離 反

作者 namelessさん
朝倉和宏は、妻の奈津子を懸命に説得していた。
「奈津子、分かってくれ…もう、他に方法が無いんだ」
 奈津子はテーブルの向かい側で腕組みをし、美しい顔を渋くして、和宏を見つめていた。

 現在32歳になる和宏は、大学を卒業すると、ネット販売の会社を立ち上げた。彼は学生時代に東南アジアでバックパッカーをしたことがあり、その経験を生かして、現地ではタダみたいな値段で買え、日本ではまだ知られていない珍しい果物を大量に輸入した。そして、地方の中小企業で安く製造される野菜ジュースを仕入れて、その果物を混入し、オリジナルのフルーツジュースを作った。パッケージに “痩せる”“肌が綺麗になる”等と、珍しい果物の効用を学術風にもっともらしく記載すると、大当たりした。世の中の女性は、美容痩身には金に糸目をつけないようで、商品は飛ぶように売れ、生産と発送が追いつかない程であった。
 大金が転がり込んだ和宏は、他の会社で売れなくて在庫が溢れている健康グッズを安く買い叩き、パッケージをし直して、フルーツジュースとワンセットで美容痩身が効果的に進むと謳って売り出したところ、これも大当たりした。波に乗った和宏は、株・FX・仮想通貨の投資にも手を出し、資産を更に増やした。
 今年28歳の奈津子とは、二年前に投資家の集うパーティで知り合った。フィットネスジムのインストラクターである奈津子は、当時コンパニオンのバイトもしており、和宏がパーティ会場で一目惚れしたのだった。小柄で痩せており、運動はからっきしの和宏は、大柄なグラマーで鍛えた身体をしている奈津子に、自分には無いものへの憧れを感じて、強烈に惹かれたのだ。奈津子も、事業を成功させて、自信に溢れている和宏に男らしさを感じ、好意を寄せた。
 二人は急速に接近してスピード結婚し、和宏は海が近い郊外にマイホームを建てた。どこか子供っぽさが残っている和宏は、小学生の時に読んだ探偵小説に思い入れがあり、本棚を横にずらすと現れる隠し扉の付いた秘密の地下室を特別に発注して作らせ、奈津子を呆れさせた。
 資産家の和宏と結婚した奈津子は、ずっと憧れていた乗馬を始めて、時間があれば乗馬クラブに通い詰めていた。運動が苦手な和宏は、一人乗り用の小さなボートで沖合に出て、一人でのんびりと釣りをして、日々の多忙な事業で疲れた神経をほぐすことを好んだ。
 奈津子は、もうしばらくインストラクターを続けたいと和宏に告げ、敢えて子供は作らなかったが、幸せな結婚生活が一年続き、和宏にとっては人生の絶頂期であった。

 しかし、思いがけない所で、和宏は躓いてしまった。急成長した新しい会社にはありがちな話だが、経理に杜撰な点があり、国税局から脱税で摘発されてしまったのだ。逮捕されそうになった和宏は、大慌てで税金の未納分と多額の追徴課税金を支払ったが、これで会社の資金が底をついてしまった。
 悪い事は重なるもので、脱税のニュースで和宏の会社は、悪い意味で世間に注目され、ワイドショーでコメンテーターの医者が、和宏のフルーツジュースには、痩せたり肌が綺麗になる効能は、医学的に全く認められないと言い切ったため、売れ行きがぱったりと止んでしまった。健康グッズも売れなくなったどころか、返品が相次ぎ、在庫の山の前で和宏は頭を抱えた。
 投資していた株・FX・仮想通貨も下落して、多額の損失を出す始末で、和宏の財産はあっという間に無くなってしまった。
 和宏は会社を立て直そうと、あちこちの金融機関から融資を受けたが、新しい事業はうまく行かず、返済する当てのない借入金が増えるばかりで、遂には闇金や暴力団金融からも、多額の借金をしてしまった。
 和宏のマイホームは、早い段階で懇意にしている不動産業者に、買い戻す約束で一旦売却して現金化し、借家に対する家賃という名目で借入金を月々返済していた。高級外車・高級時計・高級家具や、奈津子の宝石・貴金属・ブランドバッグまで、金目の物は全て売り払ったが、焼け石に水にすらならなかった。
 気がつけば、和宏の会社から大半の社員が逃げ出し、残った社員達から未払い給与の訴訟を起こされる始末で、会社は既に倒産状態になっていた。この一年で、和宏の個人債務は十七、八億円にもなっており、とても返済出来る額ではなくなっていた。自己破産も考えたが、闇金や暴力団金融には通用しない。
 そこで和宏が考えついたのが、自分をこの世から消すことだった。
 まず、港から少し離れた沖合で、和宏が普段釣りに使っているボートをひっくり返して、海難事故に見せかける。それから、和宏は秘密の地下室に一年間隠れる。普通、行方不明の失踪宣言には七年掛かるが、山岳遭難や海難事故等では、一年で失踪宣言が家庭裁判所から出される。失踪宣言が出れば、和宏は正式に死亡したことになるから、奈津子は直ちに相続放棄して、債務から逃れる。そして、和宏が一ヶ月前に加入した二億円の生命保険金が下りるが、保険金は財産とは別物であるから、相続放棄しても奈津子は無税で受け取ることが出来る。二億円の保険金が入ったら、二人で遠い所に逃げて、もう一度人生を立て直す。ほとぼりが冷めたら、家庭裁判所に申し出て、失踪宣言を取り消し、世間に出る。
 この計画を和宏は、奈津子へ熱心に説明した。渋い顔で和宏の計画を聞いていた奈津子が、口を開いた。
「でも、それって結局、借金の踏み倒しと保険金詐欺じゃないの…給料未払いで生活に困っている社員達だっているのに、私達だけがズルして逃げるなんて…」
「だけど、このままでは、僕は暴力団金融に拉致されて、生きてはいられないだろうし、奈津子も風俗に売られてしまうだろう…この計画は、君を助けるためでもあるんだ。頼むから理解して、協力してくれ」
 和宏の熱心な説得に、奈津子は渋々と首を縦に振った。

 早速、次の日の夜、和宏は愛用の小型ボートを港から近い沖合に出し、直ぐに発見してもらえるよう錨を下ろして流されないようにして、体重を掛けてひっくり返した。ライフジャケットを着込んだ和宏は、夜の海を泳いで港に辿り着き、誰にも見つからないように注意して岸壁を上って、自宅に戻った。翌日の午前中、奈津子は警察と海上保安庁に、夫が夜釣りから戻って来ないと通報した。和宏のひっくり返ったボートは直ぐに発見され、大掛かりな捜索が行われたが、当然和宏が見つかる筈もなく、捜索は三日で打ち切られた。
 奈津子は、地下室に隠れている和宏の指示で、小さな祭壇をセットして和宏の写真を飾った。押し掛けて来た債権者達は、祭壇の横で悲しそうに応対する奈津子に、とてもきつい事は言えなかった。
 当人の和宏は海で死んだものと皆が思い、自宅は既に不動産会社名義で借家扱いになっており、家の中には必要最低限の家具だけで、金目の物は全く無く、和宏と奈津子の預貯金も殆ど無かった。
 銀行・信金・街金の金融機関は早々に回収を諦め、和宏の借金を税務上の損金扱いで計上した。給料未払いで押し掛けた社員達と闇金も、回収する手立てが無く、諦めて引き上げた。
 何が何でも取り立てると恐れられている暴力団金融には、奈津子を風俗に沈めて、少しでも債権を回収するという方法が無くは無かったが、無理強いして警察に駆け込まれても困るし、さすがにこの状況では、ヤクザ業界からも「仁義の欠けた外道」とか「任侠にもとる」等とそしりを受ける虞もあり、諦めて帰って行った。
 奈津子から、押し掛けて来た債務者達が、全員潮を引くように帰った事を地下室で知らされた和宏は、胸をなで下ろした。
「これで一年間辛抱すれば、道は開ける。奈津子、君には苦労を掛けるが、頑張ってくれ」
 奈津子は憂鬱な顔をして、地下室の階段を上って行った。

 和宏が隠れている秘密の地下室は、広さが八畳のフローリングで、トイレとシャワーが一緒のユニットバスが付いていた。和宏は地下室に、軽量の机セットと折り畳みの簡易ベッド、それにテレビとパソコンを持ち込み、一日中ネットサーフィンして過ごした。食事は一日に二度、奈津子が持って下りて来た。
 和宏は奈津子に、新しく考えた事業のプランを色々と話した。
「表に出られたら、次は開運関連のグッズ販売をしようと思うんだ。幸運のペンダントとか、ネックレスとか、ブレスレットとかね…色々な宗教も絡めたら、一度購入した客が次々に買ってくれるだろうし、これなら医学的に効果は無い、と茶々を入れられる事も無いしね」
 それって、霊感商法じゃないの…夢見がちで事業プランを語る和宏を、奈津子は冷めた目で見ていた。
 安穏と地下室に籠もっている和宏とは対照的に、奈津子は辛苦していた。二人の最低限の生活費と、月々の安くない家賃に、高額な保険の掛け金を工面しなければならないのだ。彼女は、日中はフィットネスジムのインストラクター、夕方はコンビニで短時間のバイト、夜はクラブでホステスの仕事をして、何とかやりくりしていた。和宏に持って下りる食事も、最初は手作りの料理だったが、その内スーパーで半額になった総菜や、コンビニで廃棄する予定の弁当になった。
 和宏は不満だったが、仕事を掛け持ちして疲れ果てた顔をしている奈津子に、とても文句は言えなかった。和宏が地下室に隠れて二ヶ月が経つと、夫婦の会話も殆ど無くなってしまった。
 和宏は、奈津子の気持ちが自分から徐々に離れていくのを漠然と感じて、不安になったが、失踪宣言が出て、保険金の二億円が入れば、もう一度やり直せると、自分に言い聞かせた。

 和宏が地下室に籠もって、一年と半月が過ぎた。Tシャツにスパッツ姿の奈津子は地下室に下りて来て、パジャマ姿の和宏に、家庭裁判所へ申し出て、無事に失踪宣言が出た事を伝えた。
「…それで、相続放棄の手続きを済ませて、債務からは逃れられたわ。保険会社は渋ったけど、弁護士を通じて、保険金二億円が支払われる事が決まったの」
 奈津子の報告を聞いた和宏は、立ち上がって大喜びした。
「そうか!よし、保険金が入ったら、二人でどこか遠い所に行こう。僕はまだ表立って動けないから、奈津子の名義でマンションを借りて、生活を立て直そう。部屋と机とネット回線があれば、この一年間考えていたネット販売事業が、奈津子名義で出来るからね。君にはもう苦労させないよ。ほとぼりが冷めたら、失踪宣言を取り消して、僕は世間に出られるし…」
 目を輝かせて今後の夢を語る和宏を、奈津子は冷め切った目で見つめた。そして彼女の口から、和宏が愕然とする台詞が飛び出した。
「あなた、何言ってるの?今度は、私名義で悪質商法同然のネット販売をするつもり?ふざけないでよ!大体、あなたが外に出て、債権者の誰かに姿を見られたら、どうするのよ!?あなたはタダじゃ済まないでしょうけど、私だって保険金詐欺の共犯で捕まっちゃうわ。だから、あなたを外に出す訳にはいかないの。この地下室で、一生を過ごしてもらいます。保険金の二億円は、この家を買い戻すのと、私が独立して、新たにフィットネスジムを立ち上げる資金に使うわ」
 和宏は仰天して、奈津子に詰め寄った。
「な、何を馬鹿な事を言っているんだ!僕を、この地下室に一生閉じ込めておくつもりなのか!?」
「ふん、仕方ないでしょう。あなたが生きている事が分かったら、あなただけじゃなく、匿っていた私だって、元社員や債権者達に、特に暴力団金融にどんな目に遭わされるか…だから、この地下室で生涯を過ごして頂戴」
「ふ、ふざけるなぁーっ!」
 逆上した和宏は、鼻で笑って冷たく言い放った奈津子に、掴み掛かった。その途端、奈津子の鋭い膝蹴りを股間に受け、声も出せず、その場にうずくまった。奈津子は、股間の激痛で動けなくなっている和宏が着ていたパジャマを引きちぎり、剥ぎ取って、彼を全裸にした。
「な、何をするんだ…くそっ!」
 和宏は股間の痛みに耐えて立ち上がると、再び奈津子に掴み掛かった。しかし、小柄な痩せ型で、元々運動がからっきしのうえ、一年間も地下室に閉じこもっていた和宏が、大柄で体力があり、フィットネスジムのインストラクターである奈津子に勝てる筈もなかった。あっという間に組み伏せられて、仰向けに倒され、馬乗りになった彼女の両膝で両腕を押さえられてしまった。
「お前はまだ、自分の立場が分かっていないようね…仕方ないから、体に教えてあげるわ!」
 和宏をお前呼ばわりした奈津子は、彼の怯えた顔を覗き込むと、右手を振り上げた。バシンッ、バシンッと派手な音を鳴らして、奈津子の強烈な平手打ちが、和宏の両頬に炸裂した。
「ヒイッ、ヒイッ」
 和宏の両頬が見る見る赤く腫れ、彼の口から情けない悲鳴が漏れた。和宏に散々往復ビンタを浴びせた奈津子は、跨っていた彼の体から一旦立ち上がると、横たわっている和宏の脇腹を蹴りつけた。
「寝転がってないで、さっさとお立ち!」
 奈津子は、体を丸めて苦しがっている和宏の髪を掴むと、引っ張り上げて無理やり立たせた。そして、強烈な右フックを彼の鳩尾に叩き込んだ。
「グエェッ」
 空嘔吐をして身を屈めた和宏を、奈津子はサンドバッグ代わりに、殴る蹴るを繰り返した。
「ヒイッ、ヒイッ、止めてくれ、許してくれ」
 両手で頭を抱えた和宏は、情けない泣き声で、奈津子に許しを請うた。彼女は、返事の代わりに強烈な回し蹴りを、和宏の頬に見舞った。
「グワッ」
 呻き声を上げた和宏は吹っ飛んで、床へ仰向けに倒れた。和宏に近づいた奈津子は、彼の顔を素足で踏みにじった。
「どう?これで、自分の立場が分かったでしょう…返事ぐらいしなさいよ!」
 体中の痛みと頭痛を堪えて、和宏は何とか返答した。
「ヒイィッ、わ、分かりました…分かりましたから、許して下さい…」
 自分の妻に叩きのめされ、許しを請わねばならない屈辱に、和宏の心は引き裂かれる思いだった。奈津子は更に和宏の顔をグリグリと踏みにじり、身の毛もよだつ様な恐ろしい事を言った。
「お前には、失踪宣言が出ているのよ…つまり、法律的にお前はもう、死んでいるの。だから、私がここでお前を殺して、死体ごとこの地下室を埋め立てても、何の問題も無いのよ。お前は既に死んでいるんだからね…今後、もし私に逆らったりしたら、本当に殺してやるわよ!わかったかい!?」
 和宏は、恐怖で全身に鳥肌が立った。
「ヒッ、ヒイィッ、わ、分かりました…絶対逆らいませんから、命だけは助けて下さい…」
 男であり、夫である自分が、女で妻の奈津子に命乞いをするのは、屈辱の極みであったが、彼女に対する恐怖には勝てなかった。
奈津子は和宏の顔面から一旦足を外すと、彼の顔を蹴って命令した。
「いつまでも横着に寝転がってないで、正座おし!」
 奈津子に命じられた和宏は、体中の打撲の痛みと、胸が張り裂けそうな屈辱を堪えて体を起こし、よろよろとその場に正座した。奈津子は、今まで和宏が使っていた机セットからパイプ椅子を引き寄せ、彼の前にどっかりと座った。
「お前はもう、私の夫じゃなくて、死人同然なんだと、心と体に思い知らせてやらないとね…まず、私の足の裏をお舐め!」
 椅子に座った奈津子は、正座して俯いている和宏に向けて、右足を伸ばし、足裏を彼の顔に突き付けた。あまりの屈辱に和宏は身震いしたが、奈津子に殺されるかもしれない恐怖に怯え、舌を伸ばして彼女の足裏を舐め始めた。奈津子は満足そうに微笑み、和宏に語り掛けた。
「…お前と初めて出会った時、小柄だけど自信に満ち溢れて、男らしいオーラを感じたわ。だから、好きになって、結婚したのよ。でも、それは幻だった。会社が傾くと、あっさり本性を晒け出したわね。お前は借金取りから逃げ回り、自分のために働いてくれた社員達をも見捨てて、自分一人だけが助かろうとする、卑怯で身勝手な最低の男だった。お前の本性が見抜けないで結婚した、自分の馬鹿さ加減に、腹が立って仕方が無かったわ」
 奈津子の非難と、足裏のざらついた埃の舌触りが、和宏の胸を深く抉った。奈津子の話は続いた。
「それでも、お前がもう一度立ち直ってくれると信じて、ついて来たのよ。仕事を掛け持ちして、睡眠時間を削り、体力と神経を磨り減らして、お前を匿い、日々の生活費と高い家賃と高額な保険の掛け金を払ってきたわ…でも、お前は地下室で呑気に暮らし、詐欺同然の霊感商法の事業プランを得意げに話す始末だった。さすがに呆れ果てて、保険金が入るめどが付いたところで、お前に見切りをつけたわ。いずれにしても、お前が生きているのがバレたら、匿った私もただじゃ済まないからね。それで、お前を一生、この地下室に閉じ込める事を決めたのよ!」
 和宏は奈津子の足裏を舐めながら、彼女の心が自分から完全に離反したのを思い知らされ、目から涙がこぼれた。奈津子は不意に、和宏の顔を足裏で押すように蹴り、理不尽に怒鳴り付けた。
「いつまで、右足だけを舐めているの!左足もお舐め!」
 顔を蹴られて床に倒れた和宏は、慌てて正座し直し、右足に代わって突き出された左足の裏に舌を這わせた。奈津子はくすぐったそうな口調で、残酷な宣言をした。
「まあ、いつまでもお前を死人扱いするのも何だから、特別に奴隷へ昇格させてあげるわ。これからは、お前の事を男奴隷と呼ぶからね。私の事は“奈津子様”とか“女御主人様”とか呼んで、私に絶対服従する奴隷になるのよ。もし、私に少しでも逆らったら…本当の死人にして、地下室ごと埋めてやるからね!分かったかい、男奴隷!」
 和宏は一旦足裏を舐めるのを忘れ、震え声で返事をした。
「は、はい…分かりました…奈津子様…」
 奈津子は、正座している和宏の顔を、再度足裏で押すように蹴り、床へ仰向けに倒した。彼女は椅子から立ち上がると、スパッツを脱ぎ捨て、倒れている和宏の顔を跨ぎ、仁王立ちになった。和宏は怯えた目つきで、奈津子が穿いている白色パンティを見上げた。その股間部分には、黄色い染みがはっきり浮かび上がっていた。
 奈津子は蔑んだ目で和宏を見下し、嘲る口振りで言い放った。
「奴隷への教育は、最初が肝心だからね。奴隷になったお前の顔に、女御主人様の臭いを擦り込んで上げるわ。ありがたくお思い!」
 奈津子は和宏の顔面に腰を下ろして、彼の鼻と口に自分の股間部分を押し付けた。そして、腰を前後に揺らして、和宏の顔面を蹂躙した。女性の股間部分特有の饐えたような臭いと、尿のアンモニア臭が混じった強い臭気が、和宏の鼻孔の奥まで到達し、咽せ返りそうになった。奈津子の強烈な臭いは、和宏の脳と精神を完全に痺れさせた。
 しつこく腰を揺らせて、和宏の悶え苦しむ様子を楽しんでいた奈津子は、不意に立ち上がると、白色パンティを脱ぎ捨てた。
「パンティ越しじゃ、まどろっこしいからね。直接、味わせてあげるわ」
 奈津子は、再び和宏の顔面に腰を下ろし、濃い繁みに縁取られた陰唇を、彼の口に押し付けた。和宏を虐めて興奮したのか、奈津子の陰唇は赤く充血してめくれており、淫液でぬめっていた。
「男奴隷、お前の舌で私に奉仕おし!手を抜いたり、歯を立てたりしたら、ペンチで一本ずつ歯を全部抜いてやるからね!」
 奈津子の命令は、男のプライドを徹底して踏みにじるものであったが、和宏に逆らう勇気がある筈もなく、泣きたくなる思いで舌を伸ばし、強い臭いがする奈津子の陰唇を舐め始めた。きつい臭いがする淫液が泉の如く湧き出て、彼の口に滴り落ちた。饐えたような臭いがする淫液を、次々に口へ流し込まれた和宏は咽せそうになり、あまりの情けなさに涙が止まらなかった。
 和宏の舌が痺れて、痛みを感じる程に酷使されたところで、奈津子はある程度満足したのか、一旦立ち上がった。彼女は和宏を軽蔑し切った目で見下し、酷い事を言った。
「前の方を舐めるのは、もういいわ…今度は最低の男奴隷に相応しい、後ろの汚れを舐めさせてあげる!」
 奈津子は両手で尻たぶを拡げると、和宏の顔面にしゃがみ込み、肛門を彼の口に当てがった。トイレを済ませた後によく拭かなかったのか、奈津子の肛門は褐色に汚れており、強烈な異臭がした。和宏は顔を背けたかったが、大柄な奈津子の体重が掛かった豊満な尻から、逃れる事は出来なかった。
「嫌がって肛門を舐めなかったら、このままお尻で押し潰して、窒息死させてやるわよ…さっさとお舐め、男奴隷!」
 奈津子に脅かされた和宏は、泣く泣く舌を伸ばし、褐色の肛門を舐め始めた。和宏の舌が奈津子の肛門に触れた瞬間、苦味と酸味が混じったような、強烈な臭気を伴うえぐい味が広がって、強い嘔吐を催した。しかし、ここで吐いたりしたら、奈津子からどんな目に遭わされるか、想像もつかない。和宏は全身を震わせて吐き気を堪え、心を押し殺して、奈津子の汚れた肛門をペロペロ舐め続けた。
「うふふ、くすぐったい…お前、自分がどこを舐めているか、分かっている?お前は、人間の一番汚い箇所を舐めているのよ。男のくせに、顔を女の尻に敷かれて、一番汚い肛門を舐めるなんて、恥ずかしくないの?まあ、夫から男奴隷に落ちぶれたお前には、恥なんて無いわよね」
 男のプライドを押し殺して、必死に奈津子の肛門を舐めている和宏の耳に、彼女の侮蔑の言葉が響き、胸が張り裂けそうな屈辱で目の奥が熱くなった。
 不意に奈津子の肛門が開き、大きな音と共に、もの凄く臭いガスが和宏の口に勢いよく放出された。その時、ガスと一緒に直腸内の粘液も、彼の口に飛び込んだ。強烈な臭気のガスが口から鼻に抜けて、和宏は悶え苦しみ、体を痙攣させた。
「肛門を刺激されたから、おならが出ちゃったわ。女のおならを嗅ぐんじゃなくて、食べるだなんて、男奴隷のお前には本当に相応しいわね。あははは」
 奈津子の嘲笑が和宏の頭に反響して、彼はこの世から本気で消え去りたいと思った。
 いい加減、肛門を舐めさせた奈津子は、又も立ち上がり、仰向けに横たわっている和宏を蹴り転がした。そして、うつ伏せになった和宏の両腕を背中に回し、引きちぎった彼のパジャマを紐代わりにして、後ろ手に縛った。奈津子に叩きのめされ、度を超えた屈辱を味わされた和宏は、精神を徹底的に蹂躙されたためか、全くの腑抜けになり、抵抗らしい抵抗は全然しなかった。
 和宏を縛り終えた奈津子は、彼の腕を取って引き上げ、床に正座させた。脱ぎ捨てたパンティとスパッツを拾って、穿き直した奈津子は、地下室を見回した。
「さてと…この地下室を男奴隷に相応しいように、模様替えしなくちゃね」
 体力があり、力の強い奈津子は、和宏が使っていた地下室の簡易ベッド・軽量机セット・テレビ・パソコン等を、一人でどんどん上に持って行った。物が無くなり、ガランとした地下室に、奈津子は鉄格子の板を何枚か持って下り、工具を使って組み立て始めた。奈津子が作業を終えると、地下室の中央に立派な鉄製の檻が鎮座していた。彼女は額の汗を拭いながら楽しそうに、正座して見つめている和宏へ説明した。
「これが、お前の新しい寝床よ。ドーベルマン用の檻で、結構高かったんだから、ありがたく思いなさい」
 奈津子は、後ろ手に縛った和宏の拘束を解くと、彼の背中を蹴って前のめりに倒した。
「さあ、男奴隷らしく、四つん這いで檻にお入り!」
 逆らう気力を失った和宏は、奈津子に命じられ、よろよろと這って檻に入った。奈津子はガシャンと大きな音を立てて、檻の扉を閉め、南京錠を掛けた。
「お前には贅沢過ぎる寝床だけど、遠慮しないで休憩してなさい…私はちょっと服を着替えて、模様替えの準備をしてくるわ」
 奈津子は和宏に言い捨てると、階段を上って地下室から出て行った。一人取り残された和宏は、檻の中で膝を抱えて、横になった。大型犬用の檻といっても、人間には狭すぎて、とても足を伸ばして横になれなかった。
 一体、どうしてこんな羽目に陥ってしまったのだろう…和宏は、今までの事を回想した。一度はネット販売の事業で大当たりして、会社は急成長し、社員も増え、金持ちになり、美しい奈津子と結婚出来て、豪勢な生活が送れた。しかし、納税のちょっとした間違いがきっかけで、借金取りや給料未払いの社員達に追い回される、惨めな債務者の立場に転落してしまった。起死回生の計画を立て、奈津子に協力してもらい、多額の保険金が入るところまでは良かったが、肝心の奈津子に離反されて、奴隷に落とされ、地下室の檻に閉じ込められてしまった。これから、どうなるのか…和宏はすっかり落ち込んで、しばらく鬱の様な精神状態になってしまった。
 しかし、奈津子には、和宏に落ち込む暇を与える優しさすら無かった。階段からコツコツと靴音が聞こえ、和宏は頭をはっと起こした。乗馬服姿で、拍車付きの乗馬用ブーツを履いた奈津子が、何やら大きな段ボール箱を抱えて、階段を下りて来た。奈津子は段ボール箱を床に置くと、中から十数個のフックを取りだし、瞬間接着剤で地下室の壁に取り付けた。そして、数枚の板を取りだし、カラーボックスを組み立てた。それからまた、奈津子は階段を上って行った。
 次に彼女は何本かの金属製パイプを抱えて、階段を下りて来た。檻の中から和宏は、奈津子が金属製パイプで何やら組み立ている様子を、不安そうに見ていた。ぶら下がり健康器みたいな器具を組み立て終わった奈津子は、檻の中の和宏に説明した。
「お前、これが何か分かる?これはね、私が働いているフィットネスジムで、古くなって廃棄する予定だったけん垂台よ。お前を吊すのに丁度いいと思って、特別に貰ってきたの」
 奈津子の説明に、和宏は唖然とした。
「丁度、ネット通販で注文していた道具が届いたから、お前を可愛がるために、持って来てあげたわ。かなり散財したんだから、感謝しなさいよ」
 奈津子は鼻歌まじりで段ボール箱から、各種の鞭・革手錠・口枷・革紐・アナルフック等の色々な責め道具を取り出し、壁に取り付けたばかりのフックに掛け始めた。バイブ・浣腸器・ローソク・馬具等の道具は、カラーボックスに置いた。和宏の秘密基地みたいだった地下室は、奈津子の手でSMクラブか拷問部屋のように変貌してしまい、彼を慄然とさせた。これだけの道具と設備を揃えるのには、かなりの日数が掛かった筈だ…奈津子がかなり前から、自分を奴隷に落として痛めつけるつもりだったのが、ようやく和宏に分かった。
 責め道具を大体整理した奈津子は、段ボール箱を畳んで、和宏が閉じ込められている檻の南京錠を外し、扉を開いた。
「男奴隷、四つん這いで、出ておいで!」
 奈津子に命じられた和宏は、屈辱で身震いしながらも、下唇を噛んで、もそもそと檻から這い出た。奈津子はカラーボックスから膝パッドを取り上げ、和宏に放り投げた。
「膝にそれを着けなさい…ぼやぼやするんじゃないよ!」
「は、はい…ただ今…」
 奈津子に叱咤された和宏は、卑屈に返事をして、急いで膝パッドを両膝に装着した。
「膝当てを着けたら、四つん這いにおなり!」
 奈津子は、四つん這いになった和宏の口に、手綱付きのハミを押し込み、革ベルトを締めて、手際よく彼の頭に装着した。更に小型の鞍を、和宏の背中に手早く取り付けた。奈津子の手で、和宏はあっという間に、人間馬にされてしまった。乗馬鞭を手にした奈津子は、和宏に跨り、手綱を掴んだ。
「お前が会社を傾かせたせいで、もう一年以上も大好きな乗馬が出来なかったからね…責任を取って、お前が馬になるのよ。とっととお進み!」
 奈津子は和宏の尻に一鞭くれ、脇腹に拍車を突き立てて、命令した。和宏は、尻と脇腹の強烈な痛みに、ハミをかまされた口からくぐもった呻き声を上げ、よたよたと這い進んだ。奈津子に人間扱いされず、馬に使われる屈辱は、和宏の精神を酷く苛んだ。
奈津子が乗馬を好むのは、元々彼女に他人を支配して、思い通りに動かしたいという願望があったからではないかと、和宏はふと思った。
「お前も一年以上地下室に籠もって、運動不足でしょう。少しは体を動かして汗をかかないと、健康に悪いわよ…ほら、もっと速くお走り!」
 奈津子は、鞍の両脇に垂れた鐙に掛けている乗馬用ブーツを、内側に揺らして和宏の脇腹に何度も拍車を突き立て、もっと速く這い進むよう促した。和宏の脇腹は傷だらけになり、血が滲んで、耐え難い鋭い痛みが生じた。和宏は涙を流し、呻き声を漏らしながら、少しでも速く進もうと、手足を懸命に動かした。
 しかし、小柄で非力な和宏が、大柄なグラマーで体重のある奈津子を背にして這い進むのは、土台無理があった。和宏は精一杯、速く進んでいるつもりだったが、跨っている奈津子には、彼がのろのろとゆっくり這い進んでいるようにしか、感じられなかった。
「何てよたよたした、情けない子馬なんだろうね!もっと、気合い入れて走るんだよ、この駄馬!」
 苛立った奈津子は、和宏の尻と太腿に何度も乗馬鞭を振り下ろし、拍車を脇腹に突き立てて、ねじ込んだ。
「グモオォーッ」
 あまりの激痛に、和宏はハミをかまされた口から呻き声を上げ、涙をボロボロ流しながら、手足を折れんばかりに動かして、必死に這い回った。今の彼には、屈辱を感じる余裕すら失われていた。
 和宏は、地下室中央に置かれた檻の周囲をぐるぐると這い回されていたが、もう何周回ったのか、とっくに分からなくなっていた。体力も気力も限界に来ていたが、和宏は奈津子への恐怖心から、ひたすら這い続けた。しかし遂に手足に痙攣が来て、バランスを崩し、前のめりに倒れて潰れてしまった。
 和宏の背から立ち上がった奈津子は、憤怒の表情で乗馬鞭を振り上げ、
「誰が休んでいいと言ったの!勝手な真似をして、ふざけるんじゃないわよ!」
と怒鳴り、うつ伏して喘いでいる和宏の尻を、強く打ち据えた。
 和宏は呻き声を上げて仰け反ったが、とても動けそうになかった。
「仕方ないわね…」
 さすがに限界だと判断した奈津子は、和宏の体から馬具と膝パッドを取り外した。ようやく終わったのか…朦朧とする意識の中で、和宏はほっと一息ついたが、それは考えが甘過ぎた。
 奈津子は和宏の両手首に革手錠を嵌め、それにロープを括りつけた。奈津子はロープを引き上げ、和宏を無理やり立たせると、けん垂台の所まで引っ張って行った。和宏がおぼつかない足取りでけん垂台に行くと、奈津子はロープの端をけん垂台の上部のバーに投げて跨らせた。彼女はロープの端を、体重を掛けて引っ張り下ろした。和宏は両手がけん垂台に吊られる格好となり、つま先立ちで何とか自分の体重を支えた。吊られた和宏の前に、九尾鞭を持った奈津子が立ちはだかった。
 和宏は乗馬服姿の奈津子を改めて見つめ、よく似合って威厳があると感じた。それに比べ、全裸のフリチン姿で吊られている惨めな自分の格好を思い、屈辱と無念さで目頭が熱くなり、目に涙が浮かんだ。
 奈津子は鞭を持っていない左手を伸ばし、和宏の股間のものをまさぐった。
「うふふ、一年以上これを使ってないけど、まだ役に立つのかしら?」
「ああっ…」
 不意に奈津子から股間のものを弄ばれ、和宏は恥辱で身悶えした。しかし、奈津子の柔らかい手は、和宏の敏感な箇所を巧みに愛撫し、彼のものを硬く屹立させた。奈津子は、硬くなった和宏のものを握ると、前後にゆっくりしごいた。
「ああっ、止めて下さい…」
 切なげな声で哀願した和宏を、奈津子は邪悪な笑みを浮かべて蔑んだ。
「ふんっ、お前は自分を痛めつけた女の手で感じて、興奮しているのよ。口惜しくない?恥ずかしくないの?お前は本当に、人間の尊厳さえかなぐり捨てた、最低の男奴隷に落ちぶれたんだね!」
 奈津子の侮蔑は、和宏の胸を切り刻み、全身を震わせて、涙をこぼさせた。しかし、和宏の股間のものは、更に硬度を増していた。奈津子は、和宏のものをゆっくりとしごき続けたが、後一歩で射精するところで、ぱっと手を離した。射精寸前で手を離された和宏の口から、切なそうな吐息が漏れた。
 奈津子は、和宏の限界まで硬く屹立したものを指で弾き、周囲の物が凍り付く様な冷たい声を出した。
「お前と結婚して夫婦となり、体を許しただなんて、吐き気がするわよ…こんな醜いものを自分の体に挿入させたなんて、私には消し去りたい黒歴史だわ…」
 奈津子は少し下がって間合いを取ると、九尾鞭を振り上げた。
「こんなもの、鞭打って、ちぎり取ってやるわよ!」
 奈津子は情け容赦無く、和宏の硬く屹立したものを、思い切り九尾鞭で打ち据えた。
「ウギャーッ」
 勃起して敏感になっている箇所を鞭打たれた和宏は、獣じみた絶叫を上げて身悶えた。
「ほら、ほら、まだよ、まだよ!」
 奈津子は声を掛けながら、和宏の股間部分を続けざまに鞭打った。和宏は、泣き叫びながら腰をくねらせて、少しでも鞭の打撃から避けようとしたが、全くの無駄だった。奈津子は角度を変えて、下から掬い上げるように、和宏の股間を鞭打った。
「ギョエェーッ」
 陰嚢を強かに打たれた和宏は、全身を痙攣させて雄叫びを上げた。
「まだだよ!鞭打ちは、これからが本番だからね!」
 悶え苦しんでいる和宏を許さず、奈津子は更に鞭打ちを続けた。絶叫を上げ続けた和宏の喉がかすれた頃に、ようやく嵐の様な鞭打ちが止んだ。鞭が止んだ時、和宏の腰回りは赤い筋がびっしりと刻み込まれていた。
 奈津子は手を伸ばし、和宏の萎えた股間のものを弄んだ。
「ふーん、なかなか、ちぎり取れないものね…小さく萎んじゃったけど…」
 奈津子は、和宏の股間のものを撫でさすりしたが、さすがに勃起はしなかった。和宏は俯いて、すすり泣くだけだった。
「萎んだままじゃ、面白くないわね…」
 一旦カラーボックスに行った奈津子は、先端が細いディルドゥにワセリンを塗り、それを手にしてけん垂台に戻って来た。
「お前の後ろ側を、可愛がってあげるわ」
 奈津子は吊されたままの和宏の尻たぶを開くと、肛門にディルドゥの先端を当てがい、力強くゆっくりと押し込んだ。
「アアァーッ」
 異様な感覚に、和宏はかすれた絶叫を上げた。ディルドゥを深く直腸に押し込んだ奈津子は、ディルドゥのスイッチを入れた。途端にビィーンと振動音が響き、和宏は声を上げて身悶えした。しかし、萎えていた和宏のものは、直ぐに頭をもたげて、硬く屹立してしまった。
「ふんっ、お尻を可愛がられて勃起するなんて、やっぱりお前は恥知らずで、最低の男奴隷だよ」
 奈津子の蔑みが和宏の胸に刺さったが、今の彼には口惜しがる余裕が無かった。奈津子は前に回り、硬くなった和宏のものを強くしごいた。
「さっきより、硬くなっているじゃないの…お前は、本当に変態なんだね」
「アウウッ…」
 前立腺に振動を受け、硬く屹立したものを奈津子の柔らかい手でしごかれて、和宏はあっという間に絶頂まで追い込まれてしまった。奈津子は再度、九尾鞭を手にした。
「恥知らずにも、こんなに硬くして…今度こそ、鞭でちぎり取ってやるわよ!」
 奈津子は又も、九尾鞭で和宏の股間部分を中心に滅多打ちした。
「ウギャアッ、止めて、許して、アアァーッ」
 敏感な箇所を鞭打たれた和宏は、泣き叫びながら奈津子に許しを請うたが、却って彼女を興奮させ、鞭の勢いを増すだけだった。そして、特に強烈な九尾鞭の一撃が、和宏の屹立したものを打ち据えた瞬間、絶叫が湧き、彼のものから夥しい白濁液が噴出した。
 奈津子は鞭打ちを止め、呆れた声を出した。
「お前は鞭打たれて、射精したの!?これ程恥知らずの変態だなんて、思わなかったわ…お前はもう人間じゃないわよ。本当に最低の男奴隷だね!」
 奈津子に罵られた和宏は、すすり泣く元気すら無く、ただぐったりと頭を垂らしているだけだった。和宏の後ろに廻った奈津子は、ディルドゥのスイッチを切ると、彼の肛門から引き抜いた。それから、九尾鞭を壁のフックに掛けた。それを薄目で見ていた和宏は、とりあえず鞭打ちが終わったと、内心安堵した。
 しかし、奈津子の残酷さは、和宏の想定を遥かに越えていた。奈津子は九尾鞭の代わりに、一本鞭を手にして、和宏が吊されているけん垂台に戻って来た。目を剥いた和宏に、奈津子は一本鞭をしごきながら、恐ろしい事を言った。
「あんなバラ鞭じゃ、鞭の内に入らないわね。何しろ、鞭打たれて気持ちよくなって、射精するくらいだもの…やっぱり、鞭はこの牛追い鞭に限るわ」
 黒光りする一本鞭を見せつけられた和宏は、その威力を想像して、ガタガタ震え出した。
「ヒッ、ヒイィッ、許して、許して下さい、どうか、御慈悲を…」
 和宏は震え上がって、奈津子に慈悲を請うたが、逆に彼女を盛り上がらせただけだった。
「ふふん、さっきは気持ちよく射精したんだから、今度は少し痛い目に遭わないとね…いくわよ!」
 奈津子が勢いよく腕を振ると、空気を切り裂き、唸るような獰猛な音を立て、吊されて無防備な姿の和宏に一本鞭が絡み付いた。
「グギャアァーッ」
 焼けた日本刀で肌を切り裂かれるような激痛と、内臓破裂を起こしそうな衝撃を同時に受け、和宏は体を仰け反らせて、絶叫を上げた。和宏の苦しむ姿を見て、奈津子は興奮し、更に一本鞭を振るった。和宏が血を吐くような絶叫を上げる度に、彼の体には赤い筋がくっきりと浮かび上がった。和宏は本当の鞭の恐ろしさを、体に思い知らされた。
一本鞭は少し威力が有り過ぎると判断した奈津子は、和宏を7,8回しか打たなかったが、それだけでも和宏は白目を剥き、死ぬ思いを味わされた。
 奈津子がけん垂台に結び付けたロープを解くと、和宏はその場に崩れ落ちた。和宏の両手を拘束した革手錠とロープを外して、正座するよう命じても、彼はまともに動けなかった。
 奈津子は和宏の頭を乗馬用ブーツで小突き、彼の傍の床を一本鞭で叩いた。すると、鞭音に怯えたのか、動けない筈の和宏は、潤滑油が切れて錆びたロボットの様にギクシャクと体を起こし、何とかその場に正座した。
 正座した和宏の前で仁王立ちになった奈津子は、乗馬用ブーツで床を踏み鳴らし、彼に一喝した。
「男奴隷、これで自分の立場が分かったかい!?」
 和宏は震え上がり、土下座して返事をした。
「わ、分かりました。自分の身の程が、奴隷の身分が、身に染みて分かりました…」
 奈津子は、勝ち誇った声で命令を下した。
「そう、分かったのなら、私に絶対服従する男奴隷になると誓って、ブーツをお舐め!」
「は、はい、私は奈津子様に絶対服従する男奴隷になります。奈津子様に忠誠を誓います」
 和宏は卑屈に誓いの言葉を述べ、奈津子の乗馬用ブーツの先端をペロペロ舐めた。奈津子は、満足そうに笑い声を上げた。
「あはは、お前は犬と同じで、痛い目に遭って、ようやく物事が分かったようね…奴隷の躾に、鞭は必要不可欠だわ。これからも、奴隷の身分を忘れさせないように、鞭をちょくちょく使わないといけないわね」
 奈津子の言葉を聞いた和宏は、これからも鞭打たれる事を思い、恐怖で体が震えた。
「さてと…そろそろ夕食の時間ね。お前は、檻にお戻り!」
 奈津子に命じられた和宏は、些かためらったが、思い切って彼女に申し出た。
「あ、あの、奈津子さま…喉が渇いて死にそうなんです。洗面所の水を飲んでも、よろしいでしょうか?」
 奈津子に馬に使われて重労働をさせられたうえに、鞭打たれて絶叫を上げ続けた和宏は、喉がカラカラで、体が猛烈に水分を欲しがっていた。
 しかし、申し出た途端、奈津子の腕が一閃し、一本鞭で強かに体を打たれた。
「ウギャアァーッ」
 体を切り裂かれた様な激痛を受けた和宏は、絶叫を上げて床に転げた。奈津子は、床に倒れた和宏の頭を、乗馬用ブーツで踏みにじり、怒鳴り付けた。
「お前はまだ、男奴隷の身分が分かってないじゃないの!男奴隷が、人間様と同じものが飲めるとでも思っているの!?さっきの奴隷の誓いは、口だけなんだね。まだ、鞭が足りないのかい!」
 和宏は、奈津子のブーツの下で震え上がった。
「も、申し訳ございません…どうか、お許し下さいませ…でも、本当に喉が渇いて、死にそうなんです…何とぞ、御慈悲を…」
 奈津子は和宏の頭からブーツを外し、軽いため息をついた。
「仕方ないわね…こっちにおいで」
 奈津子は地下室のユニットバスに向かい、和宏は四つん這いで彼女について行った。彼は洗面台の水道水を飲ませてもらえると期待したが、それは楽観的過ぎた。奈津子はユニットバスの洋式便器の蓋を開けると、乗馬ズボンとパンティを膝まで下げて、洋式便器に腰掛けた。それから、派手な水音を立てて排尿した。奈津子の行動を、和宏は目を丸くして見ていた。
 排尿を済ませた奈津子は、洋式便器から立ち上がり、四つん這いの和宏を手招きした。
「男奴隷、お前の舌できれいにして頂戴」
 和宏は奈津子に髪を掴まれ、尿のきつい臭いがする彼女の陰部に顔面を引き寄せられた。和宏は泣きたくなったが、逆らえる筈もなく、舌を伸ばして奈津子の陰部を舐め、トイレットペーパーの役目を果たした。舌と口に尿のアンモニア臭と刺激的な味が広がり、吐き気を催したが、体を震わせて何とか耐えた。
 奈津子はパンティと乗馬ズボンを引き上げ、和宏に話し掛けた。
「私も催していたから、丁度よかったわ。お前の飲物を用意してあげたわよ。遠慮せずに、お飲み!」
 奈津子に髪をつかまれて、洋式便器に顔を引き寄せられた和宏の目に、便器に溜まっていた水に混じった奈津子の尿が映った。いくら喉が渇いていても、尿の強いアンモニア臭が鼻につき、とても口をつける気にはならなかった。奈津子は、動かなくなった和宏の頭に、乗馬用ブーツを乗せた。
「私が用意してあげた飲物が、気に入らないとでも言うのかい!さっさとお飲み!」
 和宏の頭が奈津子に踏まれ、彼の顔面は便器に溜まっている尿に沈められた。飲まなければ溺れ死んでしまうため、和宏は止むを得ずに喉を鳴らして飲み始めた。便器に溜まっていた水で、ある程度は薄められているとはいえ、アンモニア臭が強く刺激的な味がする尿は喉に引っ掛かった。それでも、奈津子の鞭に怯えた和宏は、必死に飲み続けた。
「男奴隷、お前は今、女のおしっこを飲んでいるのよ。もうこれで、お前は人間じゃなく、家畜にも劣る奴隷だと自覚出来たでしょう。オホホホ」
 奈津子の蔑み切った笑い声が和宏の頭に反響し、彼は自分の意識がどこか遠く行ってしまった様に錯覚した。

 二億円の保険金を手にした奈津子は、仕事をフィットネスジムのインストラクターだけに戻し、不動産業者と話もつけて、自宅を買い戻した。独立して女性専用のフィットネスジムを立ち上げる準備も始め、奈津子の生活は充実していた。
 反対に、和宏の生活は悲惨を極めた。服を着るのは許されず、全裸で地下室の檻にずっと閉じ込められ、食事は全て奈津子の残飯だった。ただでさえ汚らしい残飯に、奈津子は味付けと称して、常に唾と痰を吐きかけていた。
 水分補給は、奈津子の尿だけにされた。彼女から人間便器と蔑まれ、直接口に排尿された。最初はなかなか飲めなかったが、こぼしたら一本鞭のお仕置きが待っているので、和宏は死に物狂いで奈津子の尿を飲み下した。
 奈津子の尿だけでは、とても水分補給の必要量に足りないので、彼女立ち会いで、地下室のユニットバスの便器に溜まっている水を飲む事を、例外的に許された。
 奈津子は、和宏に奴隷の身分を忘れないようにと、一日一回は必ず彼を虐待した。特に人間馬調教を好んだ奈津子は和宏に跨って、延々と地下室を這い回らせて、彼を疲労困憊させた。巨大な浣腸器で和宏の腹を膨らませ、漏らしたら全部食べさせると脅かし、鞭打って彼が悶え苦しむ姿を楽しんだ。
 ある時、奈津子は、腰にペニスバンドを装着しただけの全裸になって、檻から出した和宏に、勝った方が負けた方をレイプする条件の格闘勝負を挑んだ。小柄で非力な和宏が、大柄で体力のある奈津子に勝てる筈もなく、猫がネズミをいたぶるように痛めつけられ、最後は取り押さえられて、肛門をペニスバンドで犯された。その上、犯されながら、前立腺を刺激されたため勃起してしまった陰茎をしごかれて、恥辱の射精を強要され、精神をも組み伏せられて制圧された。
 また、奈津子は汚れたパンティを地下室に持ち込み、和宏に臭いを嗅がせたり、汚れた部分を舐めさせたりしながら、オナニーをするよう強要した。奈津子にとても逆らえない和宏は、彼女の軽蔑し切った眼差しで見られながら、自分のものをしごき、恥辱の射精をした。奈津子の目の前で射精した和宏は、自分を苛み、泣き出すのが常であった。
 和宏の体に鞭痕が消える事はなく、精神は日に日に磨り減って歪んでいき、自分がいつまで正気を保つ事が出来るか、全く自信が無くなっていた。

 ある日の夜、和宏は、檻の鍵が掛けられていない事に気づいた。奈津子が、掛け忘れたのだろうか。和宏はそっと檻の扉を開けて、外に這い出た。それから、階段を上り、ドアノブに手を掛けた。ドアノブを回して手前に引くと、ドアが開いた。地下室の秘密の入口にも、鍵は掛かっていなかった。
 和宏は高鳴る胸を押さえ、そっと地下室を出た。照明の点いていない暗い自宅内を見回し、物音を立てないように注意して、玄関に向かった。一年と3ヶ月ぶりに見る自宅内であったが、感慨に耽る余裕が有る筈も無く、奈津子に気づかれないよう、全神経を集中させた。自分の服を探す余裕すら無かった。全裸で街中に出れば、通報されて警察に連れて行かれるだろうが、奈津子の虐待から逃れられるのなら、後先の事はどうでもよかった。
 玄関ドアにはチェーン錠が掛かっていたので、音を立てないように、そうっと外そうとした。その途端、照明がパッと点き、自宅内が明るくなった。和宏が顔色を変えて振り向くと、後ろには一本鞭を手にした乗馬服姿の奈津子と、同じく乗馬服姿の見知らぬ若い女性が立っていた。
「ヒイィッ」
 絶望的な悲鳴を漏らした和宏に、奈津子が楽しげに話し掛けた。
「うふふ、男奴隷、束の間の自由はどうだった?自由な身分を、十分満喫出来たかしら?」
 それで和宏には、奈津子がわざと鍵を掛けずに、自分を逃がしてぬか喜びさせ、絶望の淵に叩き落とすつもりだったのが分かった。和宏は焦って、ガチャガチャとチェーン錠を外そうとしたが、奈津子が腕を一振りすると、一本鞭が彼の喉に巻き付いた。奈津子が鞭を引き、和宏は喉を絞められて、後ろに倒された。
「さてと…男奴隷、お前の住みかに戻るわよ」
 奈津子はそのまま和宏を引っ張って行き、地下室の入口に着いたところで、彼の喉から鞭を外した。ゲホゲホ咳き込んでいる和宏を、奈津子は乗馬用ブーツで地下室の階段に蹴り転がした。和宏は悲鳴を上げながら、階段を転がり落ちた。
 奈津子と見知らぬ若い女性が、地下室の階段を下りて来た。奈津子は、床にうずくまって怯えきっている和宏に、怒鳴り付けた。
「お前、よくも逃げようとしたわね!私に絶対服従する男奴隷になるって誓ったくせに、大嘘じゃないのよ!もう許さない!以前言った通り、本当の死人にして、地下室ごと埋めてやるわ!」
 和宏は奈津子の足元で土下座し、必死に命乞いをした。
「ヒイィッ、お許しを、どうかお許し下さい。ほんの出来心だったんです。二度と逃げたりしません。今度こそ、奈津子様に絶対服従する男奴隷になりますから、命ばかりはお助け下さいませ」
「お黙り!本当に、口は重宝なものだね!」
 奈津子は、震えて土下座している和宏の背中に、一本鞭を振り下ろした。唸りを上げて背中を打った一本鞭の激痛に、和宏は絶叫を上げ、上半身を仰け反らせて苦しんだ。奈津子は更に、和宏を5,6回打ち据えた。和宏は両手で頭を抱え、床を転がって悲鳴を上げた。床に倒れた和宏の頭を乗馬用ブーツで踏みにじった奈津子は、大声で叱りつけた。
「男奴隷、今回だけは大目に見てあげるけど、次に逃げようとしたら、本当に処分してやるからね。分かったかい!」
 奈津子のブーツの下で、和宏は泣き声で何とか返事をした。
「あ、ありがとうございます…御慈悲に感謝致します…奈津子様の寛大な御心に感謝致します」
 奈津子は和宏の頭からブーツを外し、妙に優しい口調で話し掛けた。
「まあ、分かればいいのよ…ところで、お前に紹介するわ。こちらは、相良真理恵さん。私が立ち上げた女性専用フィットネスジムのチーフよ。まだ21歳で若いけど、しっかりして頼りになる人なの」
 和宏は鞭痕で引きつる体を無理に動かし、真理恵の足元に土下座して、挨拶した。
「私は奈津子様の男奴隷、和宏と申します。宜しくお願い致します」
 和宏は挨拶しながら、なぜ奈津子が地下室に他人を招き、自分に紹介したのか、理解に苦しんだ。奈津子が その理由を説明した。
「今時は女性専用フィットネスジムも乱立していて、競争が激しいの。その中で裕福な女性顧客を獲得するには、何かウリが必要なのよ…それで、厳選したリッチなVIP会員には、ストレス解消にお前を虐める特典を付ける事にしたの。今日、真理恵さんを招待したのは、お前が女性顧客相手に男奴隷として務まるかどうか、チェックしてもらうためよ。もし、お前が不適格と判断されたら…その時はどうなるか、分かっているわね!」
 和宏は、心底震え上がった。失格にされたら、酷い拷問どころか、殺されるかもしれない…。
「まず、人間馬から試すわ…男奴隷、さっさと準備おし!」
「は、はい、ただ今」
 和宏は大急ぎで、手綱付きのハミを自分の顔に装着し、膝パッドを着け、鞍を背負ってベルトで固定した。それから、壁のフックに下げてある乗馬鞭を手にし、真理恵の足元に跪いて、両手で乗馬鞭を彼女に捧げた。
 真理恵は和宏から乗馬鞭を受け取り、奈津子に話し掛けた。
「社長、躾は出来ていますね。VIP会員に対する礼儀は、問題無いと思いますよ」
「そう言ってもらえると、嬉しいわ…それじゃ、試乗してみて」
 奈津子が笑顔で真理恵に促すと、彼女は面白そうに四つん這いの和宏に跨った。真理恵は手綱を握り、拍車を脇腹に突き立てて、和宏に命じた。
「さあ、私をVIP会員だと思って、真剣に走るのよ!とっととお走り!」
 脇腹に鋭い痛みを感じた和宏は、慌てて手足を動かし、這い進み始めた。二十歳そこそこの若い女性から馬扱いされるのは屈辱ではあったが、今の和宏に口惜しがる余裕は無かった。真理恵に尻を鞭打たれながら、必死に這い回る和宏に、奈津子は楽しそうに声を掛けた。
「男奴隷、ちゃんと走りなさいよ。途中でへたばったら、睾丸を蹴って元気づけてあげるわ。人間馬の後はバター犬になって、真理恵さんを夢心地にさせるのよ。その後は、人間便器におなり。もし、真理恵さんのおしっこをこぼしでもしたら、けん垂台に吊して、一本鞭で体中をズタズタに引き裂いてやるからね。リッチなVIP会員は気難しい方が多いから、真理恵さんによく指導してもらうのよ。オホホホ…」
 こうして和宏は、二度と出られない地下室で、色々な女性から入れ替わり立ち替わり酷い虐待を受ける運命が決まったのだった。

                         終わり