その6
21階の廊下を四つん這いのまま進みながら先ほどの女性達が話していた内容が気になっていた。
「あそこに連れていかれるのよ」・・という言葉。
いったいどこへ連れていかれるのだろう・・・そんな事を考えながら引渡し室と書かれたプレートの部屋に入る女性警察官の後を追った。
そこは応接セットが置いてあるだけのシンプルな部屋だった。一番奥に長いソファが置いてありその両横に一人がけのソファーそして前には小さなテーブルがひとつ配置されていた。
「ごくろうさま」
そこには黒いスーツを着てハイヒールを履いた長い足を組んだ一人の女性が座っていて女性警察官に対してねぎらいの言葉をかけた。。
四つん這いのまま顔も確認できず私はその女性の前に跪いた。
「お、牡奴隷・・・WH207号です・・・・」
誰に言われるでもなく私は自主的にこの女性にそう言って土下座をした。
「あらっ!ほんの短い時間でも変わるものねぇ・・ほほほ」
聞き覚えのある声・・・その声に反応して顔を上げて下から仰ぎ見ると法廷で散々私を罵倒して最高刑を求刑した女性検事だった。
「ふふ・・私の事分かるわよね。お前にこの刑をプレゼントした女性検事、佐伯留美よ」
「は、はい・・」
私はうなだれて返事をした。
「それだけなの?」
「・・・・」
「あら、まだ全然分かってないようねぇ」
そう言うと彼女は右足を上げて床に付いていた私の手の甲を上からハイヒールのヒール部分で思い切り踏みつけた。
「ぎゃあぁぁぁぁ〜」
踏みつけられた手の甲から全身に伝わってくる痛みで思わず大声で叫んだ。まさに激痛である、適応剤を打たれていなくても痛かったであろうが、それがさらに何倍かの痛みで私を襲った。
さらに彼女はつま先を上に向けヒール部分に力を込めてグリグリと私の手を痛めつける。
「ひぃぃぃ〜いた〜」
まりの痛みに思わず左手が動き彼女のハイヒールを退かそうと動いてしまった。
「あら、その手は何?もし私の靴に触ったりしたら廃棄処分になるかもしれないわよ」
廃棄処分という言葉に以上に反応して震えだす私・・・
「ああ〜す、すいません・・いえ・・申し訳ございません・・ひぃ〜
ど、どうか許して・・・お許し下さい・・・」
「なぜ踏まれたか分かってるのお前?」
「ああ、あの・・・何か失礼を・・・・」
「あきれるわね。このバカ牡奴隷には、まずお前のようなバカ牡のために裁判に付き合ってやったこの私に御礼を言うのが当たりまえでしょう。」
「は、はい・・・」
「それと裁判中、私を否定するような発言をした事のお詫びはどうしたのよ?」
「はい・・・申し訳・・・あああひぃぃぃぃ〜」
また彼女はヒールに力を込める。
「初めから言い直しなさいよ!よく考えて言わないともっと痛い目にあう事になるわよ」
彼女は嗜虐的な目で私を見下ろした。そして彼女は私の手の甲からようやくヒールをどけてくれた。手の甲にはくっきりとヒール痕が残り、すでに痣のように青くなっていた。
私は彼女の足下に頭を付けて土下座をしながら言った。
「こ、このたびは・・・」
と言いかけたところで頭をハイヒールでこずく
「名前は!私の名前さっき言ったでしょう!このバカ牡奴隷!」
「も、申し訳ございません・・・」
「佐伯留美様、このたびは私のような者のために裁判にお付き合い戴いた事・・・ありがとうございました。」
「それで?」
「おかげさまで・・・このような・・・」
「このような?ふふ・・何?」
「このような・・・・このような牡奴隷になる事が・・・・できました・・・」
「本当にありがとうございました。」
「あはは・・そうねぇお前にふさわしい刑だものねぇ。ほらもっと頭を床にこすり付けなさいよ!」
彼女はハイヒールで私の頭を踏みつける。
「うう・・・」
悔しさに・・体が震える・・
「それからお詫びはどうしたの?」
「さきほどは・・・自分の身も・・・わきまえず・・・留美様に対して失礼な言葉を使った事・・・どうかお許し下さい」
裁判中当たり前の事だったのにここで謝らなくてはならない自分が惨めだった。なにより彼女はこうして私を嬲って楽しむ事だけが目的でここのいたかと思うと悔しくてたまらなかった。
「お許し下さい・・・」
「だめよ。許さないわ。私に失礼な事を言って言葉だけで済むとでも思ってるの?」
「・・・申し訳・・・ございません・・」
「罰よ・・罰を与えてあげるから・・ありがたく思いなさい!」
彼女の手にはフュンフトという細く長い鞭がにぎられていた。

(続く)

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