「お前は、女のおしっこを飲み、女の尻に顔を敷かれ、女の手で果てる最低の変態なんだよ!さあ、叔母さんとメイドさんの前で、汚い汁を派手に撒き散らしてご覧!」

 玲美は、裕也の硬く屹立したものを激しくしごきながら、彼を酷く罵った。裕也が彼女達の前で、全身を震わせて屈辱の射精をしてしまうのに、それ程時間は掛からなかった。





 裕也は、生活費を稼ぐためと、美沙子の脅しもあって、玲美の相手をするバイトを続けていたが、美沙子と若いメイドが自分を軽蔑の眼差しで見て、ぞんざいな対応をするのが、辛くて堪らなかった。

 玲美も、裕也を色々な方法で虐めて、屈辱を味わせながら、精を搾り取るため、彼の体力と精神はどんどん磨り減っていった。

 この特別なバイトを初めて二週間後、裕也は大学の同級生に教えてもらい、裏オプションで本番もあるファッションヘルスに行った。貧乏な苦学生には許されない贅沢だが、このままでは女性恐怖症になってしまうと怖れた裕也は、男の自信を取り戻すため、敢えて風俗に行ったのだった。

 しかし結局、裕也はがっくりと気落ちして、店を出て来る羽目になった。ヘルス嬢がどんなにサービスに努めても、彼のものが全く反応しなかったのだ。

「学生さん、若いのにインポなの?病院で、ちゃんと治療してもらった方がいいわよ」

とヘルス嬢にも同情されてしまい、裕也は男としての自信を完全に喪失してしまった。

 アパートに戻った裕也は、玲美から嬲られる刺激が凄過ぎて、普通のセックスでは興奮出来なくなった事を思い知らされ、頭を抱えて苦悩した。





 玲美の相手をするバイトを初めて一ヶ月後、裕也は美沙子から唐突に告げられた。

「玲美はもう、実家に戻ったわ。裕也さんのおかげで、男性に対する自信がついて、社会復帰出来そうなの…今まで、ご苦労様。これは、特別ボーナスよ」

 美沙子から五万円入りの封筒とタクシーチケットを受け取った裕也は、キツネにつままれたような気分で、彼女の邸宅を後にした。

 玲美の相手をお役御免となった裕也は、大学とコンビニのバイトの日常生活に戻った。しかし、五日も過ぎると、体が悶々とし始めて、落ち着かなくなった。自分では否定したかったが、体と精神が玲美の虐待を猛烈に求めていた。悶々と体が疼いている今の裕也には、勉学もバイトも手に付かなかった。

(僕はもう、玲美様に虐められないと、生きていけない…)

 10日目に、体の悶えと疼きを我慢出来なくなった裕也は、思い切って美沙子に電話し、玲美に会いたいと必死に訴えた。美沙子は当惑した様子だったが、明日の晩に自宅へ来るようにと返事をした。

 



 翌日の夜、美沙子の邸宅を訪れた裕也は、リビングで彼女から色々と訊ねられた。

「裕也さん、最初は玲美の相手を辞めたいとか、とても体が保たないとか言って嫌がっていたのに、一体どうしたの?傍目にも、裕也さんが玲美から酷い目に遭わされて、内心気の毒に思っていたのに、なぜ彼女にもう一度会いたいの?」

 玲美に虐められたいからだとは、恥ずかしくてとても言えず、裕也は顔を赤くして、しどろもどろに答えた。

「あの…実は…玲美さんを好きになってしまったんです…勿論、貧乏学生の僕と玲美さんとでは、身分違いで、お付き合い出来るとは思っていません…それでも、もう一度だけでも、お会いしたいんです…お願いします、玲美さんに会わせて下さい」

 美沙子は首を振って、深いため息をついた。

「裕也さんも若いから、仕方ないわね…玲美には、もう連絡してあるから、先に二階の彼女がいた部屋に行って、待っていて。もうじき、来る筈だから…」

「あ、ありがとうございます!」

 美沙子の許しを得た裕也は、顔を輝かせて弾んだ声で礼を述べ、勢いよくソファから立ち上がった。早る気持ちを抑えて階段を上り、二階の奥にある玲美の部屋に入った裕也は、服を全て脱いで真っ裸になると、フローリングの床にしゃがんだ。

 裕也は部屋のドアを背にして正座し、玲美を待ちながら、一ヶ月間彼女から受けた仕打ちを回想した。期待で胸が高鳴り、興奮して股間のものが硬く屹立していた。

 間もなく、コツコツと廊下を歩く靴音が聞こえ、背後のドアが開く音がした。裕也は直ちに土下座して、卑屈な姿勢を取った。顔の前にヒールの高い黒色ブーツが来た時、裕也はずっと考えていた口上を述べた。

「玲美様、本日は私が無理なお願いをして、わざわざおいで頂き、真に恭悦至極に存じます。私は玲美様からお仕置きを授かった日々が、とても忘れられません。今晩はどうか、分をわきまえずに玲美様を呼び出した私を、気が済むまで存分にお仕置きして下さいませ」

 すると、ブーツの爪先が裕也の頭を小突き、彼の頭上から凛とした声が降って来た。

「顔をお上げ、変態!」

 声が違う…違和感を感じた裕也が上半身を起こすと、目の前に仁王立ちしていたのは、玲美ではなく絢香だった。

一本鞭を手にしている絢香は、黒色網目ストッキングをガーターベルトで吊し、ヒールが高く太腿まである黒色ロングブーツを履き、濃い陰毛が透けて見える黒色の薄いナイロンパンティを身に着けていた。ブラジャーはしておらず、形のいい豊かな乳房を誇らしげに突き出していた。

裕也は驚愕して、震え声で問い掛けた。

「ど、どうして、絢香さんが…?それに、その格好は…?」

 絢香は、裕也の顔をブーツで蹴り飛ばして、彼を床に転がし、手にしていた一本鞭を振り上げた。

「フリチンで玲美さんに虐められたがっている変態が、人の格好をとやかく言うんじゃないわよ!」

 絢香は、床に横倒しになった裕也の体へ、思い切り一本鞭を振り下ろした。今まで裕也が、それだけはと最も恐れていた一本鞭が、空気を切り裂き、唸りを上げて彼の体に打ち込まれた。

「ギャァワァーッ」

 真っ赤に焼かれたワイヤーロープで殴られた様な、耐え難い激痛と、内臓まで響く破壊的な衝撃に、裕也は獣じみた絶叫を上げた。

「思い知らせてやるからね、この変態!」

 絢香は豊かな乳房を揺らして、立て続けに一本鞭を振るい、裕也は両手で頭を抱え、絶叫を上げて床を転げ回った。

 四、五回鞭打った絢香が鞭を振るう手を止めた時、床にのびている裕也の体には、無残に赤黒く盛り上がった条痕が、縦横に数本刻み込まれていた。絢香がこれ以上鞭打っていたら、裕也が激痛でショック死する可能性も、あながち否定出来なかった。

「誰が寝ていいと言ったの!さっさと正座おし!」

 絢香が裕也の頭を蹴って命令すると、彼は引きつる体を何とか動かし、よろよろと正座した。裕也の頭は、混乱していた。なぜ玲美ではなく、絢香がいるのか…なぜ絢香は問答無用で、自分を痛めつけるのか…?

 綾香は、正座した裕也の傍の床を一本鞭で叩き、その大きな鞭音が彼の思考を中断させ、情けない悲鳴を上げさせた。

「ヒイィッ」

「男のくせに女に虐められたいなんて、最低の変態よね!世間じゃ、お前みたいな変態を、マゾと呼ぶのよ!マゾの変態が大学の同級生だなんて、恥ずかしくて堪らないわ。お前は、自分が恥ずかしくないの!?」

 裕也は、今まで親しげに“裕也君”と呼んでくれた絢香から、お前呼ばわりされた上に、自分でも恥ずかしく思っていることを酷く罵られて、恥辱で顔が耳まで真っ赤になり、力無くうなだれた。

 すると、絢香は一本鞭を床に放り、左手で裕也の髪を掴んで引き上げ、右手で目が眩む程の力強い往復ビンタを浴びせた。

「ヒイッ」

「人が訊ねているのに、顔を背けるんじゃないわよ!恥ずかしいのか、恥ずかしくないのか、はっきり答えなさい!」

 両頬の痛みと、絢香の剣幕に怯えた裕也は、か細い声で途切れ途切れに答えた。

「は、はい…恥ずかしい…と思って…います…」

「恥ずかしいと思っているのに、女に虐めて欲しいとねだるの!?本物の変態だよ、お前は!」

 絢香は裕也の髪を手放すと、再度彼の顔をブーツで蹴り、床へ仰向けに倒した。裕也の顔を跨いで仁王立ちになった絢香は、首を下に向けて彼の顔を見下し、言い放った。

「ママから監視カメラの映像を見せられて、本当に驚いたわ。玲美さんのパンティをしゃぶってオナニーしたり、ベルトで打たれて射精したり、玲美さんのおしっこまで飲むなんて…お前なんて、もう男どころか、人間ですらないわ!お前はもう、一匹のマゾ豚に堕ちたのよ!分かっているの!?」

 絢香から徹底的に蔑まれて、裕也の顔は苦しげに歪み、目尻から涙がこぼれた。絢香は、裕也に言い続けた。

「玲美さんはね、お前みたいな変態マゾの相手にうんざりして、もう会いたくないと言っていたわ…仕方無いから同級生の誼で、私が玲美さんの代わりに相手をしてあげるわよ。お前は、パンティの臭いが好きなんでしょう。たっぷり嗅がしてやるわ!」
絢香は、自分の股間を裕也に見せつけるように、ゆっくりと彼の顔面に腰を下ろした。裕也は、陰毛が透けて見える薄い黒色ナイロンパンティに包まれた陰部の、柔らかそうな双丘が迫って来るのを、恐怖の表情で見つめていた。

 絢香の柔らかな股間部分が、裕也の口と鼻を完全に塞ぎ、玲美に負けず劣らずの饐えたような強烈な臭いが鼻孔の奥まで流れ込んで、咽びそうになった。

「お前の顔面に、私の臭いを擦り込ませてやるわ!」

 絢香は腰を前後に揺らし、自分の股間を裕也の顔に擦りつけて、彼の顔面と精神を蹂躙した。絢香が腰を動かす際に生じる僅かな隙間で、裕也は何とか空気を吸ったが、それが陰部の臭いをより強く吸い込む事になり、彼の精神が苛まれた。


 絢香は股間を使って散々裕也を嬲ると、不意に立ち上がった。彼女は穿いている黒色ナイロンパンティに手を掛けると、脱ぐのさえもどかしいのか、そのまま引き裂いて取り払った。絢香は、痴呆のような表情で横たわっている裕也を見下し、残酷な命令を下した。

「玲美さんのおしっこが飲めて、私のが飲めない筈は無いわよね…今からお前を便器にして、内側から私のおしっこの味と臭いを、体に染み込ませてやるわ。口をお開け!」

 裕也がおずおずと口を開くと、絢香は再びしゃがみ込んだ。濃い陰毛に縁取られ、興奮で赤く充血し、捲れている絢香の陰唇が迫って来るのを見つめていた裕也は、まるで妖怪の口が自分を喰い殺しに来たように錯覚した。絢香の陰唇は、裕也の開いた口から、数センチの距離を取って止まった。

「一滴もこぼすんじゃないよ…もし、こぼして床を汚したら、鞭で体中を打ち据えてやるからね…行くわよ!」

 絢香の陰唇が微かに膨れたかと思うと、黄色い奔流が噴き出て、裕也の口に注ぎ込まれた。こぼしたら鞭と脅かされた裕也は、ゴクゴクと必死に飲み下した。鼻につく強いアンモニア臭と、刺激の強い尿の味が喉につかえたが、そんな事に構う余裕が無く、ただひたすら飲み続けた。

 絢香は長い排尿を終えると、両手で裕也の髪を掴んで引き上げ、彼の口を尿で濡れた陰唇に押し付けた。

「おしっこを飲み終わったら、いちいち言われなくても、舌で後始末おし!」

 絢香に命じられた裕也は、舌を伸ばして陰唇を濡らしている尿を舐め取り始めた。舌に尿のピリピリする刺激的な味が広がり、屈辱で胸が張り裂けそうに感じた。

 絢香は裕也の舌の動きを楽しみながら、彼を諭すように話し掛けた。


「お前は、私のおしっこを飲んだのよ…女の便器にまで落ちぶれたのよ。人間としては、もう終わりね…だから、私の奴隷にして、家で飼ってあげるわ。どうせ、生活費が無くて、このままじゃ大学生活は続けられないでしょう。大学は、私の家から通えばいいわ…嫌だと言ったら、監視カメラの映像を、同級生全員に見せてやるからね!お前の事は、今から男奴隷と呼ぶわ。これから、変態マゾの男奴隷をどう調教していくか、楽しみよ。オホホホ…」


 懸命に舌を動かしている裕也の耳に、絢香の勝ち誇った笑い声が響いた。彼は絢香の手で、二度と這い上がれない奈落の底に落とされてしまった事を思い知らされて、涙が止めどなく流れた。しかし、どういう訳か、裕也の股間のものは硬く屹立していたのだった。





 二日後の夕方、美沙子が経営しているファミレスの隅の席で、美沙子と玲美が話していた。玲美は、美沙子の家に居た時とは違って、華やかなサマードレス姿で、メイクもヘアスタイルも決まっており、まるでファッション雑誌の表紙を飾る美人モデルの様だった。

「…それで、奥様、裕也さんはちゃんと、絢香さんに忠実な奴隷になったんですね?」

 美沙子は啜っていたコーヒーをテーブルに置いて、笑い顔になった。

「そうなのよ…彼は私の家で下男として働きながら、大学に通っているわ。絢香は、大学では裕也さんの恋人になって付き合っていると公言して、イチャイチャしてるみたいだけど、家では他の女に目を向けないように、メイドにも手伝わせて、厳しく奴隷調教してるの…甘やかしたせいか、あの子の独占欲の強さには、困ったもんだわ」

 オレンジジュースを一口飲んだ玲美も、同じように笑顔を浮かべた。

「シビアな女性実業家と評判の奥様も、一人娘の絢香さんには弱いようですね…それにしても、ある男子学生を絢香さんの所有物にしたいから、心に傷を負って引きこもりになった奥様の姪の役を演じて、週三回都内から出張調教に来て欲しい、と依頼された時は、本当に戸惑いましたよ。まあ、ウブで若いイケメンの裕也さんを奴隷調教するのは、結構楽しかったですけどね」

「うふふ、こんな依頼は玲美さんにしか、お願い出来なかったわ。でも、ノーマルな男を調教して、マゾに洗脳し、奴隷に落とす手腕は、傍で見ていて惚れ惚れしたわよ。さすがは、私が出資している都内の高級SMクラブで、指名ナンバーワンを誇る女王様ね…そうそう、これはお約束の報酬よ。特別ボーナスも加算させてもらったわ」

 美沙子は、玲美に封筒を差し出した。封筒の中の、八桁の数字が打ち込まれた小切手を確認した玲美は、満足そうに微笑んで封筒をポーチに仕舞った。予想以上の報酬を受け取った玲美は、気が緩んだのか、些か口が軽くなったようだった。

「男なんて、単純な生き物ですからね。とても耐えられないような屈辱と苦痛の中で、恥ずかしい射精を強要して、普通のセックスでは味わえない快楽を感じさせてやるのを、何度か繰り返せば、割と簡単にマゾへ洗脳出来ますよ…ところで、SMクラブのママが言ってましたよ。“美沙子とは大学時代からの付き合いだけど、私よりサドっ気が酷くて、ご主人もそれで早死にしたようなものだから、美沙子の血が濃い絢香さんの奴隷にされた裕也さんが心配だわ”って…」

 美沙子は少女の様に、ケラケラと快活に笑った。

「本当に失礼ね!私はただ、マゾだった主人の要望の応えただけなのに…それと、裕也さんは真面目な好青年だから、絢香が望むなら、将来は婿に迎えるし、絢香が飽きたら、私のバター犬にするつもりなの。彼の生活も奨学金の返済も、私が全て面倒見るから、何の心配も要らないわよ」





 美沙子と玲美がファミレスで話し合っている頃、美沙子の家の庭では、全裸で四つん這いの裕也が、首輪のリードをメイドに引かれ、背中に跨っている絢香から、

「お前は今日、学食で他の女の子と挨拶したわね!私以外の女と口を利いちゃいけないと、何度も言っているでしょう!私の言う事が聞けないなんて、許せないわ!今日こそ、思い知らせてやるわよ!」

と理不尽な叱責を受け、乗馬鞭で尻を何度も打たれて、泣きながら這い回っていた。



                             終わり