後編
当日私は早めに夕食を済ませ、サロン女神に向った。着替えもしようと思っていたので30分位前にお店に入るとミストレス真紅が出迎えてくれた。
「あ、いらっしゃい。意外と早かったのね?」
「ええ。着替えをしようかと思って・・」
「あら、どうぞ。更衣室で着替えて下さい。もうブタオは来て貴女の事を待ってるわよ。すごく楽しみにしてるみたい。ふふ・・」
 30分も早く来たのにもう来ているなんて・・・私は少し複雑な気分になった。
 通販で買ったボンデージの衣装やガーターストッキングなどに着替えると自分の気分が盛り上がってくるのがわかった。
私と知らずに待ち受ける文也に対して思い切り何かをぶつけたいという欲望が湧いてきた。
ヒールの高いブーツを履いて準備は整った。ミストレス真紅に伴われて調教室という40uくらいの部屋に入って行った。
 そこには全頭式マスクにパンツ1枚のみ男が正面の椅子に向って平伏していた。頭を床にぴったりとつけ手を頭の前にきれいに揃えて土下座をしている。
部屋を見回すと鎖やフックが部屋のあちこちに取り付けられており、拘束用の器具や鞭。ロウソクなどの責め具、それにバイブやアナル用の道具などが数多く揃っていた。
私は彼女に促されて彼が平伏している目の前の椅子に座った。
「ブタオ、今日お前を使ってくれる美しいミストレスよ。粗相のないようにして頂戴ね。お前にはあまりはっきり分からないだろうけど、本当に美しい方よ。そんな方がお前を指名してくれたんだから光栄に思いなさいよ」
「はい。真紅様。十分に心得ております」
「そう、じゃあいいわ」
そして私の方を見て・・
「時間は別にありませんから、気の済むまでやって下さっていいわよ。それにすぐにパンツを脱ぐ様に命じた方がいいわ。奴隷なのになんで着けてるんだって怒りながら・・・うふふ・・それじゃごゆっくり」

そう耳打ちして部屋から出て行った。
部屋の中には私と彼。彼は私が妻だとは知らずに足下に土下座をしている。私は彼の全てを支配しているという気持ちになって、いいようもなく興奮した。
「おまえ、ブタオって言うの?」
「はい、女御主人様。よろしければそうお呼び下さいませ」
「そう、ブタオ。お前なぜパンツを着けてるの?、奴隷のくせに」
「申し訳ございません。ただ今・・」
「いいわ、脱がなくて」
 私はわざとそのままにさせた。そのパンツは自分が選んで彼に穿かせた物だったからだ。
私は思い切って彼の頭を踏みつけてみた。
「も、申し訳ございません。女御主人様・・」
「ふふ・・どんな風にされたいの?言ってごらん・・」
「はい・・・私は女性の思いのままに嬲られたいのです。そしてその方がお喜びになっている姿をみたい・・ただそれだけなんです」
「ふ〜ん、それで気持ちいいの?」
「はい、最高の快楽を得る事が出来ます・・・」
「そこに仰向けに寝てみて!」
「はい、女御主人様」
「彼をそこに寝かせると私は椅子から立ち上がり彼の横に立ち見下ろした。そしてゆっくりとブーツの底を彼の胸の上に乗せて体重をかけた。
「ううっ・・」
彼のう呻き声が聞こえると私はさらに耐体重をかけた。
「あああ・・」
必死に耐える彼の姿を見て私はそばにあった乗馬鞭を取り、それで彼の顔を軽く叩く・・
「ふふふ、どうしたの?私の思いのままに虐められたいんでしょう、ほぉらっ」
「う、くぅ〜・・・」
全身を硬直させて耐える姿に私は何とも言えぬ快楽を覚えていた・・・・やっぱり私・・楽しんでいる・・ああ・・もっと虐めたい。
心の中でそのような叫びが聞こえてくるようだった。
初めての体験なのに体が勝手に動いている。彼の胸にはくっきりとヒールの痕が残るほどだった。
 起き上がるように命じて、置いてあった首輪を着けさせる。その首輪にくさりを取り付けて四つん這いで犬の散歩のように歩かせた。
もちろん鞭で叩きながら屈辱的な命令を実行させたのだった。顔の表情さえ分からないが嬉々として私の命令に従うこの男を夫としてではなくマゾ男として愛し始めていた。
 私は彼の両手を天井から伸びた鎖に吊り、まったく無防備な格好にしてからパンツをいっきにずり降ろした。
「ああ・・お許し下さい・・」
「何よ?許してくれなんて言ってこのみっともなく膨らんだ物は何?」
久々に見た彼のそこははちきれんばかりに膨らんでいた。それは自分とセックスしていた頃より明らかに膨張していたのだった。
私はその事に苛立ち、彼の体を思い切り鞭で打ちつけた。
「ああ・・」
「バシッ、バシッ!」
「ひぃ〜お許しを・・女御主人様」
肌が変色し紫色になるほどに打ち付けてやったのだった。
「アア〜女御主人様〜」
彼は鞭打たれながらも興奮している。そして私もまた濡れたのだった・・・
戒めを解いてやり、ブーツを舐めさせる・・爪先から上の方に舐めてこようとしたのでその顔を蹴り飛ばし、
「奴隷のくせに、あまえるんじゃないわよ。お前には靴底がお似合いでしょう?」
彼は土下座して謝る。
「申し訳ございません、女御主人様・・・お許し下さい」
「私の奴隷になる?」
「はい・・お願いします・・」
「私の専属の奴隷よ・・分かってるの?」
「は、はい・・・」
「奴隷になるからには私だけの所有物になるってことよ。奥さんはどうするの?」
「は・・・・はい・・・」
「別れるの?」
「あ・・いえ・・それは・・・」
「ふーん、奥さんを愛してるの?」
「・・・はい・・・」 意外な答えだった。こんなにも変態行為に及びながらもまだ私の事を愛してるなんて・・
「も、申し訳ございません・・・私は妻を・・・妻を愛して・・いえ崇拝しているんです。こうしていつも責められながら考えているのは妻の事なんです。彼女に虐められたい・・・本当は・・・」
そう言って彼は泣き崩れたのだった。
私は全身が熱くなるの感じ、思わず貰い泣きしそうだった・・しかしこの場では自分を明かす事をせず、彼のペニスに鍵付きのアクリル製男性用貞操帯を取り付けてこう言った。
「奥様に真実を話すことね、それまではこの鍵は外さないからね。私に恥をかかせた罰よ!」
「ああ。お許し下さい〜」
そんな彼の言葉を尻目に部屋を出た・・・どのくらい彼を虐めていたのだろうか・・そんな事も分らないほど興奮していた事に恥ずかしささえ感じた。私はSだったんだとはっきり気付いたのだ。そして夫はM・・それも真性のマゾヒスト。
私の中でストーリは決まった。
 そして、その日から3日が経った。彼はまだなにも言わない・・・パンツの下にはあの貞操帯が嵌められているのは間違いない。私から必死に隠しているのだった。
日曜日、彼は私に何か言おうとしていたが、さすがに躊躇っている・・私から口火をきる事にした。
「ねえ、貴方・・この頃なんで私としようとしないの?」
「つ、疲れているから・・・」
「ふーん、そうやって、うそをつき続けるんだ。浮気してるんでしょう?」
「ち、ちがうよ・・絶対浮気なんてしない・・」
「じゃあ、パンツ脱いで私にあそこ見せてよ」
「ええっ、なんで・・・」
「見れば分るのよ。浮気したかどうか」
「・・・・・・」
「やっぱり脱げないんだ。いいわ、私出て行くから!」
 そう言って立ち上がった。
「ち・・ちがう・・待ってくれ・・・」
彼は私の前に立ちそして跪いた・・・
「ぼ、ぼくは・・・マ・・マゾなんだ・・・だから・・」
彼は涙目で私に訴えかけた・・・
「パンツを脱いで!」
彼は観念して脱いだ・・・私が驚くと思って目を伏せて下を向いていた。
「立って」
私はそれを見て微笑みながらその鍵を開けた。
一瞬彼は何がおきたかわからず呆気にとられていた。私はその顔にビンタを浴びせ・・
「跪きなさいブタオ!」
彼は夢遊病者のようにその場に跪き床に頭を擦りつけながら・・・
「な、なんで・・その名前を?・・・いったい・・」
私は彼の目の前に2枚の紙を落とした。
「そこの、2枚の用紙があるわ。1枚は離婚届、もう一枚は奴隷誓約書よ。どちらか1枚に好きな方に署名しなさい。貴方に選ばしてあげるわ」
彼は迷わず奴隷契約書にサインをした。中身など全く見ずに・・・もちろん奴隷にそんな必要はないのだが・・・
「そう、奴隷になるの。ふふふ。今まで私を騙してきた罰をたっぷりと与えてあげるからね。覚悟をおし、ブタオ!」
「は、はい・・・女御主人様・・・どうか御存分に・・・ああ・・嬉しい・・・・」
そして今でも彼は私があのサロンの女性だった事に気付いていない・・・